仕事と労働 – Job and Work –
人は生きるために働くのか、仕事をするために働くのか?
お金という概念が、この考え方を難しくしました。
かつては、皆、生きるために働きました。
しかし、今、多くの人が、お金を稼ぐために働いています。
しかし、資本主義のもとでは、富の配分は公平ではありません。
100の労働をして、10の対価を得る人もいれば10の労働をして100の対価を得る人もいます。
10の労働をして100の対価を得る人は、今度は1の労働で1000の対価を得るようになります。
そうすると、1000の労働をして1の対価しか得られない人が出てくる。
1000の労働をして1の対価しか得られない人は、
生きるために働くというよりも、だんだん、1の労働で1000の対価を得る人のために働くようになってきます。
これが、支配。
実はその支配から飛び出せばよいだけなのですが、資本主義がつくった秩序のために、
飛び出しても同じ結果となります。
みんな、この異常な事実を知っている。
でも、自分が1000の労働をして1の対価しか得られない人にはなりたくないので、
いろんなことを見ないふりをして
100の労働をして10の対価を得る立場に落ち着こうとします。
100の労働をして10の対価を得る立場も、1000の労働をして1の対価を得る立場も、
生きるための労働ではなく、仕事のための労働。
仕事とは、1の労働で1000の対価を得る人のためのもの。
さて、ここで重要なのは、100とか1000とか働いて、
10とか1とかの対価しか得ていない人が、仕事が好きかどうか、ということ。
おそらく好きではないでしょう。
おそらく、ビジネスが好きって人はそんなにいないんじゃないかと思います。
子供の頃はサッカーとか野球とか、スポーツが好き。
中学、高校になると音楽が好き。
高校になるとあらゆる日本文学を読み尽くしたという豪傑も出てきます。
それが、なぜか、大学を出ると、ビジネス。
ビジネスは、仕事ではあっても労働ではありません。
ビジネスとは、ビジネスが好きな人が、1の労働で1000の対価を得ようとする仕組みのことをいいます。
それにあえて、みんなそろって付き合う必要はないのです。
重要なのは労働。
働いて、働いた内容にふさわしい対価を得る。その対価で生きる。
それが重要です。
働くとは、端を楽にすることと言われます。
神様は誰にでも公平に才能を与えてくれています。
自分にはできるけど、他の人にはできないことが、誰にだって必ずあります。
これは人間だけではありません。
あらゆる生物や細菌もそう。これが生物多様性です。
有機も無機も、すべてお互いに助け合って地球という生命体をつくっています。
人間の能力は月や星の位置で決まるように、地球は宇宙の中の他の惑星とも相互に影響を与えています。
人も、動物も、地球も、惑星も銀河も、何一つ画一的なものが生まれないように、宇宙が創られているのだと思います。
人間がそろって、ビジネスという勝手な物差しに、おさまる必要はありません。
だったら、今、人は何をすべきでしょうか?
Compassionです。
人の能力を尊重して、人の能力から自分だけが搾取することを考えるのではなく、
人の能力を生かして、よりよい世の中を作っていくように、全員が動くべきです。
すでに、いろんな人が、このCompassionを実現しています。
と、いうか、新しいビジネスは、だんだんCompassionの方に向かっています。
Facebookの「Like」もそう。
これは Compassionのマークだと思います。
Airbnbや UberやEtsyも、Compassionの一つだと思います。
ITの役割は、ビジネスの創出でも富の偏在でもありません。
最適化。
人の能力をマッチングさせて、最適な世の中をつくることこそが、ITの役割。
そもそも世の中の流れなので、物事は正しい方向に向かうと思います。
しかし、資本主義は十分大きくなり、特定の人が資本主義によって力を得ました。
その力が間違った方向に向かうと、世界は混乱します。
ITが、間違った方向に行かないためには、アジア的な考え方が必要だと思います。
富が人を支配するのではなく、徳が人を導く。
みんな、金儲けが好きな人などほっておいて、正しい方向に向かって、
自分の能力をどうやって生かすかを、考えてほしいな、と思います。