<第131号>流通とものづくり

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第131号>
流通とものづくり
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

メタバースが注目されています。
Facebookが社名をMetaとしたり、
中国の株式市場で元宇宙関連銘柄が急上昇したり、
今後マーケットはメタバースを柱に再編されていく程の勢いです。
今存在が確かでないものが、将来私たちの生活の中心になる可能性があります。

マイクロソフト、アップルやテスラなど、
大きな課題を解決するという信念で新しいソフト的なものづくりを形成してきた企業もありますが、
多くのプラットフォーマーはものづくりではなくむしろ流通の観点で既存の市場を破壊して、
新たな秩序を形成してきました。

メタバースの時代になってから、もし今の時代を振り返ったとき、
プラットフォームビジネスは
リアル空間とバーチャル空間への過渡期に存在していた
歴史の一部に過ぎないことになるかも知れません。

バーチャル空間はリアル空間では実現できないことが実現できます。
その分、バーチャル空間はリアル空間よりも奥が深く、
バーチャル空間の中にさらにいくつものバーチャル空間が存在し得ます。
バーチャル世界の管理人は、果たして人間に務まるのか、という問題もあります。

バーチャル空間がリアル空間に影響を及ぼす時代はすでにやってきています。
バーチャル空間とリアル空間の主従が逆転するのがいつか、という論点は、
人工知能が人類の知能を越えるのはいつか、という論点と、
同じ文脈で論じられることになります。

世の中は複雑であり、風が吹けば桶屋がもうかります。
人は衣食住なしには生きていけません。
愛と死は、努力だけでは乗り越えられない生命の源泉です。
バーチャルでは生命活動を維持することはできず、
アルゴリズムが将来を100%予測することはあり得ません。

その一方で、マネーが世界の共通言語になり、
マネーと権力はすでに切り離せなくなり、
かつての宗教と権力との関係以上の関係性をグローバルで構築しています。
コミュニケーションはすでに0と1の信号を通じて行われており、
個人情報は知らない間にどこかに奪われ、かつ利用されています。
オイルという世界秩序がシェールの誕生でバランスを崩し、
再生可能エネルギーとSDGsという新たな世界的な潮流が、
世界秩序をオイルからデータに急速に変化させようとしています。

バーチャル空間には、ハードもソフトも含めて、
ものづくりは無くなるかも知れません。
存在するのは流通。
リアル空間に残ったものづくりを、バーチャル空間で獲得し、
生命を維持する。

そこに愛はあるのか?
科学と宗教を真剣に考えるタイミングに来ていると思います。

さて本号の内容です。

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<第131号> 流通とものづくり

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一次産業から二次産業へ、二次産業から三次産業へ。

経済発展が進むほど三次産業としてのサービス産業の割合が増えます。

では経済の維持のために一次産業と二次産業は不必要かというと、
決してそうではありません。
グローバリゼーションの恩恵で、
経済発展を遂げた国は、
効率的に一次産業と二次産業を他国のリソースから調達できるようになりました。

経常収支と貿易収支はもはや合致しておらず、
日本企業も多くの企業が貿易ではなく、
海外の製造拠点からの資本収入で外貨を得ています。

ファブレス企業がデザインと設計で、
世界の高いシェアを持つようになり、
メーカーとものづくりはイコールではなくなりました。

メーカーではない企業がブランディングとマーケティングで
市場支配力を持つようになりました。
メーカーにとって重要なのは、
品質よりもマーケティングになってきました。

レッドブルなど、マーケティングで成功をした、
工場をもたないメーカーは、世界中に数多く存在しています。

日本のものづくり企業も、グローバルでの競争力を維持するために、
製造をEMSやファウンドリーに依存せざるを得なくなっています。

ブランドを持たない鴻海が世界ブランドのシャープを買収し、
ブランドを持たないTSMCが、世界シェアの大半を誇った日本の半導体企業から
市場を大きく奪いました。

ものづくりが高度化すればするほど、皮肉なことに、
下請けや中間業者の重要性が高まっています。

下請けや、中間事業者を軽視してきた日本企業の多くが、
この罠にハマっています。

海外の企業は、下請けや中間事業者という見下した表現は使いません。
アウトソースだろうと、ベンダーだろうと、
すべてパートナーです。

もしこれが、欧米とアジアといった地域性から生じているならば
文化の違いに起因していると言えます。
しかし、そうではなく、
日本企業と、韓国企業、台湾企業、中国企業とを比べた場合、
日本企業が下請けや中間事業者を軽視してきた事実は否めません。
そしてその背景には、かつて世界の15%以上を占める世界第2位のGDPを誇り、
右肩上がりの成長を続けてきた日本企業の奢りが少なからずあるように思います。

日本企業が独自の信念をもって
流通ではなくものづくりに特化して、磨き続けてきたならば、
かならずその成果はどこかで出てくるはずです。
良いところを取り入れ、悪いところを改善するならば、
今世界の4-5%くらいになっている日本のGDPも、
かつてのように世界の1割以上を占めるようになるでしょう。

日本企業がグローバル市場から学び、改善すべきところは、
外のリソースの活用方法だと思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願い申し上げます。

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2022-01-09 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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