<第90号> ヘルスケア

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
グローバル市場開拓 メルマガ
<第90号>
ヘルスケア
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

投資は、資産を増やすために行います。
一方で、投資した金額が戻ってこないリスクもあります。

100円投資して、110円のリターンを得る方法はなかなかありませんが、
1億円投資して、1億1千万円のリターンを得るということならば選択肢が広がります。
そして、投資する金額が大きければ大きいほど、
期待するリターンが大きければ大きいほど、
リスクは高くなります。

投資リスクを分散させるために様々な金融商品が開発されました。
こういった金融商品のおかげで、金融全体の安定を維持することができています。
大きな金額を投資する人、ハイリスク銘柄に投資する人のおかげで、
金融全体の安定を維持することができているとも言えます。

金融緩和が続き、マネー資産とファンダメンタルズとの距離が
どんどん離れていっています。
万が一、バブル崩壊ということになれば、
これまで誰も経験したことがないような大規模なものになるはずです。

一方で、マネーの流動性が高まっていることで、
クラウドファンディグやスタートアップへの投資も進み、
そこから社会的意義の大きな事業が誕生しています。

これらのスタートアップやクラウドファンディングは、
収益を最大化することよりも
社会的課題を解決したり、地域社会に貢献したり、
芸術、その他創作活動を促進したり
といったことを目的としている場合が多いです。

投資とリターンが双方向ではなく、
個人が投資した金額のリターンが社会に向かい、
その後で社会から投資した個人にリターンが返っていくような
循環型の方向が出来つつあるような気がします。

資本主義である以上、マネーが世界の共通言語であるという
原則は変わりませんが、
インプットしたマネーのアウトプットが再びマネーという
考え方は、少しずつ変わっているように感じます。

金融緩和に急ブレーキがかかるのか、バブルが崩壊するのか、
非常に微妙なタイミングですが、
どのような結果になったとしても、
これからは斬新性だけでなく、社会性に共感を集めた企業が
多くのマネーを集め、そのマネーを効果的に運用して、
社会課題を解決していくような、
マイナーチェンジが起こっていくと思います。

さて、本号の内容です。

<><><><><><><><><><><><><><

<第90号> ヘルスケア

<><><><><><><><><><><><><><

本号から産業毎にグローバル市場開拓を見ていきたいと思います。

最初にヘルスケア産業を取り上げさせていただいたのは、
今大きな変化が起こっているからです。

人の健康はお金には換算できません。
健康は産業とは言えないでしょう。
その一方で健康の維持のためには、
多くのステークホルダーが関わっています。

医療、医療機器、製薬、
さらには院内設備、薬の流通、
健康診断、体温計や体重計など、

健康に関わる事業は数多く、
かつ、一つ一つの規模も大きいです。

医療や健康は行政と密接に関わっており、
医師法、医療法など法規制も多く厳格、
健康保険制度は
地方自治体、健康保険組合、協会けんぽ等の保険者が
担っています。
医薬品も医療機器も
販売のためには各国の許認可を得なければなりません。

そのため、ヘルスケアは「グローバル市場開拓」からは
程遠い存在だったと言えます。

そういった中でヘルスケア「産業」として、
3つの大きな変化が起こっています。

一つは医療ツーリズム。
進んだ医療を受けるため、あるいはより充実した設備で医療を受けるために、
富裕層を中心に国を跨いで医療を受ける人が増えています。
タイは外国人患者を受け入れることのできる設備・語学の備わった病院がいくつも存在しています。
インドネシアの富裕層はシンガポールで健康診断を受ける人が多いです。
日本でがん検診を受ける中国の富裕層もいます。
こういった医療の国際化の流れは、付随する産業の国際展開を促進することにつながると思います。

二つ目はデータ。
健康アプリ、母子手帳アプリをはじめ、様々な無料ソフトウェアがあります。
さらに日本では電子カルテ(EHR)やPersonal health Record (PHR)の
仕組みも政府が積極的に推進しています。
またアップルのiWatchでは脈拍数を測定できるなど
医療機器としての一定の機能が備わっています。
こういったアプリやコンシューマデバイスを通じて集められたデータは、
これまでの治験では得られなかった新たなアウトプットを導く可能性があります。
そして世界ダントツの超高齢社会の日本で得られたデータに基づくアウトプットは、
今後日本の次に超高齢社会を迎える国々にとっての重要なソリューションとなります。

三つ目は規制の動きです。
規制そのものが、産業育成の観点から一部緩和される傾向にあります。
日本でも「レムデジビル」がスピード承認されて話題になりましたが、
薬事承認の期間の特例を適用する事例が増えています。
また規制のサンドボックス制度のように、データによる実証を根拠に、
規制を見直していくような取り組みも始まっています。
社会環境が変化するにつれて、そしてICT化が進むにつれて、
規制の側にも変化が起こっています。

ヘルスケア産業のグローバル展開は、
まだまだプレーヤーも少なく、
経験値も浅いため、今後大きな変化が生まれる可能性があり、
注目のテーマと言えます。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

メールマガジン「グローバル市場開拓」
☆発行責任者:牧野好和
☆公式サイト:http://www.japan-product.biz/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001687506.html

2021-02-28 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

Related article