<第128号>アジア流

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第128号>
アジア流
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

リーマンショック後、これからはアジアの時代になると言われていました。
人口の規模、成長率といった観点から、説得力は十分でした。
ASEANという団結力の強い組織があり、EUのような統一経済圏への希望もありました。

過去形にしてしまうのはよくないですし、おそらく将来、
リーマンショック後に思い描かれていたようなアジアの時代が来ると思いますが、
しかし今のところ、グローバル市場は、アメリカと中国の2極、またはアメリカと中国とEUの3極で、
アジアの時代が来る気配はありません。

EUを超える人口規模、そして高い潜在性を誇るASEANのプレゼンスは高まっていません。
むしろASEAN圏での中国のプレゼンスが高まっており、
中国とインドという2つの大国とのバランスを保ちながら
エリアを守るための戦略が重要で、ASEANからグローバルにイデオロギーを発信するという
段階にはなっていないと言えます。

むしろ、エリアを統一するイデオロギーが存在しておらず、
経済圏というイデオロギーよりも大分手前のところでの調整に手間取っている状況です。

ローマ帝国、中華、オスマン・トルコ、ロシア、アメリカなど、歴史を見ても
世界はイデオロギーを通じて一つになっています。

イデオロギーで一つになれない中、共通している点は、
APACのイデオロギーが欧米と異なるということです。

香港、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールという例外も、
APACという圏内に含まれているのは地理的な理由だけではなくなってきています。
インドネシア、パキスタン、フィリピンといったイスラムの大国も、
明らかにイラン、サウジアラビア、アルジェリア等の統治とは異なる発展を遂げています。

アジアの時代は来ておらず、
アジアは一つになっておらず、
アジアを市場と見た場合、最も取り組みにくい市場と言えます。

だからこそ、アジアを制するものは世界を制すると言えるかも知れません。

それでは本号の内容です。

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<第128号> アジア流

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翻訳の世界はどんどん機械翻訳に置き換わっています。
データが資産というならば、
過去翻訳したことがある内容は、ほぼ機械で翻訳できるようになるでしょう。

芸術作品は機械翻訳にそぐわないと思いますが、
ビジネス文書はほぼ機械翻訳で対応できるようになると思います。

一方で、英語とインドネシア語、英語とタガログ語、英語とベトナム語でのデータ量が、
英語とドイツ語、英語とフランス語、英語とスペイン語と比べてどれだけあるでしょうか?

おそらくインドネシア国内やフィリピン国内では大量のデータがあると思いますが、
グローバル・プラットフォーム上に存在しているデータはわずかと思います。
そしてアジア国内に大量にあるデータは、必ずしも英語をハブとしたものだけではないと思います。
インドネシア語とマーレシア語、ベトナム語とカンボジア語など、
アジア内部だからこそ重要な、言語ペアのデータがプラットフォームの外に大量に存在しているはずです。

同様のことはあらゆる産業でいえると思います。
今のデータプラットフォームが欧米流のやり方で構築されているが故に、
プラットフォーム上にはアジアのデータが圧倒的に欠けています。

車のディーラー、機械部品の卸、生鮮食品の流通など、
アジア独自の産業構造が根付いています。
長い歴史の中で築かれてきた構造が、
欧米流のやり方で簡単に塗り替えることができるほど、
産業は単純ではありません。

そして、アジア流に土着して取り組んできたのが日本企業。
そして最近では韓国企業・中国企業・台湾企業。

政治上でのイデオロギーは統一されていなくても、
アジア域内では幅広い友人関係が培われてきています。

農機メーカーは、アジアに拠点を設け、
アジアの現地ディーラーを通じて、
現地農家の生産性向上を支援してきました。

自動車メーカーは、アジアに研修拠点を設け、
研修を終了した人材にディーラーを任せ、
離島や遠隔地でも安心して自動車を所有できる環境を構築してきました。

こういったアジア流の取り組みをDXのような名目で白紙にしてはいけません。
品質重視、信頼重視、人間重視のアジア流で、
世界にイデオロギーを発信できる時代が必ず来ると思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願い申し上げます。

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2021-12-19 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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