<第174号> 育てるか、取り替えるか

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第174号>
育てるか、取り替えるか
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

IT化によって、ITが人の作業を代替し、人の作業を減らしてる、という錯覚に陥りがちですが、
実際にはITによって効率化が実現しているものがどれくらいあるのか疑問です。

むしろ、IT化によって作業が増えているというのが多くの方の実感ではないでしょうか?
取引先がSAP Aribaを導入したから、
従来の業務に加えてAribaへの入力作業が増えたとか、
所属企業が勤怠管理システムを刷新したから、
毎日、毎月、新たな作業をしないといけなくなったとか。

ITが仕事の負荷の軽減をしているのではなく、
ITによって、仕事の負荷が移転しているというのが実際のところと思います。

システムが導入されるたびに、新しい作業が、弱い立場の側に押し付けられます。
できないんだったら、他の会社に行くよ、とか、
できる人を雇うよ、など。
だからIT時代は不寛容な時代とも言われてきました。

そうやってソリューションやら何かしらきれいな飾り言葉を並びたてた
よくわからないITサービスがどんどん広がり、API連携でつながってきたのが
2022年までの出来事だと思います。

必要とされるITサービスは生き残り、必要とされないITサービスは消え去り、
その必要とされないITサービス企業に投資をした人も、
その必要とされないITサービスを導入した人も、すべて自己責任。

気がつけば、自分が導入したITサービスがどんどん機能強化され、
または他社に買収されて、当初の内容からすっかり変わってしまったにもかかわらず、
よくわからないけど毎月費用だけ支払っているということも珍しくありません。

もしこれが行政サービスだったら、行政学上大きなディスカッションになるところですが、
民間のサービスである以上、すべて自己責任で済ますことができます。

2022年後半、IT企業の株価の値下がりが顕著です。
IT時代のネットワークやコミュニケーションのあり方が、
過半数の人が腹落ちするようになって、
加熱気味だったマネーの動きが、徐々に落ち着くべき正しい場所を探しつつあるようになっています。

2023年、
本当の意味でのITの活用とは何か?
について、少しずつ見えてくる1年になるのではないかと思います。

さて本号の内容です。

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<第174号> 育てるか、取り替えるか

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日本企業は支払いに非常に律儀です。
これはとても素晴らしいことです。

その一方で、日本企業の支払いは面倒です。
どこかにお客様は神様という発想が残っていて、
顧客がサプライヤーよりも優位という考え方があります。

サービスの提供を適切な対価で受けたかどうかという客観的な事実よりも、
提供を受けたサービスに満足したかどうかという主観的な感情が優先されることもしばしば。

それが、日本のサプライヤーの製品品質やサービス品質を高めてきたことも事実ですし、
日本市場への外資への参入障壁になってきたことも事実です。

しかしビジネスモデルが転換して、海外から新しい発想を取り入れていかなければならない今、
こういった発想は無駄が多く、競争力の阻害要因となっていることも事実です。

サービスの提供を受けて、
それのサービスの内容が期待していたものと違っていて、
それを理由にクレームしたとします。

日本のサプライヤーだったら、その期待値はなにかを考えて、
期待値に合致できるものを必死で考えて、
顧客のニーズできるだけ対応できるように、自らを調整していくかも知れません。

しかし、海外のサプライヤーが、日本の顧客にここまで親切にする理由はありません。
ミスマッチならば、ニーズに合致する別のサプライヤーを探してくれ、
ただサービスを受けた分は、さっさと支払いをしてよ、
という話になります。

国内市場が成長して、日本企業の競争力が十分に高い時代は、
日本企業にとっては日本企業の常識に合わせるのが得策と思います。
しかし必ずしもそうではない時代、ある程度合理的な判断をしていかなければならないと思います。

日本でも社員を育てるのではなく、社員は取り替える時代になりつつあり、
企業の採用担当の役割はますます高まっています。
同様に、サプライヤーも育てるのではなく、取り替える時代になりつつあります。
変化の早い時代、それが競争力とも言えるようになっています。

社員も育てるのも引き続き大事ですし、
サプライヤーを育てるのも引き続き大事です。

ただ、主観的な評価で給料を上げないとか、
主観的な期待値に合致するまで支払いをしないとか、
そういった企業からは、
優秀な社員も優秀なサプライヤーも離れていきます。

特に今、重要なのは支払い。
支払いっぷりの悪い企業からは、サプライヤーはどんどん離れていきます。
今、日本企業は世界で最も支払いプロセスが面倒くさくなっています。

律儀な支払いっぷりを維持したまま、
支払いプロセスを簡素化していくことが、
日本企業のグローバル競争力を高める上でも重要です。

未だに品質検査のない製品でも、
検収手続を定めた日本語の取引基本契約書が取引開始の前提として締結が必要ということになると、
その時点で取引を断念するサプライヤーも出てくるでしょう。

革新的な製品を提供するサプライヤーは
リスクを許容できない企業とは、一緒に成長することができないため、取引をしたくないと、
むしろそういった顧客を敬遠してしまうかも知れません。

リスクを受け入れ、支払いを迅速にして、むしろそれらへの耐性を高める、
そんなことがこれからの時代はますます求められるようになると思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いたします。

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2022-12-31 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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