<第108号> ESGその8
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第108号>
ESGその8
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
一昨年あたりから日本では「働き方改革」が言われるようになりました。
残業時間に月45時間、年360時間という基準が設けられ
罰則も設けられ、過労死ラインも明確になりました。
労働者側が企業側と交渉する際の基準が明確になったことは、
労働者を働かせすぎることへの抑止力となりました。
日本人は働きすぎと聞いたことがありますし、
確かに能力が高く、収入が高い人たちには、よく働いている方もいるだろうな、
働き方改革で、そういった一部の優秀な方に集中している仕事が、
うまく分散される方向に向かっていくことになるだろうな、と、
「働き方改革」は自分とは別世界で起こっている話のように感じていました。
しかし、Sophie Williams著『Millennial Black』を読み、
「働き方改革」すら、他人事として捉えている自分をとても恥ずかしく思いました。
『Millennial Black』を読み、
24時間365日、休みなく働き続けなければならない人が
たくさんいることを知りました。
その人たちは、どれだけ能力が高くても、どれだけ頑張っても、待遇が変わりません。
肌の色が黒い女性ということだけで。
私が今お世話になっている会社では、
5月から6月にかけてのDiversity Monthで、
この分野の著名人を多数招いて社員向けに講演をしてもらう機会があり、
インスタグラムの@everydayracismで著名な
Naomi and Natalie Evansの講演も聞くことができました。
そこで流れた一つの映像が頭から離れません。
肌の黒い少年少女に、
肌の白い少女の人形と、肌の黒い少女の人形の両方を渡し、
どちらが好きかと尋ねます。
ほとんどの少年少女が、肌の白い少女の人形を選びます。
その理由を聞くと、全員肌が白いから。
肌の黒い少女の人形を選んだ少女は、
肌の黒い人形の方が好きだが、肌が白い方が良いと答えます。
肌の色に優越は決してありません。
それにも関わらず、自らの肌の色を否定する選択を少年少女が行なっています。
誰かが、肌が黒いことで、劣っているという認識を、
本人たちに植え付けていることになります。
その誰かとは、私自身を含む社会そのものであることは間違いありません。
その認識を植え付けられたまま育った少女たちは、
社会に出て、日本で定められた過労死ラインを大きく超える時間を労働しながら、
誰にも助けを求められないでいます。
そして、そのことを社会のほとんどの人が気がついていない、
または気がついていても気がついていないフリをしています。
「気がついていない」という問題は非常に根深いです。
誰もがこの問題を自分ごととして捉える、
そのためには、まず「働く環境」から変わらなければなりません。
人種差別は、幼少期からスタートしています。
肌の色関係なく、社会で活躍ができ、
肌の色に関係なく、少年少女が自分を愛し、
自分を誇りに持つことができるような社会が、
早く実現することを願っています。
さて、本号の内容です。
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<第108号> ESGその8
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企業の競争力強化のためにダイバーシティは重要という認識は、
定着しつつあると言えます。
その一方で、
長時間労働による過労死、
職場におけるセクハラやパワハラなどのハラスメント、
不当な差別
といった問題は今も根深く残っています。
ダイバーシティの尊重は、
これらの「人権」問題への解決にも寄与しますが、
すべてを解決できる訳ではありません。
こういった人権侵害を企業の中から取り除くためには、
プロアクティブなアクションが必要です。
日本企業の独特の文化として、
こういった問題があるという「誤解」が、
一部実際に存在をしており、
そして残念ながら、
一部の海外駐在や海外出張の日本人が、
海外の現地スタッフに対して、
高圧的な態度をとっていたという「事実」も存在しています。
実際には素晴らしいマネジメント能力と人間性を兼ね備えた方がほとんどですが、
たとえ一部でも、こういった人権尊重ができない事例があると、
それが企業全体に大きな負のイメージを与えてしまいます。
そして、このことは実際に行動をしている方個人が、
自分が人権を侵害していることの事実そのものを認識できていないことから
起こっています。
「ダイバーシティを尊重する企業である」ということの前に、
「人権を侵害しない企業である」ということを、
まず徹底することが必要です。
近年では日本のグローバル企業は、
法律事務所の作成した冊子や、
それの冊子をよりインタラクティブにして、
より学びやすいデザインにしたeラーニングの教材を用いて、
「人権」をテーマにした教育を行うようになっています。
「24時間戦えますか」は、過去の話です。
すべての人の権利が尊重される企業風土を作り上げることは、
今や、グローバル企業としての最低条件であると言えます。
すべての人の権利が尊重される企業風土を作り上げることは、
決して簡単ではありませんが、
優秀なジェネレーションZ世代を惹きつけるためには不可欠です。
そのためのプロアクティブなアクションが求められていると言えます。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。
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