<第122号> ファーマーズ・チェーン
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第122号>
ファーマーズ・チェーン
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
人は美しいものを手に入れようとします。
美しいものは心を豊かにします。
巨匠の絵画の価値は時代を経てどんどん価値が上がっていきます。
価値の高いものを保有する人は、それを維持するためにも
多額の投資をします。
建築物にしても同じであり、世界最古の木造建築である法隆寺も、
それを維持する人たちのおかげで美しさが保たれています。
誰もが美しいと感じるものの一つに田園風景があります。
残念ながら美しい田園風景に関しては、
維持する方向ではなく、破壊される方向に向かって行きました。
バブルの時代には、テーマパークに変わった田園もありました。
宅地として造成された田園はもう元には戻れません。
田園が減り、人口が増え、食物の50%がフードロスとして廃棄されている一方で、
美しいものの価値はどんどん高まっていく、
そんな矛盾の時代に私たちは生きています。
インドをはじめ新興国では農民の自殺が後を経ちません。
農地の保有者が、気候変動の影響で作物が作れない年があると、
自らの所有物である農地を手放して、
翌年の苗を購入します。
気候変動のために、農地所有者から小作人に変わり、
作物を育て、借金を返すサイクルに移ります。
自分の育てた作物の価格は、グローバリゼーションの影響で、
市場価格が下がり続けます。
育てる作物を、簡単に変えることはできないので、
結局収入は減り続けることになります。
その結果、自ら命を絶たざるを得ない人が増えています。
美しい風景を破壊し、正直な勤労者から搾取するこの仕組みは、
決して正しいと言えないでしょう。
しかしこれが今の流通の仕組みの現実です。
農作物の考え方は電力供給に似ていると思います。
どんな時も、電力が供給されることを前提としたピーク電力か、
それとも需要を予測して常に最適な電力供給量を維持しようというデマンドレスポンスか?
常に豊富な農作物が、スーパーマーケットにずらりと並んでいるということを、
消費者が求めなくならない限り、
美しい田園風景は、減り続けると思います。
そして、その結果、私たちが口にするものは、
遺伝子組み換えといったものになっていきます。
この仕組みを変えようと奮闘する人たちもいます。
ファーマーズマーケットを運営する人たち、
それ以外にも、日本でも多くの農家の人たちや、
最近地方に移住を始めた若い力等が、新しい仕組みに取り組んでいます。
私自身含め、全員が変わらない限り、
なかなか今の仕組みは変わらないと思います。
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<第122号> ファーマーズ・チェーン
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6次産業化が言われて久しいです。
一次産業としての農業、二次産業としての工業、三次産業としてのサービス業。
これらをすべて足すと6。
いちご農家が、市場に流通できないけど十分おいしいいちごを使ってジャムを作り、
そのジャムをネット通販で販売する。
こういった6次産業が実現すれば、いちご農家の方の所得も増え、廃棄されるいちごは減り、
市場に流通する食品が増えます。
まさに一石三鳥。
しかし、その実現は簡単ではありません。
まず労働力。いちご農家の人は今の倍働かなければならないのか?
そしてノウハウ。いちご農家の人はいちごの栽培はプロですが、加工や流通はプロではありません。
自ら営業したりプロモーションしたりといったことはたとえいい製品であったとしても、
簡単にはできません。
そして資金。お金が全てではありませんが、何を始めるにもまず資金が入ります。
6次産業化は、理論としては素晴らしくても、
ビジネスとしてのサイクルが回り始めることができるのはわずかです。
ようやくビジネスとして回り始めたとしても、
そのビジネスがもし「儲かる」となった場合、
大手資本の資本の手が伸びてきて、
気がつけば大手GMSのプライベートブランドになっているということもあり得ます。
資本主義である以上、これは致し方ないことと言えます。
少しづつ、変わり始めてきています。
若い力が、自分たちのネットワークを作り始めています。
SNSを駆使して、ファーマー同士の情報交換を行うような動きも出てくるでしょう。
一次と二次と三次をつなげる役割を担うNPOも出てくるでしょう。
クラウドファンディングで、6次産業化を支援する動きも出てくるでしょう。
こうして出来上がったファーマーズ・チェーンは、
ローカルであり、グローバルであると言えます。
サプライチェーンのような、アセンブリを頂点としたピラミッド構造ではなく、
ブロックチェーンに代表される相互監視の仕組みに支えられるでしょう。
ファーマーズ・チェーンが構築されるのは、そう遠くない未来と思います。
そして、そのファーマーズ・チェーンは、
日本が推進するSociety 5.0のサイバー・フィジカル・システムによって、
新しい流通の仕組みを構築していくことになると思います。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。
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