<第95号> セラミックス

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第95号>
セラミックス
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

素材には機能があります。

光を100%透過させるカーボンブラックのような素材、
光を100%反射させる酸化チタンのような素材。

それぞれその光に対する特性から、
黒や白といった着色で使われてきましたが、
カーボンブラックの導電性はエレクトロニクス用途、
酸化チタンの光触媒機能は建築用塗料といった用途、
など、その機能を生かし様々な用途に活用されてきました。

こういった素材の機能を効かすことができるようになったのは、
ミクロンサイズ、サブミクロンサイズ、さらにはナノレベルという
超微粒子を分散する技術が発展したためでもあります。
この分散の技術は日本が世界をリードしています。
タッチパネルなど、導電性が求められる部材で、
ITOやATOの分散技術が不可欠です。

そして、焼成の技術も素材の機能を活かす技術といえます。
アルミナやジルコニアといった素材からセラミックスを焼成します。
耐熱性に優れ、放熱性に優れ、かつ絶縁性という性質をもつセラミックスは、
同じく絶縁性に優れるプラスチック製品よりも耐久性に優れ、
同じく放熱性に優れる金属よりも、サビという課題に対して強いです。

導電性の高い金属製の素材と合わせて活用することで、
回路基板としての機能を持つことができます。

導電性と絶縁性の両方の機能を持つ半導体を実装するために、
セラミックス基板は不可欠の存在となっています。
もちろんLEDの基板としてもセラミックスは利用されています。
セラミックスは、未来の基盤ともいえます。

すでに自動車ではセラミックスを利用した厚膜回路基板が使用されていますが、
電気自動車になるともっと多くのセラミックス基板が必要になります。

求められる耐熱性、絶縁限界への耐久性はさらに高くなり、
素材も窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)等
が求められるようになり、より高い焼成技術が必要となっています。

そして、セラミックスの焼成の技術でも、日本は世界をリードしています。

電池等でもこれらの技術はますます必要となるでしょう。
日本の強みを生かし、時代の変化に合わせてどのような技術を提供していくか?

研究・開発とマーケティング・マネジメントの両軸での取り組みが重要となっています。

さて、本号の内容です。

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<第95号> セラミックス

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セラミックスは川上の産業であり、
最終製品にたどり着くまでに、
多くのステークホルダーが関わることになります。

セラミックスのサプライヤー数は限られていますが、
機械や工場設備のような資本財、
工具、砥石といった生産材
セラミックス基板、チップ・コンデンサーのような部品、
陶器、さらにはキッチンナイフといった消費財まで、
あらゆる製品に使われています。

そしてそれぞれの用途毎に、セラミックスに求められる機能が異なり、
素材も異なります。

セラミックスのメーカーには、
研究と開発力、安定的に生産する生産技術が
非常に高いレベルで求められます。

その一方で、「営業力」については、
新規顧客をバリバリ開拓するといった性質のものではありません。

研究、開発、生産が一体となって、
新規素材を世の中に提供していく企業にとって、
広く浅くという新規市場開拓の考え方はこれまではなく、
これからもないと言えるかも知れません。
セラミックスは市場開拓という考え方よりも、
既存の顧客のテーマをしっかり把握して、
社内のリソースを投入したり、
新たな技術開発のネタをグローバルレベルで察知して
そのネタに関わる意義を検討したりといったことが、
ビジネスの安定・拡大のために求められます。

一方で、技術革新の波が激しい今の時代、
一度スペックインしたら、大きな設備投資をして、
数10年間安定的に設備を稼働させ続けるという考え方も
成り立たなくなってきています。

急速に立ち上げ、短期間でしっかりと収益を確保し、
次の投資につなげるといった、
これまでのセラミックス産業の常識とは逆とも言える、
取り組み方も必要となっています。

そのために、研究・開発・生産・営業がチームとなって、
アジャイル的な取り組みも必要になってくるかも知れません。

いずれにしてもセラミックス産業にとって重要なのは、
最先端の技術にアンテナを張り、
次世代の中心技術への取り組みを察知し、
最初の段階から関わること。

そのためには、かつては欧米企業と取り組むことが重要でしたが、
今ではすでに中国・韓国企業と取り組むことが重要になっています。
その比率はさらに高まっていくことになるでしょう。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

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2021-04-04 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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