<第207号> アセット

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
グローバル市場開拓 メルマガ
<第207号>
アセット
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

円安が進んでいます。
リーマンショック後1ドル75円近くまで円高になったことと比べると、
ドルは円に対して当時の倍くらいの価値になっています。

Made in Japanの製品が世界で半額で買うことができる、
ということならば、さぞかし日本企業のグローバルシェアは高まっているだろうと思いきや、
必ずしもそうではないようです。
円高が最終消費財を提供するアセンブリメーカーの収益を大きく押し上げていることは
間違いありませんが、経済効果としてシェア拡大につながるにはまだまだタイムラグがありそうです。

即効性のあるのはやはりインバウンドでしょうか?
訪日外国人客は早くもコロナ禍の前の水準に急速に向かっており、
オーバーツーリズムが問題となっています。
一方でインバウンドが増えている中での百貨店の経営不振。
中国からの団体客が戻っても、爆買いはもはやキーワードにはならないような気がします。
SNSの普及で、訪日外国人は特定の箱を訪れるのではなく、
箱の中身を直接訪れるようになっていて、
今インバウンドを惹きつけているのは美味しい寿司屋など。

ドルが円に対して倍くらいの価値になっている中で、
日本の穀物、果物、木材は輸入に大きく依存しています。
輸入企業の業績には大きなインパクトがあるはずですが、
国産回帰の動きが広がっているわけではありません。

金融市場は、こういったタイムラグを調整する機能を持っているので、
金融機関が出している市場の見通しは正しいと思います。
そう考えると、円安の影響は、
グローバル市場での日本製品でのシェアの拡大や、
産業の国産回帰
という論点よりもデフレ脱却、国内金利上昇という観点の方が大きいと思います。

たくさんの従業員を抱えながら収益を維持しなければならない大手企業は
こういったマクロの動きに追従せざるを得ないでしょう。
大企業はどんどんハードからソフトに事業をシフトしていくことになると思います。

タイムラグを気にすることなく、
円安をチャンスとして、
グローバルにMade in Japanの価値を認めさせることができる実力を持っているのは、
今は中小企業、いや零細企業かも知れません。

そもそもが、アセンブリメーカーのMade in Japanの高品質を支えてきたのは
中小零細企業のモノづくり。
100%同じ顧客に販売をしてきたにもかかわらず、
アセンブリメーカーが海外生産に切り替えたために、
厳しい環境下で新しいことにチャレンジしながら事業を続けてきた企業です。

今、Made in Japanの誇りは、これらの企業にあります。
そして、世界には、こういった企業の高品質な製品を求めるユーザーが、
かつての日本市場とは比べ物にならない規模で、
存在しています。

さて、本号の内容です。

<><><><><><><><><><><><><><

<第207号> アセット

<><><><><><><><><><><><><><

固定客と新規客という表現があります。
毎日この店で買ってくれる客。
新規にこの店を訪れてくれる客。

どちらも重要です。

事業の基盤を支えるのは固定客です。
だから固定客を増やすことが重要。

固定客を増やすためには、
新規客を固定客にする必要があり、
そのためには新規客を増やす必要があります。

小売業の場合はわかりやすいです。
チラシを打つ。
買い物をするとポイントが付与される。
など、新規客を固定客にするための様々な施策を行っています。

小売業にかかわらず、大手ホテルチェーンなど、
サービス業はどこも似たようなことを行っています。

一方でこう言ったことを行ってこなかったのが中小製造業。
中小製造業には、そもそも新規顧客開拓の仕組みそのものが
存在していないというケースも少なくありません。

中小製造業は特定の顧客の信頼を得ていて、
特定の顧客に対して、極端に高い競争力を得ている。
この構造が日本の高度成長を支えてきました。

一方で時代とともに、その特定の顧客の求める価値は変わります。
中小製造業でも、時代が変わり、グローバル化が進み、産業構造が変わると、
いかに従来の産業構造で高い信頼を獲得していたとしても、
競争に晒されることになり、否が応でも変わらざるを得ません。

その時に、自社のアセットは何か、を見誤ると、舵取りを間違うことになりかねません。

サービス業のアセットには、店舗、仕入れ先、従業員、固定客といったものが考えられます。
一方で中小製造業のアセットは、製造装置、従業員、技術、特定の顧客からの信頼などでしょう。

特定の顧客からの信頼が一番の事業の基盤だから、
特定の顧客からの依頼になんでも答えるというスタンスもよいと思いますが、
そのために新しい製造装置を購入したり、新しい技術を開発したりということへの投資と、
既存の製造装置、既存の技術を評価してくれる新しい顧客を探すことへの投資を、
天秤にかけて考えてみることは決して無意味ではありません。

新しい顧客を探すことが苦手だからというだけの理由で、
その選択肢を消してしまうことは、
アセットを最大限に活用できていないという見方もできます。

実際に今、この分野を支援する様々なサービスが誕生していて、
こういったサービス・プラットフォームの中には、
グローバルに展開を始めているものもあります。

こういったサービスプラットフォームの活用ノウハウもまた、
重要なアセットと言えると思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

メールマガジン「グローバル市場開拓」
☆発行責任者:牧野好和
☆公式サイト:http://www.japan-product.biz/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001687506.html

2023-09-10 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

Related article