<第38号> GDP その20ブラジル
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
グローバル市場開拓 メルマガ
<第38号>
GDP その20ブラジル
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
2016年、リオデジャネイロでオリンピックが開催されました。
オリンピックの開催のためには莫大なインフラ投資が必要なため、
発展途上にある国での開催は珍しいです。
2008年に北京オリンピックが開催されましたが、
新興国での開催は、
その前はおそらく1988年のソウルオリンピックまで遡ります。
財政難だけでなく、治安の問題、デング熱、
さらには追い討ちをかけるようにジカ熱の流行が、
オリンピック開催前のリオデジャネイロに立ちはだかりました。
しかし、結果としてリオデジャネイロオリンピックは、
世界中に大きな感動を与えてくれ、大成功に終わりました。
リオデジャネイロの住民の4分の1が
ファベーラと呼ばれるスラムに住んでいて、
ファベーラの治安は世界最悪の水準とのことです。
オリンピック会場にコンサルタントとして訪れていた
大師匠に教えていただいたのですが、
リオデジャネイロ・オリンピックをよく見ていると、
ファベーラが自分たちの誇りであるということを
主張しているシーンがたくさんあったそうです。
国を挙げて取り組むオリンピック。
レガシーという表現が使われていますが、
対外的な発信だけでなく、対内的な発信にも力を入れ、
例え貧富の格差が大きくても、様々な人種が住んでいても、
開催期間中、住民が成功に向けて一体となって取り組んだことが、
リオデジャネイロ・オリンピックの
本当の素晴らしさであると教わりました。
さて、本号は、地球のほぼ裏側にあり、
たくさんの日本の方々が移民された歴史を持つ、
ブラジルの一人あたりGDPを見てみたいと思います。
><><><><><><><><><><><><><><
<第38号>
GDP その20ブラジル
><><><><><><><><><><><><><><
BRICsの一画をなすブラジル。
人口は、中国・インド・アメリカ・インドネシアに次ぐ世界五位で、
2億人を超えています。
しかし今、日本にいると、BRICsの他の国である
中国・インド・ロシアほどの存在感を感じません。
実際、近年のブラジルはインフレと景気後退に苦しみ続けてきました。
経済の不況を大きな原因として、政治危機に陥り、
ルセフ大統領が弾劾により失脚、
その後経済を回復させると約束して就任したテメル大統領は、
株価や為替を立ち直らせつつありましたが、
収賄罪の疑いで起訴され、2019年3月に逮捕されます。
そしてテメル大統領の次に政権についた極右のボルソナロ大統領は、
農業と採掘のために熱帯雨林を切り開くと公約し、
昨年はアマゾンの森林火災が世界中で大きなニュースとなりました。
リオデジャネイロ・オリンピックの成功にもかかわらず、
ブラジルはまだ経済の不況から立ち直ることができておらず、
また政治的な安定も課題が多い状況です。
さて、ブラジルの一人当たり名目GDPの推移を記載します。
中国と日本の一人当たり名目GDPと比較して見ます。
カッコ内左側が中国、右側が日本です。
今回もJETROのデータを引用しています。
2009年 8,642 (3,838/41,014)
2010年 11,327 (4,524/44,674)
2011年 13,296 (5,583/48,169)
2012年 12,427 (6,329/48,633)
2013年 12,355 (7,081/40,490)
2014年 12,176 (7,702/38,156)
2015年 8,846 (8,167/34,569)
2016年 8,751 (8,116/38,805)
2017年 9,926 (8,667/38,344)
2018年 8,659 (9,580/39,306)
一人当たり名目GDPが1万ドルを超えると、
先進国の仲間入りと言われます。
人口が1億人を超える国で、一人当たり名目GDPが
1万ドルを超えている国はわずかしかなく、
人口が2億人を超える国で、一人当たり名目GDPが
1万ドルを超えている国はアメリカとブラジルしかありませんでした。
実際、ブラジルの名目GDPは、世界8位という、
世界屈指の経済規模を持つ国です。
しかし、今、ブラジルの一人当たり名目GDPは
2015年以降、1万ドルを下回っており、
さらに2009年には半分以下の水準だった中国にも、
2018年には抜かれています。
対日輸入額も近年減少しており、
毎年増加しているメキシコの25%程の金額となっています。
そういったところが、ERICsの中で、
日本にとって存在感が薄く感じてしまう大きな要因と思われます。
一方で、昨年中旬から大きな動きが出ています。
2019年6月、EUがブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイの
南米共同市場(メルコスール)とFTA(自由貿易協定)を合意しました。
また、中国がアメリカとの貿易摩擦のため、調達先をブラジルに切り替えている
という話もあります。
そして、日本もメルコスールとEPA(経済連携協定)を検討しているという
ニュースもありました。
そして、今、ブラジルのインフレ率も落ち着いています。
対外的な関係改善により、
もしかしたら、長い間停滞していた巨大市場が、
再び活性化するかも知れません。
本号の内容は以上です。
来週も何卒よろしくお願い申し上げます。
メールマガジン「グローバル市場開拓」
☆発行責任者:牧野好和
☆公式サイト:http://www.japan-product.biz/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001687506.html