<第70号> サプライチェーン6

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第70号>
サプライチェーン6
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

2000年代に、日本企業で急速にSAPの導入が進みました。
当時は、「サップ」と呼ばれていました。

私は、その頃商社で営業をさせていただいていて、
顧客のところを訪問すると、
「とうとう、当社も”サップ”を導入するらしい。大変だ。」
という話を聞きました。

2000年代初頭は、製造業の購買部門と生産部門の間の
人間関係はとても重要でした。
生産部門に迷惑をかけないように、
確実に仕入れ数量を納期を確保しながらも、
調達先へのコストダウンの圧力をかける調達部門の
スペシャリストの方は、商社の営業にとっては
もっとも手強い敵であるとともに、もっとも頼りになる味方でした。

その当時、”サップ”を導入すると、データだけ送られてきて、
そのデータに基づいて自動的に調達情報が算出されるらしいと、
尊敬する購買のプロフェッショナルの方が嘆かれていたことを、
よく覚えています。

当時の私は、
「現場を知らない経営層が、不要な投資をしているのでは?」
と心の底から思いました。

しかしその後、SAPをはじめとするERPは日本企業の間にあっという間に広がりました。
調達や生産だけでなく、人件費含めてあらゆるリソースとコストが
明確になり、コンピューターで分析された最適化された情報を
使いこなすことで、生産性を高めることができます。
私の認識が間違っていたのは明らかで、
ERPは企業の競争力を高めることになりました。

優秀な購買担当者からは、これまで以上の情報が入手できるようになり、
これまで以上の駆け引きが生まれました。
一方で優秀な営業担当者は、コンピュータの情報だけでなく、
開発部門や生産技術部門など、新たな人間関係を構築し、新たな差別化された、
生きた情報を集め、新たなビジネスを創出するようになります。

ERPが導入された結果、情報が整理されただけでなく、
伝達される情報の量も質も大きく高まりました。

変化を起こす人がいて、その変化にいち早く適応する人がいる。
結局のところ、生き残るためには、
常に変化に適応し続けなければならないのだと思います。

さて、本号の内容です。

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<第70号> サプライチェーン6

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サプライチェーンには様々なデータが関わっていることを
これまでに述べさせていただきました。

サプライチェーンに関わるデータのスタートは、
今のところは需要側になっています。

マーケットの求める数量、ユーザーの求める数量に応じて、
供給量が決まります。

その供給量を前提として、効率を最大化させるための、
リソースの活用方法が構築されます。
そのリソースの活用の調整には、人員や調達ルートなどの中短期なものと、
設備への投資や、拠点の移転、ロジスティスクの見直しなど、
長期的なものがあります。

そして今、IoTによって、工場に大きな変化が起ころうとしています。
IoTがもたらす変化は一つの工場だけでなく、サプライチェーンそのものに、
大きな変革をもたらすことになると思われます。

センサーが自動的に収集し、AIが自動的に判定するようになると、
生産設備が自律して動くようになります。
そういった自律した生産設備と協業できる人財には、
かつての熟練工とはまた種類の異なる、特殊な熟練された技能が求められることになります。

ドイツのインダストリー4.0、
アメリカのインダストリアル・インターネット、
日本のSociety 5.0いずれも、一生産拠点ではなく、
もっと大きなイメージを描いています。

サプライチェーンは、インターネットにつながることで、
一つの製品群を作るためのものではなく、
一つの社会を構成するためのもに変わりつつあります。

理想的には一つの社会の需要量を満たすために、必要最低限の数量が、
自動的に最適化された生産・または物流によって、
届けられることになると思います。

いずれかのタイミングで、生産コストの削減を求めて、
生産拠点を移転するという考え方はなくなり、
インターネットを通じて得られるデータに基づいて、
グローバルな需要量に対して、最適な生産・物流が瞬時に決定されるようになると思います。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

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2020-10-11 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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