Silicon Valley
10年前、USA TODAYなどのアメリカの新聞のWEB版を見て、テクノロジーのメニューをクリックすると、ITの記事ばかりでびっくりしました。当時の私にとって、テクノロジーと言えば技術開発。ITのどこがテクノロジーなのか、記事を見てもさっぱりわかりませんでした。
その後、スマートフォンが急速に普及しはじめます。ITもいつの間にかICTとCommunicationがInformationとTechnologyの間に入るようになりました。今では、10年前の自分がなぜテクノロジーのメニューにITの記事ばかりだったことを不思議に思ったのか、そちらの方が不思議です。
10年ひと昔と言いますが、この10年のICT技術の進展は凄まじいと思います。そしてその進展におけるシリコンバレーが果たした役割は大きいと思います。パロアルトとかクパチーノとか、ちょっと変わった地名に世界中の頭脳が集まり、とんでもない発想のテクノロジーが誕生しました。
なぜ、とんでもない発想のテクノロジーが誕生したのか?それは、マーケットを探す人と、ソリューションをつくる人、実際に使う人がその地に集まったからだと思います。
こんなことができるかも。
いやそれよりもこっちの方がすごいよ。
それができたら、すぐ使うよ。
だったら私がお金出すよ。
っていうスピード感の会話が、おそらくその辺のカフェで繰り広げられてきたはずです。
かたや、私がかつてイメージしていたテクノロジーは、研究室で試験管を振って誕生するイメージでした。すばらしい発見でも、それが市場に出るまでには長い、長いプロセスを経なければ行けません。
試験管を振る開発ではなくて、ICTの開発でも、シリコンバレーで開発するのと、日本で開発するのではスピードが全然違うと思います。日本で開発したら、シリコンバレーで開発するよりも、デビューのスピードが遅くなるのではないかと思います。
グローバル化した社会においてはスピードの価値が高まっています。だったら、早いところで開発した方がよい。そうなると、ますますシリコンバレーにICT関連企業は集まることになると思います。
2018年の今、日本でもテクノロジーの記事はICTであふれています。ICTが盛り上がれば盛り上がるほど、シリコンバレーの産業的な競争力は高まります。
マーケットを探す人、ソリューションをつくる人、実際に使う人。これは別にICT技術に限った話ではありません。ボストンはシリコンバレーとまた違った、ロボティクスなどの分野で新たな新技術の集積地を形成しています。
日本はアメリカの後ろをおっかけて、ICTを追求するよりも、シリコンバレーとは違う産業で、マーケットを探す人、ソリューションをつくる人、実際に使う人が集まる場所をつくった方がいいのではないかな、と思います。
例えば、アニメなどのコンテンツ産業とか。
例えば、農業とか。
例えば、医療とか。
IT企業で働いているので、ICTが嫌いなわけではないですが、何でもかんでもICTよりも、ICT以外の分野で新産業の集積が日本にできた方が、ワクワクします。