<第100号> 機械

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第100号>
機械
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

一流の職人の技術は理屈では語れません。
教科書など存在していないし、
もし教科書が存在していたとしても、
教科書を読めば身につく物でもありません。
一流の職人技術は現場に身につけるものであり、
そして、実際に身につけた人でなければ理解できない世界です。

宮大工の方の鉋など、超一流の技術は、
完成品だけでなく作業中の姿を見ていても美しいです。

そして職人技術でよく例としてあげられるのが「きさげ」。
研削盤など平滑性が求められる機械で、
究極の平滑性を実現するのが職人の方の「きさげ」です。

「きさげ」によって究極まで平らになった表面には、
きさげの模様がついています。
その模様を見ただけでも、
誰もが、超一流の仕事であることを感じます。
不規則でありながらも全体として規則性を感じるその模様は、
単純に「美しい」と感じます。

機械部品は機械を安定的に高精度に稼働させるために、
精密性が要求されます。

日本には工作機械でも半導体機械でも測定機械でも、
世界トップのメーカーがたくさんあり、
その高性能な機械の多くが、
日本の職人技術によって生産された
機械部品によって作られています。

しかしながら、時代の変化によって、
今、機械業界も大きな変革の渦中にあります。

一つはハードからソフトへ。
機械メーカーにとって精度を追求するだけでなく、
ソフトウェアによる制御技術を追求することの必要性が高まっています。

そして3Dプリンタの誕生です。
工作機械によって金属を削るのではなく、
板金加工やプレス加工するのでもなく、
プリタで部品をプリンタで金型なしで制作できるようになっています。

3Dプリンタならば部品一点でも制作できます。
加工技術よりも設計技術が重視されます。

日本の機械産業は、これまでの強みだけでは、
グローバル市場での優位性を保つことが難しくなっています。

長い間日本の競争力を支えてきた「きさげ」のような職人技術が、
もし一度途絶えてしまうと、二度と復活できないかもしれません。

産業の大きな流れに抗うことはできませんが、
受け継いできた大事な技術を失わないようにもしなければなりません。

機械産業は、攻めと守りの両方で、
重要なタイミングになっていると思います。

さて、本号の内容です。

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<第100号> 機械

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自動車産業が盛んな日本は、機械の需要も大きいです。
自動車を生産するために、様々な機械が必要となります。

一方、日本の自動車メーカーが世界トップシェアを持っていても、
すべての自動車が国内で生産されるわけではありません、
生産の海外シフトは今も進んでいます。

かつては日本の半導体は世界トップでした。
ノートパソコンの生産台数も世界トップでした。
今はどちらも、世界シェアを大きく落としています。
国内生産が減った分、機械の需要も減っています。

このように国内市場だけ見ると、
今後機械の需要が伸びていくということは考えにくく、
機械メーカーにとって海外市場を開拓することは
ますます重要になっています。

一方で機械は簡単には在庫はできません。
関税も高いです。
中古機械になるとさらに関税は高くなることもあり、
規制も厳しくなります。
また、機械は販売して終わりではありません。
設置が必要で、かつ設置後もメンテナンスや保守用部品の販売、
ソフトウェアのアップデート等も必要となります。

世界中に機械を販売する場合、
世界中で設置やアフターサービスの体制を
すべて自前で構築することは大変難しいと言えます。

したがって、機械のグローバル市場開拓においては、
グローバルでの販売・メンテナンス網を
どのように確立していくか、といったことが、
機械自身の性能と同様に、重要なポイントとなってきます。

そしてブランディングも重要です。

日本企業の機械は高性能というブランドはグローバルで確立されています。
日本の機械トップメーカーは、ブランディング戦略をグローバルで構築しています。
しかしながら、中堅以下の規模の機械メーカーで、グローバルでのブランディングまで
意識している企業はまだ多くないと言えます。

一方、ドイツやスイスの企業は、規模の大小に関わらず
いやむしろ、小規模な企業ほど、
グローバルでのブランディング戦略を重視して取り組んでいます。

日本の機械メーカーのグローバル市場開拓にあたっては、
元来の強みである品質、細かいすり合わせ技術に加えて、
マーケティング力・サービス力・ブランド力
をグローバルで高めることを意識することが重要です。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

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2021-05-07 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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