<第91号> 生産材
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第91号>
生産材
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
かつて、日本の商習慣は
メーカーがあって、卸売があって、小売があるという、
卸売がハブとなる流通構造が、
市場に柔軟に対応するための重要な機能を果たしてきました。
小売価格の変動を卸売が調整することもあります。
原料価格の変動を卸売が調整することもあります。
小売の在庫不足や過剰在庫を卸売が補うこともあります。
メーカーの生産過剰や生産不足を卸売が補うこともあります。
小売1店舗ではメーカーとの交渉力をもてなくても、
小売何十店舗を抱えている卸売が変わりにメーカーと交渉をしてくれることもあります。
メーカーが直接小売に依頼しても小売がOKしてくれない場合でも、
卸売が小売に依頼するとOKをしてくれることもあります。
卸売の担当者が頻繁に小売を訪問してくれるおかげで、
小売は欲しい製品や情報を入手できます。
卸売の担当者が頻繁にメーカーを訪問してくれるおかげで、
メーカーは需要予測や市場のニーズ等の情報を入手できます。
卸売がハブとなることで、小売・メーカーともに、
手間を大きく省くことができ、
そしてそれ以上に、すべての当事者が
無理も喜びも分け合って、
心地よくビジネスを継続することができました。
しかしインターネットの登場は、産業構造を変えました、
ネット通販が卸売の機能を一部担うようになりました。
ネット通販は品揃えも多く、価格も安く、便利です。
その一方で、ネット通販のシェアが高まれば高まるほど、
小売も、メーカーも、最終消費者も、
自分でやる作業が増えます。
そしてそれ以上に、
いろんなことを思っても、
伝える相手がなかなかなく、
不満がたまるという問題を生みました。
ネット通販は、「不平不満を対面で伝える相手がない」という
問題に関してはそのままに、
CXという「顧客体験を最大化する」という名目で、
AIやロボットを使って、情報をどんどん一方的に提供していきます。
よくも悪くも、ビジネスシーンでの
AIやロボットの活躍の場は広がり、
対面でのコミュニケーションはどんどん減っています。
対面コミュニケーションの不足は、
不満があっても気が付かない、
気がついても解決しないままで済んでしまう
という問題を放置し続けます。
この状況は、いつまで続くでしょうか?
この問題に向き合うことが、
これからのビジネスで最も重要ではないか?
と思います。
さて、本号の内容です。
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<第91号> 生産材
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工場での生産のために様々な設備や消耗品が使用されています。
生産ライン、ロボット、搬送機器、専用設備、工作機械などの資本財
PLCなどのFA機器や画像処理のためのカメラ、
ドリル、エンドミル、チップ、切削油
さらには手袋や安全靴なども欠かせません。
工場によっては測定のための定温ルームや、
クリーンルームもあり、そういった環境を保つための
設備も欠かせません。
量産製品を製造している工場で、
ドリル1本がないために生産ができないということになると、
大きな問題が発生します。
そのため生産材の調達は、
原材料や部品などの中間材の調達と同様に、
重要な意味を持ちます。
日本企業が海外でモノづくりをする場合、
最初はノックダウン方式で、
部品も生産材もすべて日本から海外に送るというところから初めるかも知れませんが、
現地拠点を安定的に継続的に稼働していく上では、
現地調達をしなければなりません。
日本と同じ商品を同じ品質で海外拠点で作るためには、
現地調達で日本と同じ生産材を購入できることが理想ですが、
価格競争力や調達の安定性を考え、
現地で新たな生産材を評価し、新規購入をする場合もあります。
こういった形で、日本企業の海外でのモノづくりは、
現地での新たなサプライチェーンの構築に大きな貢献をしてきたと言えます。
日本企業だけでなく、ドイツやアメリカの企業も、
中国、東欧、中米、東南アジア等でサプライチェーンを構築してきました。
高品質な生産材は現地生産材メーカーが簡単に製造できるものではなく、
どの市場でもやはり欧米と日本の企業の製品が
高いシャアを持っています。
近年では台湾や韓国の生産材メーカーも高品質の生産材を
相対的に低価格で提供し、シェアを高めています。
さらに、中国、東欧、中米、東南アジア等のモノづくりも、
日米欧資本の企業だけでなく、
中国、台湾、韓国、その他現地資本の企業の実力が高まっています。
生産材の調達については、
・外資工場がノックダウンで本国から調達
・外資工場が外資製生産材を現地で調達
・現地資本工場が現地製生産材を調達
・現地資本工場が外資生産材を現地で調達
・外資工場が現地製生産材を現地で評価し調達
といった様々な形態があります。
そして、いずれの分野でも将来的にはネット通販での調達が増えていくと思われます。
日本製生産材はグローバルで評価が高いです。
一方でたとえ日本製生産材を仕入れる力があっても、
ネット通販の場合は抱えているユニークユーザーの数がなければ売れません。
生産材のグローバル展開に関しては、
すでに大きな変革の波が起こっています。
生産材のマーケットは大きく、裾野も広いため、
この分野のマーケットリーダーは大きな影響力を持つことになるでしょう。
グローバルでのBtoBのネット通販にどのように対応していくか
というテーマが、生産材メーカーにとって、
ますます大きなテーマになっていくと思います。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。
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