強敵 -rival-
カメラのキヤノン。国産初のカメラはドイツのライカの模倣品から始まりました。
キヤノンの成長は「ライカに追いつけ、ライカを追い越せ」という社員の一体感が支えました。
国産初のキヤノンのカメラにレンズを供給したのがニコン。
そしてキヤノンはレンズ事業も自社で確立していきます。
戦後のキヤノンのカメラJII型ではニコンのニッコールとキヤノンのセレナーが混在しました。
そして、その後、師であり、強敵であるライカとニコンと開発競争が繰り広げられます。
この3強の競争は今も続いているといえるでしょう。
そしてその競争は、常に最高の品質を目指す競争。
ライカM3の登場に衝撃を受けたキヤノンが一眼レフを開発しました。
一方、カメラが売れても、収益を得るのはフィルム。
この構造は世界的に変わらず、キヤノンのカメラが売れても、儲かるのは富士フィルムやコダックでした。
しかしキヤノンはフィルム事業には参入しませんでした。
その理由は分かりません。
その後キヤノンはXeroxの持つ絶対に破れないと言われたゼオグラフィーの基本技術であるカールソン特許を見事破り、複写機事業に参入します。
そして、複写機からレーザービームプリンターとインクジェットプリンターが誕生し、世界No1のプリンタメーカーとなります。
複写機ではゼロックスやリコーが、レーザービームプリンターではHPが
インクジェットではエプソンが、常に強敵として存在します。
そしてこれらの世界では常に技術革新が繰り返されてきました。
大きなマーケットですが、なかなか他者は参入できません。
キヤノン、ニコン、ライカ、そして、コダック、HP、コニカミノルタ、リコー、富士フィルム、エプソン、パナソニック、東芝、シャープ、京セラミタ
という閉ざされたプレイヤーの中で熾烈な開発競争が繰り広げられた結果、あまりにもレベルが高すぎて、どれだけ資金をつぎ込んでも参入できない市場が出来上がりました。
これらのプレイヤー達は、強敵であり、仲間。
仲間達と切磋琢磨しながら新規開発を繰り広げてきた結果、他者が真似しようとしてもできない、絶対的な高品質な世界を実現しました。
技術を追い求める強敵達。
こんな仲間達がいたら、いいな、と思います。
新しく参入しようとしているサムスン。そしてシャープを買収するホンハイ。
豊富な資金力を持つ彼らは、仲間になれるでしょうか?
お金で買えるものと、買えないもの。
師がいて、強敵がいて、仲間がいる。
これは絶対お金では買えないと思います。
お金で買えない存在になるためには、強敵がいることが重要。強敵がいるから、自分の進むべき道を知り、その道を追求できるのだと思います。