労働法 - labor law-
日本では、労働者の権利を定めた労働基準法、労働組合法、労働関係調整法といういわゆる労働三法に加えて、
労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法など労働者の雇用と雇用関係を確保するための法律があります。
これらの法律のおかげで、日本では雇用されると一定の生活水準が保証されます。
会社をやめても、一定期間は給付金があり、その期間が過ぎるとなくなる。
労働法は元来労働者の権利を保護するものですが、政府が働く事を奨励し、応援するための法律という位置付けもあるでしょう。
トーマス・フリードマン「グリーン革命」にバーレーンについての言及があります。
『バーレーンは湾岸ではじめて、マッキンゼーに依頼して労働法の作り直しをはあり、労働を輸入しなくてすむように、国民の生産性を上げて雇用に応じられるようにした国でもある』
人には働かずに高い生活水準をすることを求める一方で、どれだけ財産を持っていても働かなければ生活水準はどんどん下がっていくということは普遍的な事実です。
スペンサー・ジョンソン著「チーズはどこに消えた?」は日本でも大ベストセラーとなりました。
しかし、人は、それでも働かずに富を得る事を求める。わかっちゃいるけど、変えられない。それは「怠惰」は人間として本来保有している一つの性質だからでしょう。
その人間が元来保有している「怠惰」という性質には、個人差があります。律することができる人もいれば、できない人もいる。できない人が悪いわけでは決してありません。でも、社会的には差がついてしまいます。
そもそも自由と自律は究極の命題。
誰もがもつ「怠惰」という性質に、人々が負けないようにするための法律が、労働法と言えるのではないでしょうか?
このように考えると、一億総中流を達成した資本主義の軌跡とも言われる日本の労働法はどの国と比べても優れているに違いありません。
一方で、他の先進諸国同様に、急速に格差が広がりつつある日本にとって、今一度、労働法を見つめ直す必要があるタイミングが来ているとも言えます。
働いて、賃金を受け取り、税金を支払い、保険を支払い、生活の保証を受ける。
世界がうらやむ日本で生きる事の「安心感」。
優れた労働法があって初めて維持されるのだと思います。