シナリオ -scenario-
18歳の時、イギリスのリバプールにある語学学校に行かせていただきました。
部が休みになるテスト期間を使っての1ヶ月の語学留学。
大学の寮に入ったのですが、そこで一生の友人ができました。
お互い、子供達含めて、家族ぐるみの交流が続いています。
私がリバプールに行った目的が、語学留学だったので、
日本に帰る時、英語の勉強を続けるならば手紙を書くのがいいよ、と友人が言ってくれて、
それ以来、大学を卒業するまで頻繁に手紙を出し合ったのがきっかけで、
20年を超える付き合いが続いています。
就職すると、コミュニケーションの手段はメールに変わりました。
メールになると、何時でも連絡がとれます。
そうなると、逆に交流の頻度が減りました。
それまで結構な時間をかけて手紙1通を書いていたのが、メールになると、
いつでも文章を作成して、すぐに届きます。
そうすると、熱意が少し薄れました。
頻度は低くなり、誕生日プレゼントを忘れることもしばしば。
そして、私がアメリカに行っている間にメールがプロバイダへの代金未払いで使用停止になり、友人からのメールが届かなくなっているにもかかわらず、しばらく気がつかないということにもなりました。
しかし、疎遠になっても、しばらく音信不通になっても、それでも結果的にまた交流が始まり、お互い行ったり来たり。
なんだかんだで毎年会っています。
私が海外出張中に、トランジットの合間に、朝7時に待ち合わせ、なんてこともありました。
世界には、70億の人口がいます。
豊かな人もいれば、貧しい人もいる。
背の高い人もいれば、低い人もいる。
肌の黒い人もいれば、白い人もいる。
恋愛も結婚も、一人一人多様です。
引き合う人とは、どこかで出会い、縁ができる。
お互いに刺激しあって、人は成長する。
自分が落っこちてしまいそうになった時に、気づくかどうかは別として、誰かが手を差し伸べてくれる。
自分が傷ついて、初めて人の痛みが分かり、人の痛みが分かると、また引き合う人ができる。
たくさんの人の痛みが分かる人には、たくさんの出会いがある。
生命の源泉は出会いだと思います。
風にのった種子と土との出会い。
土が豊かでなければ、芽は出ません。
草と草食動物の出会い。
草食動物と、それを食べるライオンとの出会い。
そして、残り物を狙うハイエナとの出会い。
どの世界にも、出会いがあり、
それは運命によって、引き合わされています。
出会いからは、必ず何かが生まれます。
今思えば、なぜあの時、イギリスに行ったんだろう?
そして、今、何故ここにいるんだろう?
すべては、地球が作っている膨大なシナリオの中の、
ちっちゃな、ちっちゃな、1ページの中の、
一つ一つの出会いのためのような気がします。
たくさん出会える人間に、一つ一つの出会いを大切にできる人間に、
なりたいものです。