<第68号> サプライチェーン4
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第68号>
サプライチェーン4
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
資本主義では収益を上げることが大原則です。
収益を上げるためには、
安く作ること
高く売ること
たくさん売ること
が大原則のため、あらゆる企業がこの3つを追求してきました。
しかしこの3つを優先すればするほど、
地球環境を破壊することになります。
そういった中でデジタルを中軸としたICT技術が誕生します。
企業はICT技術を活用して、
最大化ではなく最適化を求めるようになります。
「たくさん作って収益を最大化すること」ではなく、
「無駄なものを作らないことで収益を最大化する」
ことが重要なテーマとなりました。
大量生産・大量消費に対して、
資本主義の立場でNoと言えるようになったことは
大きな前進と言えます。
一方で、資本主義の立場に立つと、
これから儲かるビジネスはモノづくりではなく、ICTということになります。
実際、企業はビジネスモデルをどんどんデジタルにシフトしていきます。
既成概念に囚われない若い頭脳が、新しい発想で、
「世界観を変える」ICTテクノロジーをどんどん世の中に提供し、
その頭脳に投資することで「儲かる」ことを知っている大人が、
「短期的」で「利己的」な観点から、
大きな金額を投資している、というのが、今の社会のような気がします。
カリフォルニア大学バークレー校の生物学者
ギュンスター・ステントが1960年代に執筆した
『進歩の終焉、来るべき黄金時代』に、
「社会がもっと裕福で快適になるにつれて、ますます困難になる
科学の道、あるいは芸術の道を選ぶ若者はどんどん減っていくかもしれない。
多くの者たちは、単なる快楽の追求に走り、ことによると、
麻薬や、脳の中に直接刺激を送る電子装置によって引き起こされた幻想と
引き換えに現実を放棄するかもしれない。」
といったコメントがあるそうです。
(ジョン・ホーガン『科学の終焉』徳間書店1997年より)
50年以上も前のこの予測にドキっとするのは私だけでしょうか?
ソフトとハード、人工知能と人間といった対立観念で把握する視点は
思考のプロセスをわかりやすくしてくれる一方で、
「幸せ」と「収益」を同じ領域で考えることを導きます。
このままでは、ステントの予測する未来に向かっていってしまうと思います。
子供の頃に習った、「僕たち地球人」の歌、
そこで出てくる、小さな地球の上に、様々な容姿のおおきな子供が、
手を繋いで立っている絵。
アメリカの大統領選を迎え、世界はいよいよ、分断を加速しています。
この絵を実現してきた国が、別の方向に向かっています。
「僕たち、地球人。笑顔がいっぱい、夢の星。手と手をあわせて、つくろうよ」
時代は、試練を私たちに与え、私たちはそれを乗り越えることで、良い方向に向かっていきます。
諦めてはいけないと思います。
さて、今週の内容です。
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<第68号> サプライチェーン4
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アジア新興国はモノづくりを自国に取り込むために、
輸出加工区を設けてきました。
輸出加工区とは・・・
製造をするためには、部品や原材料が必要となります。
その部品や原材料を輸入する際には関税がかかります。
関税を払って原材料や部品を輸入して、製造して、
その全量を再度輸出する、ということになると、
関税は純粋なコストとなります。
しかし、輸出加工区では、その加工区で製造した製品については、
関税含めて税金がかからないことになっています。
例えば、中国広東省の輸出加工区に製造子会社を設立し、
そこで家電製品を組み立てることになった場合、
半導体やハウジング用の部品など、膨大な数の部品が必要となります。
その部品には、中国国内で調達するもの、海外から輸入するものもあります。
また、部品を売買する場合もあれば、委託加工の場合もあります。
そこで中国では進料加工、来料加工といった輸出加工区の制度を設け、
様々な製造形態で、製造拠点に関税負担が生じないようになっています。
また、輸出加工区の企業は、法人税も優遇されている場合が多いです。
このようにして、アジア新興国は海外企業の製造拠点の誘致を進めてきました。
中国、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシアには、様々な製造業のクラスターがあり、
多数の日本企業がそこで製造をしています。
それぞれの工業団地内、各国内の工業団地内の企業同士、
さらには国をまたいで、工業団地内の企業同士が、
関税がかからない環境下で取引ができるような環境が整備されています。
また、輸出加工区だけでなく、保税貿易が発展しており、
シンガポールやフィリピンでは活発な保税貿易が行われています。
保税倉庫で保管している製品についても、関税はかかりません。
また、保税貿易ではいったん貨物を保管することになりますので、
そこは貨物船や航空機のハブ拠点にもなります。
そこで、MROと呼ばれる、船や航空機のメンテナンスとしてのサービス業も発展してきました。
このように、サプライチェーンは、マーケットや製造コストだけでなく、
税金や物流ネットワークを考慮して構築されています。
これらのネットワークは時間をかけて形成されてきたものであると同時に、
政治の影響も受けやすいものとなっており、
さらには現地での労働問題も重要な論点となっています。
そして、昨今では災害への対応の重要性も増しています。
サプライチェーンの再構築を考える上では、
データだけでなく、サプライチェーンが確立されるに至った背景も
把握することが必要です。
そして、米中対立が深まる今、政治・経済含めて、どういった方向に向かっているか、
といった予測の観点、危機管理の観点も非常に重要となっています。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願い申し上げます。
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