<第145号> インバウンド・マーケティング その7
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第145号>
インバウンド・マーケティング その7
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
アンドレア・ウルフ著「フンボルトの冒険」(NHK出版)を読みました。
もちろんフンボルトについて書かれた本ですが、
各章それぞれ、フンボルトに関わる人が主体となって内容が構成されています。
それらの人々にはフンボルトの家族だけでなく、
ゲーテやダーウィンといった偉人たちが多く含まれていて、
とても充実しています。
フンボルトに関わった人にとってフンボルトがどのような存在だったか描写されることで、
直接的にフンボルトを説明することよりも、
フンボルトの人物像がよく伝わってきます。
さて、フンボルトが活躍した1800年前後。
この時代は、人間にとって科学と自然の関係の歯車が噛み合わなくなった、
つまり、人間が自然を探究することではなく、
自然の力を支配する方向に科学を使い始めたタイミングと思います。
蒸気機関の発明とともに産業革命が起こり、
人類は神の創造物であるという考え方を
猿から進化したという考え方が凌駕するようになり、
化学の力で新しい物質を作り出すようになりました。
フンボルトのような、
世界を旅し、標本を集め、スケッチをし、文章を書き、哲学にこころを馳せ、
サロンで人々と語るといったいわゆる博物学者が活躍できたのは、
王国のような大きな支援があったからこそと言えます。
しかし民主主義の今、国家予算は国会の決議で決定されるので、
王様が若い天才の将来に投資するといったことはできません。
もちろん今も研究開発に対する国家の支援はありますが、
自然の原理の探究といった、子供達がロマンを感じる内容よりも、
科学技術の発展、国力の増強、さらには競争に勝つといった内容が
前面に出てきており、
博物よりも特定の分野に専門特化した知識が追求されています。
20世紀になってからノーベル賞ができ、
世界中の頭脳がノーベル賞を最大の栄誉と感じるようになりました。
日本人がノーベル賞を受賞すると、日本中が喜びますが、
このことはどの国も同じだと思います。
そして、生み出された研究は、民間企業の営利追求の手段に変わり、
全体の利益よりも特定の一部の利益のために用いられるようになります。
知的好奇心のみを徹底的に追求するフンボルトのような存在にとって、
少し残念なのはないかと思います。
その一方で、フンボルトのような永遠に子供の心を持つ天才が、
今もきっと地球上のどこかにいて、100年、200年後にその偉大な実績が
脚光を浴びることになると感じます。
マーケティングとブランディング。
趣味と好奇心、そして探究と冒険。
重なっているようであり、
コインの裏表のようであり。
この本を読んでそんなことを感じました。
さて本号の内容です。
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<第145号> インバウンド・マーケティング その7
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2009年1月から2014年12月までの丸6年間、
船井総研でお世話になりました。
船井総研では計り知れないほど多くのことを学びましたが、
それらは小手先の知識や技術ではなく、すべて原理原則。
マーケティングにはノウハウや、イベントの企画など、
様々なメソッドがあるかも知れませんが、
私がお世話になっていた時は、そういったノウハウやメソッドは
自分で考えるべきもの、体で身につけるべきものとされていて、
もし自分で考え、実践したノウハウやメソッドが、
たとえ短期的に結果を出したとしても、
もし原理原則に合致していない場合は、大師匠が、
徹底的に叩きのめしてくださいました。
マーケティングの原理原則は何か?
これまでインバウンド・マーケティングとして、
SEOやSEMなど紹介させていただきましたが、
これらは原理原則ではありません。
「誰に」、「何を」、「どうやって」の3つのうち、
どれか一つでも欠けているとマーケティングは成り立たず、
SEOもSEMも、さらにはインバウンド・マーケティングもすべて、
「どうやって」の中の一部にしか過ぎません。
「誰に」について、もし消費税や社会保険のようなものならば、
「全員に」という答えがあるかも知れませんが
ビジネスである以上、「全員に」ということはあり得ません。
どの国、どの地域といったエリア、
年齢、性別といった属性、
さらには所得水準、
もっと言えば、曜日や時間などの変化、
さらには天気や季節といった変動要因まで含めて考えられます。
ネットにつなげて世界中とつながる今だからこそ、
この「誰に」という考え方は、これまで以上に
真剣に考えなければなりません。
「何を」についても、同様に答えはありませんが、
基本は、商品があって、名前があって、価格があるということが
備わっている必要があります。
無形のもので、ソリューションとかテクノロジーとか称して
販売されているものもありますが、それらもすべて、
この3つの最低の要件は満たしています。
自分でこの3つと向き合わずに、市場に委ねてしまっていると、
いつまでたっても顧客がつきません。
転職活動を経験された方は、自分自身を商品と考えた場合、
否が応でもこの3つと向き合うことになります。
そしてようやく「どうやって」です。
「誰に」がフィリビン人だとします。
アプローチする言語が、英語が良いか?タガログ語が良いか?
それは「誰に」をさらに細分化する必要があります。
「何を」がコモディティなのか、それともスペシャリティなのか?
それによって、特定のターゲットゾーンにアプローチすべきか、
マスマーケットにアプローチすべきか、も変わってきます。
「誰に」と「何を」を決めることなしに、
あるキーワードで検索した人に、リタゲ広告を出して、
そのバナーはこんなデザインで訴求する、
といった取り組みをした場合、
いくら素晴らしいバナー広告のデザインができたとしても、
実際に求めていた効果を出すことは難しいでしょう。
本号もお読みいただきありがとうございました。
来週もよろしくお願いいたします。
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