<第30号> GDP その12南アフリカ

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第30号>
GDP その12南アフリカ
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

海外で、これまで最も食のコストパフォーマンスが良かったのは
どの国か?という問いに対しては、
「南アフリカ」と答えます。

もちろん、中国・タイ・フランスなどでも、
たくさんの美味しいレストランに出会いましたが、
シーフードの新鮮な素材が豊富で、
しかもその素材にあう現地ワインが豊富な国という点では、
南アフリカが最高だと思います。

ソムリエがワインをチョイスしてくれ、
豊富な種類の牡蠣がのった大皿をサーバーの方が
片手をうまく使いながら見せてくれて、
その中から食べたい牡蠣をチョイスします。

日本で食べたらすごい金額になると思いますが、
南アフリカで食べると日本での居酒屋の価格です。

ただ、日本人にとってリーズナブルな価格でも、
現地では高級レストランであることは忘れてはなりません。

庶民が滅多にできない贅沢をして、
満足してレストランの外に一歩出ると、
そこには現実の世界が広がっています。
残念ながら、まだ、一人で安全に出歩くことができる世界ではありません。

日々を生きることに一生懸命の肌の黒い若者達の中を、
スーツを着た黄色人種として横切る勇気が私にはありませんでした。
自分自身の弱さを感じます。

その一方で、信号で止まった高級車の中から、
白い腕が、日々をたくましく生きている路上の若者に
チップを渡している姿をよく見かけました。
大きな格差の中で、見て見ぬ振りをしないところが、
南アフリカであると感じました。
自分自身の弱さと未熟さを改めて感じます。

希望峰と呼ばれた国際航路の要所。
ケープタウンを超えることができる大きなサイズの船は今も
ケープサイズと呼ばれています。

英語圏と認識している方が多いと思いますが、
公用語が英語なのであって、実際は多言語国家です。

BIG5(ライオン、サイ、ヒョウ、ゾウ、バッファロー)に
代表される、自然豊かな国ですが、気候変動の脅威に直面しています。

黒色人種を隔離したアパルト・ヘイトが有名ですが、
インド人の契約労働者も多数過酷な環境下で労働してきたことも
忘れてはなりません。
後にインドの独立運動の精神的指導者となったマハトマ・ガンジー氏も、
当時の南アフリカで非暴力闘争で平等擁護のために戦っています。

さて、今号は、世界の希望と矛盾を引き受けてきた国、
南アフリカについてです。

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<第30号>
GDP その12南アフリカ
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BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が
特にリーマンショック後、
次の国際社会の成長を担う国として注目されました。

そして、BRICsに続くグループとして注目されたのが
VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)です。

早速ですが、南アフリカの一人あたり名目GDP総額を
インドネシア・ベトナムと比較してみます。
カッコ内左側がインドネシアの一人当たり名目GDP、
カッコ内右側がベトナムの一人当たり名目GDPです。
今回もJETROのデータを参照しています。

2009年  5,926ドル(2,465ドル/1,160ドル)
2010年  7,381ドル (3,178ドル/1,273ドル)
2011年  8,083ドル (3,689ドル/1,517ドル)
2012年  7,574ドル (3,745ドル/1,748ドル)
2013年  6,908ドル (3,684ドル/1,907ドル)
2014年  6,509ドル (3,534ドル/2,052ドル)
2015年  5,801ドル (3,371ドル/2,109ドル)
2016年  5,327ドル (3,604ドル/2,215ドル)
2017年  6,182ドル (3,876ドル/2,389ドル)
2018年  6,377ドル (3,871ドル/2,590ドル)

南アフリカの名目GDP総額は2018年の推定で、3,767億ドルです。
インドネシアの2018年の名目GDP総額は1兆220億ドルです。
ベトナムの2018年の名目GDP総額は、2,450億ドルです。

インドネシアやベトナムのような成長のダイナミズムは
南アフリカからは感じません。
名目GDP総額でベトナムが南アフリカを超えるのは時間の問題であると感じます。
インドネシアとの差はますます広がっていくでしょう。

一方で、南アフリカは、製造業を中心とする二次産業、
金融・通信を中心とする三次産業が発展している点で、
他のアフリカ各国と異なります。

世界第一位の産出量を誇った金については、新たな資源を発掘することは
難しいほど掘り尽くされていると言われていますが、
南アフリカで根付いた鉱業に関する技術は、
他のアフリカ各国での新たな資源採掘の重要なノウハウとなります。

南アフリカ、および南アフリカ周辺各国を市場として見ることよりも、
アフリカ全域に向けての二次産業、三次産業の足掛かりとして
見ることが重要であると思います。

アフリカの人口はまだ10億人を下回っていますが、
2030年代にはアフリカの人口は中国やインドを超え、
2050年までに20億人を超えると言われています。

一方で日本のアフリカに対する投資は
イギリス、フランス、中国を大きく下回っています。
実際に南アフリカのショッピングセンターを訪れても、
日本ブランドで出会うことはほとんどありません。

経済発展が十分でないアフリカの国では
トヨタの中古車ばかりが走っていますが、
経済が発展している南アフリカに行くと
GM・クライスラー・現代や起亜などの新車が
目立ちます。
日本企業のアフリカ進出の遅れを感じざるを得ません。

日本の強い産業でアフリカ市場に参入する上で、
南アフリカを入り口と考えると、
ストーリーを組み立てやすいように思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

2019-12-08 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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