<第123号> 知的財産権

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第123号>
知的財産権
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

農作物は人間によって栽培されます。
リンゴのフジにしても、お米のコシヒカリにしても、
品種改良によって、栽培しやすく、かつ美味しいといった
ブランドが確立されてきました。

リンゴの栽培を最初に誰が始めたのか、
米の栽培を最初に誰が始めたのか?
その人の名前を正確に特定することは困難でしょう。

一方でビジネスは権利という概念でなりたちます。
ものを売る権利、ものを所有する権利、表示する権利。
日本産の農産物も、グローバル化の影響を受けて、
知的財産で保護していかなければなりません。

知的財産権はグローバル化の中で、支配的地位の確立のために
使用されることもあります。
インドのニームの木に含まれる農薬効果をインド人は
何世紀も前から発見していて使用していたにもかかわらず、
アメリカ企業が特許を設定し、その特許が却下されるまでに
15年もかかったのは有名な話です。

知的財産権が利益を生み出す権利である以上、
その権利を守るために知的財産産を登録するだけでなく、
すでに存在しているが誰も登録していない権利を、
いち早く登録しようという動きがあるのは必然と思います。

行動が正しいかどうかは、ビジネスの問題の前に倫理の問題があり、
たとえ権利が確立されても、社会的な批判に晒されることになります。
そういったことも踏まえて、各企業は、
自らの権利を保護し、確立するために知財戦略を確立しています。

グローバルにビジネスを展開する上で、
知財に関する知識は不可欠となっており、
グローバル企業にとっての知財戦略の重要性は高まっています。

さて本号の内容です。

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<第123号> 知的財産権

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知的財産権は無形物です。
資産のように物理的に保有することはできません。

この無形物を権利化するための手法として、
日本をはじめ多くの国で先願主義がとられています。

先願主義では、2人が同じ発明をした場合、
どちらが先に発明をしたかということよりも、
どちらが先に出願したかということがまず先になります。
自分が先に発明したにもかかわらず、
他の人に先に出願されてしまった場合は、
拒絶のためのアクションを起こす必要があります。

出願された特許は、成立の前に公開されるので、
拒絶のためのアクションを起こす必要がある人は、
申請された内容を知ることができます。

このように、たとえ先に発明したとしても、先に出願されてしまったら、
権利を確立する側ではなく、権利を潰す側に回らなければならないことになるため、
いかに迅速に「出願」するか、ということが重要になります。

一方で、知的財産権にかかわる法律は各国で異なります。

そのため、特許を申請するためには、
各国それぞれで手続きを行う必要があります。
知的財産権にかかわらず、所有権に関わる権利は、
それぞれの国で手続きを行わなけければならないのは、
当然のことと言えるでしょう。

先に「出願」することが重要である一方で、
各国それぞれで「出願」の手続きを行わなければならないことになると、
例えば、日本で公開された特許を外国人が見て、
外国でその内容をそのまま出願して、外国での特許を成立させる、
といったことも起こり得ます。
そうなると、知的財産は保護されなくなってしまいます。

そのため、特許には国際的な枠組みが存在しています。
これらの枠組みを使用することにより、
日本人の場合、日本特許庁に対して日本語若しくは英語で作成した国際出願願書を1通だけ提出すれば、
それによって優先権が付与されます。

その枠組みには二種類あり、
パリ条約(Paris Convention for the Protection of Industrial Property)と
特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)
パリルートやPCTルートと言われています。

パリ条約の場合は、優先権のみが付与される一方で
PCTの場合は出願した「出願日」が適用されること、
パリ条約の場合は優先権主張の期間が12ヶ月に限られている一方で、
PCTの場合は30ヶ月以内に国内段階に移行すれば手続きができるため、
PCTの方がメリットが多いため、PCTが主流になりつつありますが、
一概には言えず、パリルートで取り組んだ方がメリットが
大きいケースもあります。

自社でノウハウを確立している企業も、国際出願は
国際的な弁理士事務所と連携して取り組んでいるケースが多いです。

以下の特許庁ホームページで各国の制度を知ることができます。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/mokuji.html

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

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2021-11-07 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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