<第132号>エスカレーション
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
グローバル市場開拓 メルマガ
<第132号>
エスカレーション
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
会社に入って、10の仕事があったとします。
最初から10全部高いレベルでできる人と、
最初は全くできない人がいます。
高い評価を受けるのは、最初から10全部高いレベルでできる人です。
最初から10全部高いレベルでできる人には、次の新しい挑戦が与えられます。
きっとそれを乗り越えて更なる成長をしていくと思います。
一方で、最初は全く仕事ができない人は、
10の仕事ができるようになるまで大変です。
もしかしたら10の仕事ができるようになる前にドロップアウトしてしまうかも知れません。
でも頑張ってやり続ければ、きっと10の仕事ができるようになるでしょう。
さて、ポイントは、10の仕事の次の新しい挑戦の話です。
最初から10の仕事ができる人と、
がんばって10の仕事ができるようになった人とでは、
次の新しい挑戦の意味合いが異なります。
100%完璧な人間などいないので、どんな優秀な人でも壁にあたります。
最初から仕事が全くできず、壁に当たり続け、そして乗り越え続けてきた人は、
一つ一つの壁を乗り越えるノウハウを身につけています。
そして何よりも大きいのは、最初から壁を乗り越えてきた人は、
壁を乗り越えられない人の気持ちがわかり、
壁を乗り越えられない人を応援して壁を乗り越えるための方法を導くことができることです。
最初から10の仕事がすべてできる人と、一つもできない人を同じラインに立たせるのがかつての日本型組織。
最初から10の仕事がすべてできる人を持ち上げ、一つもできない人を切り捨てるのが欧米型組織。
日本型組織では、10の仕事がすべてできる人は物足りないかも知れません。
それでも、みずから新しい挑戦をし、仲間を支え、みずから成長した人が、
今の大企業の役員や部長といったポジションになっていると思います。
日本型組織では、最初から一つの仕事もできない人にとっては、過酷な環境です。
それでも、みずから壁を乗り越え、感謝の気持ちを忘れず、壁を乗り越え続けてきた人が、
今の大企業の役員や部長といったポジションになっていると思います。
それによって、かつての日本型組織では、できる人ができない人を助け、全体で成長する形に自然となっていました。
最初から10の仕事ができて、一つの仕事もできない人を見下し続けてきた人は、
みずから成長できず、また、人を導くこともできないでしょう。
そういった人は、かつての日本型組織では高く評価されませんでした。
欧米型組織ならば、能力さえ高ければ、その能力に応じたポジションは公平に与えられると思います。
日本型組織でも、徐々にそういった方向になってきています。
そうなると、自らを安全な場所において、人を攻撃することで、
自らの評価を維持するということが広範囲に行われるようになります。
日本型組織では従来なかった、GiverとTakerという存在に分かれていくことになります。
最初は少し、誰もが狭苦しい世の中になったな、と感じると思います。
でも、物事は最後には必ずよい方向に治ります。
常に挑戦を続け、
常に人を応援し、
TakerであるよりもGiverである人に対して、悪い結果が待っているとは思えません。
今の、日本型組織が欧米型組織にかわりつつあるこの時代も、
私たちに課せられた、11個目の挑戦だと思います。
さて、本号の内容です。
<><><><><><><><><><><><><><
<第132号> エスカレーション
<><><><><><><><><><><><><><
日本型組織では、上司は部下の行動に責任を持ちます。
欧米型組織でも、上司は部下の行動に責任を持ちます。
ただ少し意味合いが違います。日本型組織の責任は武士道的です。
部下に過失があったとしても、責任を上司が丸ごと背負います。
欧米型組織の場合は、上司の指示に従わず、部下が間違った行動を起こし、
それにより問題が発生した場合は、部下の首が飛びます。
上司は、きちんと指示をしたので、むしろ評価が高まるでしょう。
担当同士で解決できなければ、課長同士で、課長同士で解決できなければ部長同士で、
こういったエスカレーションプロセスが日本型組織では、
いまだに一部行われています。
一見茶番であり、多大な時間をロスしており、部長同士の話し合いには
きっとほとんど中身はありませんが、
こうやって責任が分散されていくことで、担当者は外部から守られます。
そして、部長は課長に、課長は担当に、
「二度と同じ間違いをしないように」
と説教をして、改善に繋がっていきます。
欧米型組織のエスカレーションは、
会社にとっての損害を最小限におさえるために行われます。
問題が発生したら、最も迅速に、最も適切に解決するための方法が取られます。
一番簡単なのは、担当者の首を切ることです。
それによって会社の損害が最小限にとどまるならば、
当然その選択肢がとられることになり、そして雇用の流動性等のその他の要因も
踏まえると、おそらくそれが正しい回答だと思います。
どちらが良いとか、悪いとかいう話ではありません。
グローバルビジネスをする上で、
海外の担当者は「交渉の手段」として、
質問を無視したり、のらりくらりと対応したり、
こちらの意向を無視してどこかに意図的に誘導したり、
ということを行います。
これは、交渉プロセスなので悪いことではなく、
結果として最後に合意すれば
双方ハッピーになります。
しかし、日本型企業で育ってきた人にとって、
このやり方は不誠実に感じます。
そして、不誠実なのはその担当者の人間性に問題があると感じます。
最悪な場合、「上司だせ」といったような、
交渉とは無関係なことを言うことがあります。
交渉を逸脱することは、決して良い方向に導きません。
海外の担当者が、いろんな策をねって、自分自身にとって、
自社にとって最良の結果に導くように交渉をしている中で、
交渉の場からの退出を促すようなコメントをすると、
その時点で交渉は崩壊する可能性があるでしょう。
崩壊をしないとしても、相手の「パートナー」としての心情は失われていくと思います。
仮に、その担当が交渉を進めるために、仕方なく要求を受け入れ、
上司が出てきたとしても、上司も担当も、
スタンスは同じなので、結果は悪くなっても、良くなることはありません。
おそらく、担当者より影響力のある上司に、みずからの人間性を暴露し、
自らの、そして会社の評価を低めることになります。
欧米型組織にもエスカレーションプロセスはあります。
むしろ日本よりもはるかにエスカレーションプロセスはしっかりしています。
必要であれば、自らの判断で、エスカレーションを行います。
お互いにそれを知っているから、「上司だせ」みたいなセリフは飛び交いません。
欧米型企業に武士道を押し付けるよりも、
相手をよく知り、相手がどのような交渉の仕方をしたとしても、
自らが誠実に対応し、
交渉を終えて心から握手することこそが、
真の武士道だと思います。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。
メールマガジン「グローバル市場開拓」
☆発行責任者:牧野好和
☆公式サイト:http://www.japan-product.biz/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001687506.html