<第94号> 部品加工

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第94号>
部品加工
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

私は愛知県出身です。
愛知県にはトヨタ自動車があります。
小学生の時にはトヨタ自動車の工場に
社会見学に行かせていただきました。

三菱自動車も大きな工場があります。
デンソー、アイシンといったトヨタと繋がりの強い巨大な部品メーカー、
愛知機械のような日産とつながりの強い大手部品メーカーもあります。
新日鐵のような製鉄工場が自動車メーカー、自動車部品メーカーに素材を提供しており、
ヤマザキマザックのような機械の工場、
ノリタケやOSGのような工具の工場、
日本特殊陶業のような電子部品の工場など、
自動車を生産するために必要なあらゆる産業の、
巨大な工場がたくさんあります。

そして、巨大な工場だけでなく、
その下請けのまた下請けのような町工場もたくさんあります。
町工場が頑張っているおかけで、
高品質な自動車が生産できます。
町工場がものづくりを支えていることは
自動車に限らず、あらゆる産業で共通の事項と言えます。

1990年代、耐久消費財の生産が海外に移転しました。
人件費や為替リスクヘッジといった目的もあり、
その後も海外への生産移転は加速します。
そして中国のWTO加盟後、中国市場が急速に大きくなります。
BRICSやVISTAと呼ばれる新興国が新たな市場として注目を集めます。
そしてリーマンショック後は新興国市場が
グローバル経済を牽引します。

大型の耐久消費財は物流コストがかかるため、
できるだけ消費地に近い場所で生産する必要があります。
自動車メーカーは、
中国、東南アジア、東欧、中米での生産を加速します。
それに大手自動車部品メーカーはついていきます。

グローバル化に取り残されたのが、
高品質で製品を提供し続けることで、
最終製品の完成度を高めることに常に寄与してきた町工場です。

さらに3Dプリンター等のデジタル技術が追い討ちをかけます。
金型や治具といった高品質の製品にも、
どんどんデジタルテクノロジーが入ってきます。
どのテクノロジーも、導入には大きな投資が必要です。

日本の経済成長を支えてきたのが町工場であることは
疑う余地がありません。
町工場が廃れてしまうと、日本経済も廃れるかも知れません。

一方で、国の政策は町工場を救うのではなく、
淘汰する方向に徐々に向かっています。

町工場が再び、
自らの力で新たな環境に適合しなければならないタイミングになっていることを感じます。

デジタル化とグローバル化にどう対応していくか、
町工場にとって大きなテーマです。

さて、本号の内容です。

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<第94号> 部品加工

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部品加工には量産加工と一品加工があります。

金型や治具は精密なすり合わせが必要です。
一つの金型や治具が大量の部品を作り出します。
大量の部品の品質は、金型や治具の品質に左右されます。
金型や治具は一品加工、
金型や治具によって生産される部品は、
量産加工と言えます。

他にも一品加工には試作品があります。
どんな量産品も最初は試作品が必要です。
試作品でトライアンドエラーを繰り返してから、
量産品としての生産ラインを構築します。

一品加工品は、毎回異なる要求に、
常に定められた納期までに、
求められる品質で提供する必要があります。

量産加工品工場ではこういった細かい対応は
なかなかできません。
そこで、多くの一品加工品は、
町工場によって担われています。

一言で一品加工といっても、
加工対象となる素材は様々で、求められる加工方法も様々です。
素材や加工方法が違えば、使用する設備も異なります。

そのため、各町工場で対応できる内容は限られています。
研磨が得意な工場、チタンのような難削材加工が得意な工場、
超精密加工が得意な工場など、
工場によって得意分野が分かれます。

これまでは、各得意分野を持つ工場が無数に存在して、
それぞれが連携して、そして切磋琢磨して、
エンドユーザーのために高品質な一品物を提供してきました。

今、エンドユーザーが海外にいき、
多くの町工場は仕事が減り、後継者不足から廃業も増えています。
さらに、エンドユーザーが海外に行った結果、
現地の一品加工メーカーが育ち、
安くて高品質な一品加工品が逆に日本に入ってきています。

今、部品加工メーカーには、
SiCやCFRPのような、新しく、かつ加工の難しい素材を加工する技術と、
営業力とマーケティング力
の両方が求められています。

NCネットワークや京都試作ネットのように、
各社連携して営業・マーケティングに取り組み、海外から受注している事例、
由紀精密のように高品質を売りに積極的に海外展開している事例もあります。
また独自に3ヶ国語、4ヶ国語のWEBサイトを制作し、
WEBマーケティングに取り組んでいる町工場もあります。

求められたものを確実に作りことではなく、
価格、納期、高品質の他に自社の差別化された強みを認識し、
自ら積極的にグローバルに仕事を取りに行く方向に考え方を切り替え、
そのための投資をしている町工場は、
今も仕事が増えています。

町工場にとって、「グローバル市場」を意識する重要性が高まっており、
その重要性はこれからさらに加速度的に高まると思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願い申し上げます。

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2021-03-28 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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