飛んで火にいる夏の虫
3年ほど前、ケニアに行った時、30人くらいの人が、右と左に綺麗に分かれて大きな声で口論をしていました。まさにこれを一触即発というのだろうという感じでした。お世話をしてくれた人に、「あれは何をしているんだ?」と聞いたら、「ポリティクスだ。危険だから関わるな」と言われました。
当初冗談かと思ってしまいました。ポリティクス?危険?まさに、私が平和ボケしている証拠です。
あらゆる戦争は、政治が原因です。日本の国政選挙への投票率が低いのはまさに平和ボケだと思います。戦争を経験したことがない人たちが政治を動かしているという状況は人類史上初めてかもしれません。
日本だって、歴史の中で戦争を経験していない人が統治したのは、わずかでしょう。徳川将軍の途中くらいからか。これも応仁の乱という悲惨な時代が続いたから、徳川家康という強烈な指導力を生んだのだと思います。人類は、第二次世界大戦という悲惨な事件を起こしたから、これまで極地的な紛争は続いてきましたが、世界的な戦争は起こっていなかった。
しかし今、政治不信がそこらじゅうで起こっています。「なかなか生活がよくならないぞー」って、見もしないカラーテレビをつけて、洗濯機を回して、電子レンジで料理を温めながら、スマホゲームをしている人たちが言っています。人間の欲望は際限ない。だから国家は、国民の目を外に向けさせなければなりません。北朝鮮がミサイルを飛ばして、国民の忠誠心を維持しているように。でもこの動きは、限界があります。つまり、向かう先は必ず衝突。アメリカが保護主義に走っているのは、融和のためか衝突のためか?少なくとも、円満な方向に行っていないことは誰の目にも明らかです。
飛んで火にいる夏の虫。夏の虫って、なぜ火に向かっていくのか?理由があります。そういう本能を持ってしまっているから、虫なりに理由をつけて、火に向かっていくのでしょう。戦争になれば、人間もそうする。そして、人間は、それを使うことで、自らが滅びる、それも全滅することを知っていても、核を持ち続けます。人間には、戦うという本能を持ってしまっているので、人間なりに何かしらの理由をつけて、火に向かっていくのでしょう。
人類と、夏の虫は同じか?いや、夏の虫は、別に地球環境に迷惑はかけません。人間が核をつかうと、人類だけでなく、あらゆる生命を滅亡させます。
火に入ると死んでしまうから、火に入らない夏の虫もいます。でも人類が核をつかうと、せっかく火に入るのをやめた夏の虫も、殺してしまいます。人類が核をつかって自滅するのは人類の自由です。人類なりに、必死になってディスカッションして、自滅する理由を作るのでしょう。でも、せっかく火に入らないことを決めた、賢い夏の虫を殺してしまうことは、避けなければいけません。