<第101号> ESGその1

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第101号>
ESGその1
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

10年ほど前、NPO法人の代表の方にヒアリングをさせていただきました。
その方はハーバード大学を卒業後、
帰国後にNPO法人を立ち上げ、日本でも話題になっていました。

当時日本では「社会起業家」という言葉が流行っていたので、
そのことに言及すると、
「事業が社会のために存在しているのは当然のことだと思います」
と言われ、ハッとしました。

事業は何のために存在しているのか?
もし逆に問いかけられたら、答えられなかったと思います。
すごく恥ずかしい思いをするとともに、
それからようやく「事業とは何か」について考えるようになりました。

当時はCSRではなくCSVといったことが言われはじめていた時代、
見渡してみると、日本の製造業は、
すでに「事業とは何か」について創業時の理念が
見事に美しい日本語で表現され、
時代を経て引き継がれ、
対外的にも強く発信していました。

急成長している2000年代に創業した企業の経営理念が
アルファベットやカタカタが多かった中
歴史ある企業の経営理念は美しい日本語でわかりやすかったことが印象に残っています。

日本にも、
「事業は社会のために存在する」
ということはすごく昔から定着していました。
ただし、高度成長期やバブル経済で、その一部が見失われてた、
または発信されなくなっていたかもしれないと思います。

良くも悪くもグルーバル化は進み、市場はすでにグローバルです。

投資も海外から呼び込まなければなりませんし、
海外に拠点を設立したり販売網を確立していかなければなりません。

美しい日本語の「社会のための事業」についての経営理念も
大事にし続けていかなければなりませんが、
その一方で、グローバルに伝わる発信の仕方にもしていかなければなりません。

さて本号の内容です。

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<第101号> ESGその1

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ESGとはEnvironmental, Social, and Corporate Governanceの
頭文字をとったものです。

ESGという言葉は以前から使われており、
企業はサステイナブル・レポート、近年では統合レポートで、
以前からESGについて当たり前のように言及していましたが、
近年、特に注目が集まっています。

その背景として様々な理由があります。
ESGについて今週からご紹介をしていきたいと思います。

まずは事業そのものの存在価値の変化です。

例えば、自動車部品の事業の目的は、
自動車部品を製造することです。

これまでは、自動車部品メーカーの将来性に対する評価基準は、
高品質で最先端技術での自動車部品を製造し、
大量に生産し大量に販売し、資本を蓄積し、
次の投資に回すことができているかどうか、
といったものでした。
次の投資とは、高性能な自動車部品の開発のための投資や、
さらに大量に生産するための設備投資です。

私のような昭和50年代に生まれた世代は、
今もこのような発想を持っていると思います。

しかしジェネレーションZを中心とした若い世代の発想は違います。

自動車は排気ガスを通じて二酸化炭素排出量を増やすモノであり、
自動車部品の製造が増えることは、自動車の数が増えていることを意味し、
それだけ二酸化炭素の排出量が増えることを意味します。

したがって、自動車部品メーカーの生産量が増えることは、
市場にとって必ずしも望ましいことではありません。

むし発想は逆で、二酸化炭素排出量の削減等、社会課題の解決に
自動車部品メーカーが貢献することが市場にとって
求められることになります。

そのため、自動車部品メーカーの将来性に対する評価基準は、
二酸化炭素排出量の削減、その他社会課題の解決(高齢社会、過疎等)に
つながる製品を提供できているか、または開発できているか、
といった内容になってきます。

テスラの時価総額が大手自動車メーカーの時価総額の合計を上回っていることは
広く認識されていますが、
すでにこういった視点でのESG投資は金融市場の3分の1を占めており、
他の例に違わず、もはや主流になっていくことは確実といえます。

経済的価値と社会的価値について、
かつては経済的価値中心だったものが、
今は両軸になっており、
そして将来、IOT、AI時代に、
「働く」ということが再定義される時に、
社会的価値が中心になっていくと思われます。

すでに、企業の規模や業種・業態に関わらず、
社会的価値についてメッセージを発することができない企業には、
人も資金も集まらなくなってきています。

この傾向はますます加速していくことになると思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

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2021-05-16 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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