<第116号> ともに成長すること
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= グローバル市場開拓 メルマガ <第116号> ともに成長すること =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= こんにちは グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。 10年近く前に某日本の自動車部品メーカーの中国拠点を訪問させていただきました。 当時の日本企業にとって、 春節や国慶節で現地のワーカーの方々が故郷に帰り、 その後戻ってきてくれない、ということが大きな課題でした。 中国に限らす、ベトナムでもタイでもインドネシアでも、 ワーカーの方々の定着率は最重要テーマでした。 一般的な回答は、給料を上げ続けること。 新興国で日本と違って5%以上の経済成長を毎年しているのだから、 給料も毎年最低でも経済成長率以上は上げないと、 優秀なワーカーの方々は他の企業にいってしまう、 特に欧米の企業は優秀なワーカーにターゲットを絞って、 高額はオファーを提示するので、 優秀なワーカーの方には高額な給料を払うべきだ、 日本国内と同じ感覚ではダメだ、 といったことがかっこいいセオリーで語られていた時でした。 その自動車部品メーカーは、 従業員の方に決して高額な給料を払っていませんし、 従業員同士に大きな給料の差はつけていません。 毎年給料は上がっていきますが、それは周りの水準や外部環境を意識しているのではなく、 売上の増加に伴い、従業員の働きに感謝して、内部的な基準に基づき上がります。 しかしワーカーの方々は、春節や国慶節後も 必ず職場に戻ってきます。 なぜか? ワーカーの方々にとって、故郷にファミリーに会いに帰ります。 休みが明けると、ワーカーの方々は、仲間に会いに職場に戻ります。 ワーカーの方々にとって、職場は賃金を稼ぐ場所ではなく、 仲間と一緒に、同じ方向を目指して取り組む場所、ともに成長する場所。 つまり、自分の居場所です。だから戻ってきます。 言われてみれば、日本的経営はそもそもそういう経営でした。 それがグローバリゼーションとともに、 安い賃金を求めて海外労働者を使う、という、 まるで材料のように人材を扱う考え方が生まれました。 競争力を高めるために、安い賃金を求め、 そのために競争力を結果として失っている、 ということに陥っていた企業もあったと思います。 仲間を増やすために海外に進出し、 海外でも日本と同じ感覚でファミリーのような経営をしていた企業は、 海外での歴史とともに、その市場での競争力を高めています。 ともに成長すること。 日本は失われた30年でその重要性を再認識し、 人材ではなく、人財という考え方を取り戻しました。 健康経営という海外とは違った経営手法が注目されています。 海外の考え方に自らをあわせることだけでなく、 自らの強みを海外で生かすことも重要だと思います。 さて、本号の内容です。 ><><><><><><><><><><><><><>< <第116号> ともに成長すること ><><><><><><><><><><><><><>< 技能を身につけるためには、経験に勝るものはありません。 むしろ座学で身につけることができる技能は、ほとんどないでしょう。 実践こそが、技能を高めます。 いくら優秀な人財でも、 経験ゼロの状態でいきなり現場に出て、成功することは難しく、 もし、ラッキーパンチで成功してしまった場合でも、 それはその後の大きな失敗の種となってしまいます。 どんな人財でも、基礎を身につけるためには一定の時間が必要です。 そのため、OJTにより、 経験のある人材が、経験のない人材をサポートしながら、 少しずつ経験値を高めていきます。 しかしこれが新規市場、しかも海外市場になると、 そういうわけにはいきません。 OJTをしたくても、現地語を話し、現地の文化になれ、 かつ自社のビジネスモデルや商品を把握している人財が最初からいることは まずありません。 だから多くの場合、日本人駐在員が5年といった単位で現地に赴き、 現地の人財を育成します。 現地で人財育成のサイクルが出来上がると、 現地スタッフがOJTで現地スタッフを育ててくれます。 しかし日本と違って雇用が流動的な海外で、 この人材育成のサイクルを確立させることはとても難しいです。 技能を身につけると、流動的な雇用環境の中では、 いわゆる「市場価値」が高まります。 したがって優秀な人財にはすぐに他の企業からオファーがきます。 せっかく育成した人財が、他社にいってしまうことのショックは、 誰もが経験をされていると思いますが、 遠く離れた海外でそのことが起こると、また振り出しに戻った感覚になります。 育成して他社に移ってしまうことが繰り返されると、 まるで他社のために人財育成だけをしているような錯覚に陥ります。 そして、逆の発想で、それならばむしろ競合他社から即戦力を雇おうという気持ちになりかねません。 でもそれをしていてはいつまで経っても「人財育成のサイクル」は確立できず、 企業としての競争力は高まっていかないでしょう。 賃金以外に、自らを結びつける場がある企業には、 必ず、一定割合で、他社からの高額なオファーを断り、 企業に残り、次の人財育成に貢献してくれます。 賃金以外に自らを結びつけるのはなにか、 それは仲間であり、 仲間と一緒に成長することであり、 将来も夢や目標であり、 仕事を通じた自己実現であり、 社会への貢献の意識であり、 そしてなによりも、 仕事を通じて自分が成長できていることの実感と言えます。 進出した市場で、この「見えない何か」を作り上げることができるかどうか? それを作り上げることができる企業が今、 グローバル企業になっていると思います。 本号の内容は以上です。 来週もよろしくお願いします。 メールマガジン「グローバル市場開拓」 ☆発行責任者:牧野好和 ☆公式サイト:http://www.japan-product.biz/ ☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001687506.html
2021-09-12 | Posted in Mail Magazine Back Number | No Comments »