<第6号>Distributorとの契約のポイント その2テリトリー

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第6号>
Distributorとの契約のポイント その2テリトリー
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の古白です。

今週は、オリンピック観戦チケットの抽選結果の発表があったようです。

当たって喜んだ人や、友達が当たったということで喜んだ人や、

全部外れたということで残念がっている人や、

様々な人がFacebookに投稿されていて、恥ずかしながら

それで初めて、抽選があったことを知りました。

前回の東京オリンピックを知らない私のような世代にとって、

自国で開催されるオリンピックは初めての経験です。

競技以外で様々なドラマがあるということを感じています。

ロゴに始まり、スポンサー、競技場、さらには競技期間中のテレワーク推奨、

そしてインフラの整備など、

オリンピックを招致してから無事開催を終えるまでに、たくさんの変化が

「身近」に起こっています。

4年に一度のビッグなお祭り。

日本に次回、いつやってきてくれるか、全くわかりません。

楽しんだ方が、絶対によいな、と思います。

さて、第6号の内容です。

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<第6号>
Distributorとの契約のポイント その2テリトリー
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本メルマガの第3号で、

「独占販売代理店」としてのDistributorには、

自社も直接販売することができない排他的独占を意味する

「Exclusive Distributor」

自社は直接販売でき、他の代理店は任命しないことを意味する

「Sole Distributor」

を使い分けるという手法があることを、説明させていただきました。

もちろん、ExclusiveやSoleという言葉を使い分けることよりも、

契約の中身としてきちんと意味を定めて合意することが重要ですが、

独占か、非独占か、のどちらかではなく、その権利の内容を細かく交渉するという点で

このExclusiveとSoleの使い分け方を知っておくことは大切です。

そして、そういった合意した販売代理権が大きな意味を持ってくるのがテリトリーです。

海外の販売代理権を与える際に、

1)全世界とする

2)アジアやヨーロッパといった地域とする

3)中国やドイツといった国単位にする

といった場合があります。

1)については非常にまれであるももの、実務上皆無ではありません。

2)や3)についてはよくある話であり、特にヨーロッパの販売代理店は、

フランスであってもドイツであってもイタリアであっても、

ヨーロッパ、または、EU全域の独占販売代理権を要求してくるのは普通です。

通貨がユーロに統一されており、またシェンゲン協定で移動の自由が確保されている

地域内では、製品は障壁なく流通します。

例えば、カルフールやメトロなど大手GMSの店舗はフランスやドイツに限られていません。

調達場所もフランスやドイツに限られていません。

調達も販売も在庫も、本社のある国ではなく、EUという単位になっています。

スポーツ用品のモンタナ・スポーツ、家具のイケア、衣料品のザラなど、

フランス、オランダ・スウェーデン、スペインだけで取引をしていると思っている人はいないと思います。

このような流通構造をもつエリアで、

例えばイタリアとフランスのそれぞれに独占販売代理店を任命した場合、

イタリアの販売代理店に販売した製品と、フランスの販売代理店に販売した製品が

同じ製品にも関わらず競争関係になってしまい、

その結果自社製品同士で価格競争を繰り広げられることになってしまうという結果に

なりかねません。

グローバルなビジネスに慣れていない場合、

「権利を付与する」というところに論点が言ってしまい、

「ドイツの企業がヨーロッパ全域の独占販売代理権を要求してきたが、

フランスやスペインにもっとよい代理店があると思ったので、

販売代理権をドイツとオランダとオーストリアに限定したい」

という考え方になってしまうことがありますが、

それよりもヨーロッパで自社製品の販売を最大化するためには、

どういったテリトリーで捉えて、どういった販売チャネルで拡販に取り組むか

ということをまず考えることが重要です。

そのためには、在庫をどうするか、物流をどうするか、といったことが定まらないと、

判断ができないと思います。

そして、EUに限らず、TPP、RCEPなど関税の障壁をなくすための国際的な枠組みの

交渉が進んでいます。日本にとって身近なアジアや環太平洋だけでなく、

湾岸諸国でもこういった枠組みは交渉されています。

契約交渉では最初に独占か、非独占か、や、テリトリーをどこにするか、

といったことから議論になりがちですが、

むしろ、テリトリーについては、あらかじめ双方の認識が一致している場合以外は、

契約の諸条件を交渉していく中で、最終的にお互いの利害が一致するまで、

決定は先延ばしにしておいた方がよい場合も、決して少なくありません。

2019-06-23 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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