<第31号> GDP その13エジプト

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第31号>
GDP その13エジプト
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

初めてエジプトに行ったのは2014年春です。

宿泊したソフィテルのプールでは普通にビールを飲み、
シティスターズのインターコンチネンタルホテルでは
日本人シェフによる鮨と日本酒を御馳走になりました。

どちらのホテルでも周りにいらっしゃるのは中東の方のようです。
欧米人もアジア人もあまり見かけません。
イスラムの国か?と思えないほど開放的で驚きました。

その時は軍事クーデーターの直後。
ホテルの車を運転手つきで借りて2日間お世話になりましたが、
どちらの日の運転手も、話題はシシ(スィスィ)氏のことでした。

これまではエジプトの経済は最悪だったが、
シシ氏の軍事政権がエジプト経済を立て直してくれると、
どちらも大変興奮をされていました。

アラブの春の中で起こったエジプト革命で
ムバーラク大統領が失脚、軍への統治委譲後、
民主的に大統領の地位についたムルシー氏は結局、
エジプト経済を立て直すことができませんでした。

古代文明の発祥の地であり、豊富な観光資源があります。
エジプトを観光に訪れた日本人も少なくないでしょう。

スエズ運河という交通の要衝をもち、
アラブ諸国として珍しく、イスラエルと和平条約を締結しています。

博物館を訪れると、古代エジプト文明の高い技術力に触れることができます。
政治・経済・宗教・文化・教育のどの点をとっても、
大国と呼ばれるにふさわしいバックグランドを持っています。

しかし、長期独裁政権となったムバーラク大統領と、
その後のムルシー民撰大統領の統治下において、
MENA(中東および北アフリカ)の中での
プレゼンスが相対的に低下したことは否めません。

クーデーターを主導し、その後政権についてシシ大統領は
アフリカ連合の議長も務め、国際社会からも高い評価を得て
期待も受けています。

エジプト経済が安定し、観光客も戻っていると聞きます。

今号は、アラブの春後のよい部分は残しながらも、
再びアラブの大国としてのプレゼンスを発揮し始めている
エジプトについてです。

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<第31号>
GDP その13エジプト
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エジプトでビジネスをされている日本人駐在員の方や、
政府の仕事で駐在されている方に
エジプトの印象をお聞きすると、
「ALWAYS三丁目の夕日」というお答えをいただくことが多いです。

実際にエジプトの街中をあるくと、
古き良き時代の日本の姿を
感じる部分がたくさんあります。

街に溢れている製品、建築物などを含めた景色などもそうですが、
誰に道を聞いても親切に教えてくれますし、
話を始めたら止まらないところも、
まるで昔の日本の下町のようです。

アフリカ企業に訪問し、ビジネスの話が終わると、
先方がパンとミルクを出してくださいました。
エジプトでは、パンとミルクという言葉あるそうで、
食べ物は人のお腹を満たしてくれる貴重なもので、
お互いに与え合うのが友人なんだと。
これを食べたら、あなたも私の友人だ、と言われました。

当時の私はすでに38歳でしたが、
男の子として、友達ができた感覚を覚えました。
きっと、「ALWAYS三丁目の夕日」を感じるというのは、
こういうことなんだろうと思います。

エジプトの一人あたり名目GDPをベトナムと比較してみます。
カッコ内がベトナムの一人当たり名目GDPです。
今回もJETROのデータを参照しています。

2009年  2,578ドル(1,160ドル)
2010年  2,922ドル (1,273ドル)
2011年  3,077ドル (1,517ドル)
2012年  3,383ドル (1,748ドル)
2013年  3,400ドル (1,907ドル)
2014年  3,524ドル (2,052ドル)
2015年  3,731ドル (2,109ドル)
2016年  3,686ドル (2,215ドル)
2017年  2,495ドル (2,389ドル)
2018年  2,573ドル (2,590ドル)

ずっと一人あたり名目GDPが伸びていたにも関わらず、
2016年に低下に転じ、2017年には急落しています。

これはエジプトポンドが固定為替から変動相場に移行したためです。
移行によって、ポンドが急落、物価が高騰し景気低迷を招きました。

しかしながら、対ドル為替が半分以下になったにも関わらず、
一人当たりの名目GDPは半分以下になっていません。
実際に、エジプトの経済成長率は、変動為替相場に移行後、
5%を超える、これまでよりも高い水準で成長しています。

エジプトも他のアフリカ諸国同様、経常収支は赤字です。
輸出に大きな課題を抱えていますが、エジプト・ポンド安は、
エジプトの輸出競争力を高めることになります。

そして、エジプトの経済再生プランは今、国際社会で高い評価を受けています。

2018年のエジプトの一人あたりの名目GDPは、ドルベースで
ベトナムとほぼ同水準です。
成長著しい新興国ベトナムと、今後の復活が期待できるアラブの大国エジプト。

今後どのような将来を描いていくことになるのか、
2カ国を比べてみていくとわかりやすいと思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

2019-12-15 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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