<第93号> ケミカル

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第93号>
ケミカル
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

私は社会人になって最初の10年間、化学品専門商社でお世話になりました。

私がケミカルに対して抱いていたイメージは「サイエンス」。
新しい物質を作り出すというのはとても神秘的でした。

実際に大手企業の研究者の方を訪問して、
そういったお話をお伺いすることができました。
数年後に新たに開発・量産される画期的な製品のために
化学品を紹介することは大きな喜びでした。

営業活動では、日本のケミカル製品を欧米の誰もが知る企業に紹介します。
事前に特許を見て、研究テーマを学び、
ニーズを推測してから訪問します。
最先端の開発に取り組んでいる研究者は、
常に新しい情報にアンテナをはっているので、
何かしらの製品を通じて関係を構築することができます。

一方で、実際に取り組んだプロジェクトが
世の中にデビューする確率は決して高くありません。
最先端の研究に近くなればなるほど、実際に製品化される確率は低くなります。

世の中に無数にある物質が、目的とする研究に使えるかどうか?
使えたとして、無事研究成果につながるかどうか?
研究成果が導かれたとして、それが製品に応用できるかどうか?
製品に応用できたとして、その製品が無事量産され、販売されるかどうか?
製品が販売されたとして、その製品が売れるかどうか?

上記のプロセスのどれ一つとして、
約束されたものはありません。
99の努力と1のひらめきと言われますが、
かなりの部分、運も大きいと思います。

だからこそ、人と人のつながりが重要な業界と言えます。
新規化学品を使って、新たな研究をする人がいるから、
新規化学品を開発する人がいます。

そうやってこれまで生まれてきた数々の新たなケミカルとアプリケーションが、
私たちの生活を豊かにしてくれました。
人から人へと、たくさんの思いがつながって、一つ一つの製品が出来上がった結果、
今の私たちの製品が実現をしていて、
それを一つ一つ感じることができることこそ、
ケミカルビジネスの楽しさとも言えます。

循環型社会になり、求められる化学物質は変わってきていますが、
その変化に対応していくためにも化学品メーカーの力が必要です。

プラスチックは機能性よりも生分解性が求められるようになっています。
太陽電池のエネルギー効率をより高めるための物質は、
継続的に求められ続けるでしょう。
エネルギーマネジメントシステムで蓄電池の役割は大きくなってきています。
電気自動車等、様々なエレクトロニクス製品の性能向上のためには、
耐熱性に優れた物質が必要となります。

時代に流れに応じて、自らを変えながら、
世の中に価値を提供していく。
化学品業界は特にそれが、長期的な視点で求められると感じます。

さて、本号の内容です。

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<第93号> ケミカル

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ケミカルは設備産業と言われます。

物質を反応させて合成するため、
製造のためにはスケールが必要です。

一定のスケールで安定的に設備を稼働させることができれば、
継続的に安定的な収益を得ることができます。

逆に、生産ロットをコントロールできなくなると、
急速に採算は悪化します。

例えば、100の製品をつくるのが最適の設備に、110のオーダーがくると、
他の業界の場合は、追加の10をどうやって作るか、ということを考えますが、
ケミカルの場合は、110をどうやって作るかを考えないと行けないことになります。
多くの場合、110のオーダーよりも100のオーダーの方が歓迎されます。
このように、ケミカルにとって拡販よりも安定の方が重要なケースが多いです。

一旦スペックインすると、製品は継続的に流れます。
長期的に徐々に注文は減っていきますが、
競合他社が多数存在するよほど汎用的な製品でない限り
いきなり注文が止まることは、あまりありません。

長いサプライチェーンの川上に、
希少なケミカルを製造しているメーカーがいます。

東日本大震災で、ゴムの中間体の生産が止まったことが、
自動車業界はじめ様々な産業に大きな影響を与えたように、
継続的にビジネスが流れている間はあまり認識されていなくても、
いざ供給が止まると、影響は甚大です。

希少な化学品を製造しているメーカーの製品は、
何かしらの形でグローバルですでに使用されています。

上記のような理由から、「グローバル市場開拓」という言葉は、
ケミカル業界ではあまり馴染みがなかったと言えます。

しかし、近年状況は大きく変わりつつあります。

ケミカルメーカーといえば、長い間欧米、そして日本のメーカーが強く、
特定の分野で韓国と台湾のメーカーが力を伸ばしている状況でしたが
近年は中国・インドメーカーの台頭が著しいです。

もともと欧米や日本の化学品の中間体を製造しているメーカーが
中国やインドには多く、彼らはケミカルの合成の技術を持っています。

そういった中間体で培った技術に基づき、医薬品同様に、
染料や顔料でも中国・インドメーカーのシェアが高まっています。

実際に日本のケミカルメーカーが提供していた製品が、
中国やインドのメーカーの製品に「切り替えられる」といったことも
起こっており、今後ますますそういった事例が増えていくでしょう。

日本のケミカルメーカーにとって、既存の安定を求めるだけでなく、
グローバル市場で新しいアプリケーションにスペックインして、
新たな長期的なビジネスを構築していくことが、
求められるようになっています。

そういった中で、ケミカルという川上産業でも、
eコマースのような新たなビジネスに取り組む企業も出てきました。

もちろん、WEB上で決済してデリバリすることを目的とするのではなく、
新たなアプリケーションへの展開に「マッチングする」ことを
目指したeコマースです。

開発者・研究者は、常に新しい情報を求めています。
その新しい情報は世界中に存在しています。
開発者・研究者は、どの国でも、普通に日々英語を使用しています。

そういった開発者や研究者に自社のケミカルを知ってもらう上で、
ECのような環境は有効と言えるでしょう。

ケミカル業界の企業にとって、
ICT技術を使ったグローバル市場開拓が、
これから重要になっていくと思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願い申し上げます。

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2021-03-21 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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