<第212号> ダイバーシティ

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
グローバル市場開拓 メルマガ
<第212号>
ダイバーシティ
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

人は何かを目指してどこかに向かいます。

不凍港を目指して南下したロシア
故郷を目指してイスラエルを建国したシオニズム運動

何かを作り出すと、何かが失われ、
何かを得たと思っても、そこには何かしらの矛盾が残ります。

恐竜が絶滅して、人類が繁栄したのは、
恐竜が悪かったわけでもなく、
人類が正しかったわけでもないと思います。

物事はもっと大きな枠組みで決められていて、
そこには答えはなく、
答えを知っている存在がもしあるとしたら、
それは神のみです。

すべての生き物には平等に愛と死が与えられていて、
恐竜が繁栄したのも愛があったからであり、
人類が繁栄しているのも愛があるからです。

愛は非常に繊細なものであり、
思いやり、尊敬、憎しみ、欲望、嫉妬も、
愛があればこそ。
愛があるから、対立が生まれます。

人は一人では生きられないから、
集団を作ります。
集団を結びつけるのは、理念。

愛がある限り、理念で結びついた集団は、
内部で崩壊する可能性がある脆い存在です。
だから、外部に敵を作り、憎しみの感情を利用します。

成長は、愛が故に生まれる欲望があってこそ。
成長のためにはゴールがあり、
ゴールを目指すプロセスは憎しみや破壊と無縁ではありません。

私たちは、こんな脆弱なバランスの中で、
お互いに支え合いながら生きています。

恐竜が絶滅したのは、愛のためではないと思います。
人類は、愛のために戦い、それゆえに、
世界を破壊する兵器までも発明しましたが、
愛ゆえに、その兵器を使用することはないと思います。

中東情勢はオイル結びついていて、
だからドルとも結びついていて、
世界情勢は目に見えない金融網のバランスの上に成り立っています。

ドル円の為替が動けば、
大きな利益を手にする人もいれば、大きな損害を被る人もいます。

大きな利益も、大きな損害も、
やっぱり何かしらの思いやり、尊敬、欲望、嫉妬、憎しみを生みます。

私たちの愛は、いろんなものの影響を受ける、
不安定な状況で、
そしてそのいろんなものの影響は、
日々複雑化して、大きくなっています。

でも、そんなことに全く振り回されず、
強い愛を保ち続けている、強い人たちも、たくさんいます。
そういう強い人たちが、
勝利とか敗北とかいう形ではなく、
今回のイスラエルの問題を解決してくれることを信じています。

さて、本号の内容です。

<><><><><><><><><><><><><><

<第212号> ダイバーシティ

<><><><><><><><><><><><><><

日本の組織では、部下が上司に頼るということが、
決して不思議ではありません。

むしろ頼りがいのある上司こそいい上司。
そのことに反論を唱える人は、日本には少ないと思います。

小学生のころから、上級生は下級生の面倒を見て、
部活動では先輩は後輩の面倒を見て、
社会に入ってからも、上司は部下の面倒を見ます。
この面倒を見るというのは、
部活や仕事だけでなく、
例えば整理整頓や礼儀作法や、いろんなものを含みます。
企業によっては、入社するとまず覚えるのは、
雑巾掛けや電話対応など、といったことも少なくありません。

一方で、こういった慣習が身についている国は、
世界でもそれほど多くはないと思います。
掃除をするのは、掃除を仕事とする人の役割です。
マネージャーは、マネジメントが仕事であり、
マネジメントに対して責任があり、
面倒を見続ける必要のあるメンバーはむしろ負担になるので、
早い段階で見極めて、クビにして、
新たなメンバーに取り替えなければなりません。

マネージャーには、権限が与えられていて、
マネージャーの権限には「承認」の権限もあり、
メンバーは、マネージャーの「承認」がなければ、
仕事を進めることができません。
そのため、仕事を進める上で、
メンバーはマネージャーに「支配」されます。

逆に言えば、マネージャーはこの「承認」の権限を
どうやって活用するか、その力量がマネジメント力であり、
人を育てるのも、取り替えるのも、
この支配力をどのように使うかによって左右されます。

これを日本語で書くと違和感がありますが、英語にすると
すごく自然で、当たり前な文脈となります。

日本企業で育つと、外資流のマネジメントは権威的に感じます。
日本企業でそだった人材が、アメリカ企業に転職すると、
まるでアメリカ人の奴隷になったような感覚を覚えます。

集団に属する以上、誰かに支配されるのは当たり前。

日本型組織は、この支配されるという感覚を極力感じさせることなくして、
でも実際はどの国よりも強い、終身雇用を背景とした見えない支配力で、
メンバーを組織に結びつけてきたと思います。

さて、グローバルに展開して、人件費の安い国のリソースを使う。
日本企業も海外企業も行っていることです。

では、そういった人件費の安い国の人々が、アメリカ企業を日本企業よりも
支配的で、高圧的なマネジメントを行う組織と感じているかというと、
決してそうではありません。むしろ逆だと思います。

アメリカ企業は、すべての人にその会社の経営層になる道を開いています。
本当にその道が存在しているかどうかは別として、
少なくとも、その道は見えていて、実際に経営層には、
ジェンダーや人種が多様なメンバーが並んでいます。

マネージャーに大きな権限が与えられていて、
クビになるかもしれない恐怖と、
マネージャーを頼っても何も解決しないという孤独感があっても、
自分がいつかマネージャー側になれるという希望が、
一部のメンバーを理念に結びつけるための、
一つの原動力として機能しています。

日本資本で、これができている企業はなかなかないと思います。

日本企業の打ち出すダイバーシティは、
どこか形のない愛の表明のようなもので、
ダイバーシティの教育等はしっかりやっていますが、
海外売上比率が50%近くの企業でも、
マネジメント層の顔ぶれは日本人と白人ばかりです。

ダイバーシティを経営手法として活用するのではなく、
企業のあるべき姿として、夢を語っているようなイメージです。

インドの賃金が日本よりも安く、インド人が優秀。
だからインドのリソースを活用する。
インドのリソースを最大限に活用するためには、
経営層にインド人を任命する。

当たり前のことなのですが、
なぜか、このことを当たり前ではなく、
ドラスチックに感じてしまうことが、
日本企業の国際的な競争力の低下を招いているように感じます。

会社統治の形態が欧米と日本とでは異なるため、
どちらが望ましいかどうかは分かりません。
内需回帰の動きの中で、日本企業が海外資本に支配されないためには、
経営層を日本人で固めるのはある意味必要なことかも知れません。

ただし、科学的に考え、
前向きにダイバーシティを経営手法として導入している欧米企業は、
ダイバーシティを前提としたマネジメント手法を、
どんどん発展させていっています。

日本の優秀な若い人材の中には、
部下をしっかりと育てる責任感の強い上司よりも、
強い権限を持って、使えないメンバーを取り替える上司がいる企業に対して、
自らの成長を引き出すことができる組織と感じる人材も増えてきています。

仕事はどんどん複雑化、細分化されているので、
部下をしっかりと育てるために割く時間を、上司はなかなか取れないようになっており、
日本企業も人材を流動化して、中途で即戦力を補うようになってきています。

もしダイバーシティが正解だった場合、
大きな意味で、欧米企業と日本企業との差が、
開くような気がします。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

メールマガジン「グローバル市場開拓」
☆発行責任者:牧野好和
☆公式サイト:http://www.japan-product.biz/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001687506.html

2023-10-15 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

Related article