Breath
呼吸によって取り込まれた酸素は、心臓によって血液の循環にのって、各臓器に送り込まれます。そして各臓器で活動エネルギーとして燃焼されます。酸素が送り込まれない限り、各臓器が活動できません。
フランスの化学者が燃焼とは元素の結合であることを示したのは1777年。呼吸も燃焼の一つであることを証明しました。
自動車が発明されたのは1769年と言われています。やはりフランス。最初の自動車は蒸気で動きました。
人体の解明と、人を助ける動力としての機械の発明とは、どことなく似ていると感じます。1880年代にダイムラーとベンツが内燃機関で動く自動車を販売。そして1908年のT型フォードの開発後は、自動車は大衆にとっても所有の対象になります。
エンジン音はうるさいですが、どこか心地よい。ガソリンを取り込んで燃焼するという機能が、どことなく人体のメカニズムに似ているからでしょうか?
人は、いつか親元を離れて自立します。寂しいですが、成長は喜びでもあります。そして、人には、必ず、一人で活動しなければならないときがある。生まれてきた宿命だと思います。
人によって作られた自動車は、人がいなければ、動けない機械でした。人がいなければ、動けない機械は、呼吸することによって、動く機械でした。しかし今、呼吸しない車が実用化され、その呼吸しない車は、人の力を借りずに自分で考えて運転できるようになりつつあります。
人は、呼吸をしないと、生きられません。ただ、脳が動くメカニズムについては、まだ解明されていません。AIは、まだ解明されていない、人の脳が学習する仕組みを疑似的に復元するような形で開発されています。機械学習、深層学習。そこにはニューロンという物質が伝達されます。
AIは、最初は、人を教師として判定しますが、最終的には教師なしで学習します。教師の判定するメカニズムをAIが学習するからです。それって、どういう意味?
脳のメカニズムは解明されていません。元素の結合によってエネルギーが生まれ、それで脳は考えているのか?脳は酸素がないと考えられないのか?脳はなぜ、知識や経験だけでなく、感情で判断してしまうのか?
好きな子が近くにいると、脳は正しい判断をしてくれない時があります。大事な時に、脳は動いてくれない時があります。怒りがあると、間違った判断をしてしまうこともあります。だって、人間だもの。
AIの判定結果には、人の判断が及ばない領域が生じます。それが深層学習。その学習効果によって、AIは、チェスや囲碁で、人のチャンピオンにも勝ってしまいます。
自動車は誕生からずっと、人が扱うものでした。フランス人が解明した、呼吸のメカニズムと同じ仕組みで作られていたので、人が扱えるものでした。
今、開発されている、呼吸をしない自動車は、人が扱うものではなく、AIが扱う物です。人類がまだ解明をしていない、脳のメカニズムで開発されたものなので人が扱うのは難しいでしょう。
AIの学習効果は、証明されているので、人はAIを信頼するのだと思います。
優秀な人だから信頼できる人とは限りません。これもまた、脳の不思議。というよりも、今まで人類に悲劇を与えてきたのは、一握りの超優秀な人で、その超優秀な人々が、正しいと思って行ったことが、多くの人々を不幸にしてきたということがたくさんあると思います。
優秀なAIは、優秀な人が開発したもので、優秀であることは間違いないと思いますが、その優秀な人は、信頼できる人なのかどうか、ということは、AIの責任ではなくて、人間の責任だと思います。
少数の超優秀な人が開発した、とびっきり優秀なAIに、多くの人が、身を委ねる時代がやってきていると思います。
こんな時代だからこそ、毎日の呼吸を大事にしていきたいと思います。