<第105号> ESGその5
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第105号>
ESGその5
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
経済産業省から半導体・デジタル戦略が公表されました。
これまでの経済産業省のスタンスは
いかに民間主導で活力のある経済を実現していくか、
というものだったと思います。
エネルギーや安全保障にかかわる産業は別として、
通商政策ではTPPなど国際的な枠組みの交渉の注力し、
産業政策ではコンテンツ産業やヘルスケア産業など、
新たな産業の育成に注力をしてきたと思います。
その一方で、アメリカや中国ではデジタル産業で
国の支援を受けたマンモス企業が多数誕生しました。
ドイツでは、インダストリー4.0のような国主導で産業界を巻き込む政策を行い、
展示会には政治や行政のトップが参画し、
諸外国企業の参加やマッチングを支援してきました。
日本の行政がこのようなことをしてこなかったわけではありません。
かつての通商産業省は、
日本のすべての産業の国際競争力を高めるために、
国際金融・貿易・国内産業振興含め
護送船団方式で、取り組んできました。
日本は世界で最も成功した社会主義国家だ、
ともいわれるほど、国際社会から見ると
あらゆる政策に政府の影が見えていました。
一方で、そのことが多くの貿易摩擦を抱えることにつながりました。
今回の半導体・デジタル戦略からは
かつての通商産業省と同じ覚悟を感じます。
デジタル・半導体産業は単なるトレンドではありません。
通信・モビリティ・エネルギーなど
すでにあらゆる産業のインフラとなっています。
そしてそのインフラの
最上流にある素材技術、
すなわちSiCやGaN、
そして生産技術、
すなわち半導体製造装置、工作機械やロボティクス、
さらには通信インフラ
すなわちローカル5G
などで、日本は最先端の技術を保有しています。
一方でこれらの分野は欧米企業だけでなく、
急成長する中国・台湾・韓国の成長が著しいです。
例えば、日本の素材企業のエンドユーザーは8割以上、
海外となっています。
サプライチェーン全体を考えると、
今のまま日本の競争力を維持するために、
ハイエンドの戦略が必要です。
サプライチェーン全体で経済産業省がどのような取り組みを進めるのか、
楽しみであると共に、誰もが無関係ではないと思います。
さて本号の内容です。
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<第105号> ESGその5
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アップル社は2030年までに
「サプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成」
を表明しています。
そして、この目標達成にコミットしたサプライヤー名、
及びその進捗状況も公表しています。
アップル社に限らず、最終製品を市場に提供する企業が、
気候変動対策に取り組むということは、
その製品のサプライヤー全体が
気候変動対策に取り組むことを牽引することになります。
逆に言えば、気候変動対策に取り組まないサプライヤーは、
気候変動対策に取り組んでいるエンドユーザー向けの
あらゆるビジネルに参画する機会を失うことになります。
各国の金融関連省庁より設立された
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)では、
企業に対して気候変動関連リスクおよび機会に関するガバナンス、
戦略、リスク管理、指標と目標を開示することを表明しています。
そして、日本では経済産業省が2018年8月に
「グリーンファイナンスと企業の情報開示のあり方に関する『TCFD研究会』」
を立ち上げ
「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCEDガイダンス)」
を策定しています。
その結果、日本のTCFD賛同企業は世界最大になっています。
これらのことから、
日本企業におけるサプライチェーン全体での
気候変動対策に関しては明確なガイドラインと
取り組み事例がすでに存在しており、
そしてそれらは国際的な基準に合致していることがわかります。
あとは、具体的に取り組めるかどうか?
変革のためには投資が必要ですが、収益につながらない投資は
コストとして企業業績に大きな影響を与えます。
そのため、ESGの推進のために、
新たな金融制度が必要となってきています。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。
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