理由

何をするにも難しい時代になっています。かつてのように、これをすれば正解という答えが見つけにくくなったと言われています。経済が成長していないので、頑張れば報われるという保証がなくなったとも言われることがあります。

何かをするのに、理由は必要でしょうか?腹が減ったら飯を食べる。寒いから服を着る。何事も、行動には、理由があります。ただ、理由が必要かどうか、についは、?です。

理由は人それぞれ違ってもいい。勉強するために学校に行く子供もいれば、体育の時間のために学校に行く子供もいれば、給食のために学校に行く子供もいます。それぞれが、それぞれの理由で、輝いています。昔は喧嘩するために学校に行く子供もいて、そういった子供は、番長と呼ばれて、やはり輝いていました。

仕事をするのも同じだと思います。お金を稼ぐために働くという人もいれば、家にいたくないから仕事をするという人もいれば、大学出て就職して、そのままレールの上を動いているような感覚で勉強が仕事に置き換わった人もいれば、昔強い喧嘩相手を探し続けたのと同じ感覚で、自分が強くなるためだけに難しい仕事を探し続ける人もいます。それぞれ、働く目的は違います。

ある時から、きっと、ある時からなのですが、会社が活動する理由はお金を得るためになりました。お金は世界のどの国に行っても、客観的な価値があるため、お金を得ることが大事なのは間違いありませんが、だからといって、お金のために働くのは会社であって、個人はそうではないかも知れません。会社の都合を個人に押し付けようとすると、どこかで歪みが発生します。

ある時から、生産性向上と、公言されるようになりました。生産性をなぜ追求する必要があるか、という説明をすることなく、会社は当たり前のように生産性を追求するようになりました。そして、どんどん個人としての働く理由が、見失われていきました。そうなると、極端な話、毎日会社に行っているけど、会社のことが好きではない、という考えも生まれてきます。

理由は、最初から存在していないと思います。よかったと言われる昔も、難しいと言われる今も、同じです。これはやれば、こうなるって分かっていることからは、新しい付加価値を得ることができません。昔の人が一生懸命がんばったからこそ、今、新しい付加価値を見つけるゆとりはなくなっています。だから、これからも、新しいことをするのは難しい。

強い組織は、理由を押しつけません。メンバーが勝手に、モチベーションを持ってくれるから。そもそも理由を提供する必要はありません。

弱い組織は、お金で解決しようとします。そうすると、生産性向上という勝手な理由を、押し付けるようになっていきます。たくさんのミドルマンが、上から伝わった生産性向上を、そのまま下に流します。ミドルマンも、そのことに疑問を感じるし、その理由を押しつけられたメンバーは、ますますモチベーションを抱くことができなくなる。

どうせやるならば、がんばろう、その方が楽しいから。これが、最高の理由だと思います。

今、私が働いている職場は、そんな理由が勝手にあふれているから、とても気持ち良いです。

明日は、Scrimmage。日本でやるのですが、アメリカとシンガポールからも一人ずつ参加するので英語。ただ、明日の言語は英語です。とメールを送っても、誰一人、「何故」とは聞きません。全員同じ言葉でやったほうが楽しいからに決まっています。

そして、本日、全チームが、明日のScrimmageの練習をしていました。

なぜ練習をするか?誰もそんな野暮なことは言いません。せっかくやるならば、頑張った方が楽しいから。そんなことが、全員の表情から、分かりすぎるほど分かります。

この会社で、ずっと働くことができたら、どれほど幸せだろう。

と思いました。

2020-07-29 | Posted in BlogNo Comments » 

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