<第21号> GDP その3インドネシア

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第21号>
GDP その3インドネシア
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の古白です。

9月26日の日本経済新聞に
マッキンゼーのアジア会長 オリバー・トンビー氏の
コラムが掲載されていました。

以下、引用させていただきます。

『私たちの定義するアジアは中東を除き、
オセアニアを含む地域を指す。
—(中略)—
アジア地域の国内総生産(GDP)が世界全体に占める比率は
2000年に24%だったが、17年には34%まで増えた。
40年には50%近くまで増大すると見る。
—(中略)—
「アジアの台頭」が言われるが、アジアはすでに「台頭」
の域を超えて、「アジアが世界をリード(けん引)する」
という時代に入りつつあるのだ。
アジアの発展で特徴的なのは、アジア諸国間のフローが増大し、
やや奇妙な表現かもしれないが
「アジアのアジア化」が進行していることだ。
モノもカネもヒトの流れもアジア域内で完結する比率が増えている。』

この記事を読んで、
世界経済におけるアジアのプレゼンスが高まるということは、
アジアの国同士の貿易額が増えるという、
すごく当然のことを、これまで見落としていたことに、
気がつきました。

世界最大の貿易黒字国は中国、世界第2位の貿易黒字国はドイツですが、
中国の最大の貿易相手はアメリカ(19%)、第2位はEU28カ国(16.4%)です。
(2017年のデータ/通商白書2018より)
一方、ドイツの貿易相手としては、EU域内国が全体の約6割を占めています。

アジア経済圏が世界の半分を占める規模に拡大したとき、
中国の最大の貿易相手はアメリカでも、EUでもなく、
ASEANになっているのではないかと思います。

そういった時代が来た時でも、
アジアで引き続き欧米の消費財ブランドは憧れの対象になっているのでしょうか?

私はアジアの経済が世界の半分を占めるようになった時、
ブランドに限らず、あらゆる消費の価値観が、
大きく変わっているのではないかと思います。

さて、今号はASEANの大国、インドネシアです。

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<第21号>
GDP その3インドネシア
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外務省のデータによると、
インドネシアの人口は2.55億人(2015年)。

中国、インド、アメリカに次ぐ世界4位の人口規模です。
その一方で、名目GDP総額では、
インドネシアはまだ日本の5分の1程度となっています。

インドネシアの名目GDP総額と(一人あたり名目GDP)です。

2009年  578 billionドル(2,465ドル)
2010年  755 billionドル (3,178ドル)
2011年  893 billionドル (3,689ドル)
2012年  919 billionドル (3,745ドル)
2013年  917 billionドル (3,684ドル)
2014年  891 billionドル (3,534ドル)
2015年  861 billionドル (3,371ドル)
2016年  932 billionドル (3,604ドル)
2017年 1,015 billionドル (3,876 ドル)
2018年 1,022 billionドル (3,871 ドル)

必ずしも毎年安定して成長を続けているわけではありませんが、
この10年で名目GDP総額が倍近くになっていて、
一人あたりの名目GDPは1.5倍以上になっています。

さて、以下がインドネシアの二輪車販売台数(単位:千台)です。

2009年  5,852
2010年  7,369
2011年  8,013
2012年  7,064
2013年  7,744
2014年  7,867
2015年  6,480
2016年  5,931
2017年 5,886
2018年 6,383

一方、以下がインドネシアの自動車の販売台数(単位:千台)です。

2009年  486
2010年  765
2011年  894
2012年  1,116
2013年  1,230
2014年  1,208
2015年  1,013
2016年  1,063
2017年 1,079
2018年 1,151

二輪車も自動車が2014年がピークです。
2015年には二輪車も自動車も2割近く販売台数が落ち込んでいます。
一人あたりのGDPを見ると、2013年から下がり、
2015年が最も低くなっていることが分かります。
インドネシアは産油国なので、原油価格の下落が
GDPの落ち込みの背景にあるようです。
二輪車も自動車も、その販売台数はある程度GDPと連動しています。

一方、自動車の販売台数は2016年から再び増えているのに対して、
二輪車の販売台数は2016年、2017年も下降を続けています。

その理由として、GDPの伸びだけでなく、
GDPの金額も影響しています。

インドネシアの二輪車の販売台数の伸長の背景に、
月給を下回る金額を、数年間、毎月払い続けることで
新車のバイクを手に入れることができるようになったことがあります。

例えば、月5,000円を24ヶ月支払えば12万円です。
もちろん、利子や頭金もあるので、単純でありませんが、
一般に、一人あたり名目GDPが1,000ドルを超えてくると、
二輪車が割賦で購入できるようになると言われています。

同様に、一人あたり名目GDPが3,000ドルを超えてくると、
自動車が割賦で購入できる層が増えてくると言われています。

したがって、今のインドネシアの一人あたりGDPの水準から考えると、
二輪車から自動車へのシフトが始まっている段階にあると言えます。

まだ、インドネシアの人口あたりの自動車保有率は5%程度と言われています。
今後、インドネシアの一人あたりGDPが順調に伸び続けると、
中国のように、インドネシアの自動車販売台数が爆発的に
増えていく可能性があります。
それを見越して、近年、日本のファイナンス会社などが、
自動車ローンを提供するためにインドネシア市場に参入をしています。

その一方で、ジャカルタやバンドンなど、インドネシアの大都市の渋滞はひどく、
またジョコ・ウィドド大統領も排ガス規制に力を入れています。

一人あたり名目GDPが1万ドルを超えると、先進国の水準と言われますが、
ジョコ・ウィドド大統領は、2045年までに、
インドネシアの一人あたりGDPを2万ドル近くまでにすることを目標としています。
そして、先進国では、今、CASEやMaaSによって到来するモビリティ社会を
迎えようとしています。

モータリゼーションの波が訪れる所得水準を迎え、そして先進国に追いつき、
追い越そうとしているインドネシアで、自動車の販売台数が果たして増えるのか?

インドネシアの自動車産業の今後の動向が、
これから拡大していくアジア新興国の消費のあり方を見る上で、
一つのメルクマールになっていくと思います。

今週の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

2019-10-06 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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