<第133号>新陳代謝

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第133号>
新陳代謝
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

流れない水は腐る。

組織ではよくこの表現が使われます。

官僚にしても銀行マンにしても商社マンにしても、
ずっと最初から最後まで同じポジションということは稀だと思います。

同じポジションに居続けると経験が蓄積されて貢献度が高まる一方で、
反論できる人が少なくなり、その人の器以上には組織が成長できなくなります。
そして、本人も成長できなくなり、さらには驕りも生まれてきます。

あらゆる歴史で衰退は腐敗から生まれます。
だから、新陳代謝で組織を活性化させることが重要です。

しかし業務が細分化されて分業化されている今の時代、
新陳代謝が難しくなっています。

自分以外に知っている人がいない、
自分の仕事を守るために、他の人には教えない
クライアントからは、この人でないとできないと言われる

こういった言い訳が、新陳代謝を難しくさせ、
専門職というカテゴリを作り、
エキスパートという肩書きを作り、
逆三角形の年齢分布からなる組織構造が、マネージャー職以外の
専門職やエキスパート職の人数を肥大化させています。

大企業になるほど、この構造は顕著です。
専門職やエキスパート職の多い組織の企画案と、
若くて冒険心のある無知なベンチャー企業の企画案とどちらが魅力的でしょうか?

今の日本は、ユーザー側は、
専門職やエキスパート職の多い組織の企画案、
つまり、流れなくなっている水を飲む傾向にあります。

海外では、ユーザー側は躊躇なく、
勢いよく流れる水を飲んで、自らを新陳代謝させて、
成長させています。

自らが腐らないように、
自らに流れる血液を循環させることと、
腐った水を飲まないことの、
両方が重要と思います。

さて、本号の内容です。

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<第133号> 新陳代謝

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翻訳は主観的なプロセスです。

ある1000単語の日本語があり、
超優秀な英語ネイティブの翻訳者であるAさんとBさんが
同じその日本語のコンテンツを英語に翻訳をしたとします。

ではAさんとBさんの翻訳の結果が100%合致するでしょうか?
それは絶対にありません。
いくら超優秀な2人であっても、その答えは全く異なるものになるでしょう。

言語は生き物であり、翻訳する人によって翻訳結果は必ず異なります。

あらゆるものに共通で、100%の正解はなく、
当事者同士が合意した内容をもって、正解とみなされます。

つまり、ユーザー側に好みが存在しています。
あるユーザーにとっては、Aさんの翻訳が好みであり、
あるユーザーにとっては、Bさんの翻訳が好みということになります。

では、Aさんの翻訳が、自らの好みに合致しているというユーザーXがいて、
そのユーザーが、毎回Aさんに翻訳を依頼しているとします。

Aさんが翻訳をしてくれている限り、ユーザーXは安心です。
だからユーザーXにとっては、Aさん以外の翻訳者は受け入れられません。

でもAさんはユーザーXの社員ではありません。
Aさんは翻訳のプロジェクトよりも優先しなければならない仕事が入る可能性があります。
毎回ユーザーXの求める納期にAさんが自分の都合を合わせて、翻訳をしてくれるとは限りません。

また、ユーザーXが、自分以外の翻訳者に翻訳を依頼しないともしAさんが知ったら、
そこには競争原理が働くなります。
Aさんはどれだけ仕事を受けても、ディスカウントはしないでしょうし、
ユーザX向けの仕事は、他に発注いかないなら後回しにしてもよいと思うようになるかも知れません。
ちょっと複雑な案件が来ると、文句を言うようになるかも知れません。
もしそうなったとしても、Aさんが悪いのではなく、新陳代謝を行おうとしないユーザーXの問題です。

そういった結果を導かないようにするためには、
ユーザーX側で、Aさん以外の翻訳者でも、Aさんに近い翻訳ができるように、
代替リソースを確保しておくことが重要です。

ただし冒頭の通り、翻訳は主観的プロセスのため、Aさん以外の翻訳者に依頼した場合、
たとえ優秀な翻訳者でも、Aさんに違い翻訳になるとは限りません。

そこで、ユーザーXにとって重要なのは、
用語集やスタイルガイドを用いて、自社が求める翻訳とはどのような翻訳なのかを、
事前に翻訳者に情報提供しておくことです。
そうすることで、最初の納品物から比較的Aさんに近い翻訳が納品され、
かつレビューやフィードバックを繰り返す間に、
どんどん自社の好みに合った翻訳が実現していきます。

一度用語集やスタイルガイドを作成していけば、
何回でも、何人の翻訳者にでも適用できます。

このような仕組みをつくっている企業は、
特定の人に業務を依存することなく、
新陳代謝し続けることができます。

10年たっても特定の翻訳者の言いなりになっている企業と、
10年の間に、自分の好みにあう翻訳リソースを増やし続けている企業
どちから競争力が高いか、一目瞭然と言えます。

本号の内容は以上です。
来週も何卒よろしくお願い申し上げます。

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2022-01-23 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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