<第27号> GDP その9中国
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第27号>
GDP その9中国
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の古白です。
中国には2005年くらいから頻繁に訪問をしています。
2005年頃は上海の地下鉄も3号線くらいまで、
北京の地下鉄もメインは真ん中で交差している2つ
だけだったように記憶しています。
当時日本人出張者が地下鉄に乗るのは珍しく、
出張者は大抵、タクシーを使っていました。
地方都市の企業に訪問する際も、
空港を降りてから車をチャーターをしていました。
ただ、車ではいけない距離の都市も多く、
鉄道を使うときもありました。
夜行列車に乗るのですが、まず乗るまでに一苦労です。
乗ってからも座席が直角な上に、
立っている方もたくさんいらっしゃり、
大きな声でお喋りをされている上に、よく叩かれるので、
全く眠ることができず、大変な思いをしました。
長時間の移動の際は寝台列車に乗るのですが、
寝台列車では問題なく、ぐっすり眠ることができました。
起きると、周りの人たちがひまわりの種を食べていたのを
よく覚えています。
種の皮はゴミ箱ではなく床に捨てていました。
2008年頃から、上海も北京も地下鉄網が発展しました。
道路の渋滞もひどくなったので、
欧米人も日本人も地下鉄を使うようになりました。
地下鉄に乗っていると、物乞いに来る方が
必ずいらっしゃり、多くの中国人がポケットから
お金を出して渡していたことを覚えています。
地下鉄を降りるのが一苦労で、当時は
乗る側が降りる側を待ってくれないので、
下(シャー)を繰り返しながら押しのけて降りました。
2012年くらいから、地下鉄で物乞いをする方は
あまり見なくなりました。
その代わりに、歌を披露しながら、車両を移動する方を
見ました。
いつ訪問しても、生命力のある国だな、と感じました。
その頃から、地下鉄の窓から外をみると、地下の壁に
列車から映像を投影する形の広告をよくみるようになりました。
列車にも動画で共産党のニュースが流れています。
どちらも、日本では行っていないことでした。
2014年以降は、上海で地下鉄に乗っても、
みんな礼儀正しく、乗る方も降りる方を待ちます。
なぜ急に礼儀正しくなったのかを聞くと、香港との間のビザの関係で、
上海人は香港を訪問しやすくなり、みんな香港から学んだと
おっしゃっていました。
吸収力の速い国だな、と思いました。
今では上海も北京も、20本前後の路線になっており、
それぞれ東京よりも総距離の長い地下鉄網を持っています。
そして、中国の大都市を高速鉄道がつなぎ、
中国メーカーの製造する新幹線が走っています。
大都市では、中国で生まれたハイテク企業が、
中国の莫大な市場を基盤に急成長をしています。
11月11日の独身の日のアリババの売り上げは
1日で4兆円超え。
世界最大の人口を持つ中国市場が
巨大なことは言うまでもありませんが、
それだけ巨大な市場をこれだけ急速に変えた
中国政府の力には本当に驚きます。
香港や南シナ海、さらには米中貿易摩擦など、
中国のプレゼンスが高まるにつれて、
様々な問題が大きくなっています。
日本の隣国であり、歴史のつながりも深い国。
日本の経済に対する中国の影響がますます大きくなっていくことは、
避けられないと感じます。
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<第27号>
GDP その9中国
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1990年、日本の名目GDPは米国に続く世界2位で、
世界の名目GDP総額の13.7%を占めていました。
一方、当時の中国の名目GDPが占める割合は1.7%。
日本の10分の1にも満たない水準でした。
しかし2000年に中国がWTOに加盟してから、
急速な経済成長を遂げ、2010年には日本を抜き、
世界第二位の名目GDPとなり、2017年には
世界の名目GDP総額の15%以上を占めるようになっています。
バブル景気で世界中から注目を集めた当時の日本よりも、
今の中国の方が世界経済におけるプレゼンスが高くなっています。
そして、成長が停滞している日本と違い、
中国は今も経済成長を続けています。
さて、中国については、名目GDP総額と一人当たりの名目GDPの推移を両方見ていきたいと思います。
括弧内に日本の数値を記載して比較させていただきます。
※ USドルベース JETROホームページを参照
【名目GDP総額】単位:10億ドル
2009年 5,122 (5,231)
2010年 6,066 (5,700)
2011年 7,522 (6,158)
2012年 8,570 (6,203)
2013年 9,635 (5,156)
2014年 10,535 (4,850)
2015年 11,226 (4,390)
2016年 11,222 (4,927)
2017年 12,062 (4,860)
2018年 13,368 (4,972)
2010年に日本の名目GDP総額を超えて、5年も経たずに
日本の名目GDP総額の倍以上となっています。
2018年には約2.7倍まで差が開いています。
【一人当たり名目GDP】
2009年 3,838 (41,014)
2010年 4,524 (44,674)
2011年 5,583 (48,169)
2012年 6,329 (48,633)
2013年 7,081 (40,490)
2014年 7,702 (38,156)
2015年 8,167 (34,569)
2016年 8,116 (38,805)
2017年 8,667 (38,344)
2018年 9,580 (39,306)
まもなく先進国の水準と言われる
一人当たり名目GDP1万ドルに達します。
中国の場合、沿岸部と内陸部の所得格差が大きく、
今のところ沿岸部経済の上昇が、
全体としての一人当たり名目GDPを押し上げていると思われます。
ただし、北京、天津、上海、杭州、深センといった沿岸部大都市でも、
給与水準は、一般社員で年収100万円程、管理職で200万円程と、
まだまだ日本よりも低い状況です。
これまでの沿岸部の給与水準の上昇ペースを
考えると、賃金はまだ上昇すると思われます。
一方で、内陸部における人件費は相対的に低く、
世界の工場としての役割は引き続き果たしていくと思われます。
そして多言語を学んで諸外国の大学で技術を学んでいる若者が
たくさんいて、そういった若者が帰国して、
新たな産業をますます発展させていくでしょう。
通商上の紛争や内政・外交上のリスクを抱えているものの、
数値の上では、中国の伸びしろはまだまだ大きいと思われます。
政治が安定している限りは、世界経済における中国のプレゼンスは、
まだまだ高まっていくと言えます。
中国については論点が多く、
本号ではGDP数値の日本との比較のみにとどめさせていただき、
中国については、改めて、
別のシリーズでご紹介させていただきたいと思います。
今号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。