<第65号> サプライチェーン

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グローバル市場開拓 メルマガ
<第65号>
サプライチェーン
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。

自動車には数千から万単位のネジが使われていると言われています。
そのネジをすべて1社が製造しているわけではありません。
さらに、ネジを製造するために必要な鉄やメッキの素材、
測定するためのゲージなど、様々なサプライヤーが関わっています。

パソコンにしても、プリンターにしても同様です。
複雑なサプライチェーンの上に成り立っています。

複雑なサプライチェーンも、一つの一つの生産プロセスも、あらゆる工程が
「見える化」され、さらにその後データ化が進み、
徹底的な効率化から、データ・ドリブンとも言われるように、
データから生み出される新たな施策も生まれています。
そして生産現場ではIoTが導入され、これまでとれなかったデータも、
生産設備がインターネットとつながることで自動的に取得できるようになっています。

まさにデータは宝。
データはお金を生み出しています。誰もがデータを集めることに一生懸命。
新たなプレイヤーがデータを使って新たなビジネスモデルを提案します。

ただ、データを使った新たなビジネスモデルは、
金融の世界でのオプション取引のような方向に向かっているような気がします。
たとえ社会的な価値が高くても、特定の人だけが得をするような仕組みにならないことを願います。

データだけがあっても自動車は作れません。
一台の自動車に、どういった部品が使われているか、すべてデータで明確になっても
その一つ一つの部品のすべてを、完璧にコピーできる人はいないでしょう。

データは、それを本来の目的のために使う人間がいて初めて役に立ちます。

さて、本号の内容です。

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<第65号> サプライチェーン

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一つ一つの機械にセンサーがつき、データを自動的に取得します。
そして、センサーから取得されたデータに基づいて機械が動くようになっています。

人間の指示によって動く機械と違って、
機械が取得したデータに基づいて動く機械が増えています。

例えば、家庭のエアコンなどは室内の温度を感知して、室温を一定に保つように
自動で制御されています。
センサー技術の発展により、
BEMS、HEMS、FAMSといったエネルギーマネジメントシステムも実現し、
様々な技術と組み合わせて、ゼロエネルギー住宅(ZEH)も実現できるようになっています。
これらも、機械が取得したデータが機械を動かすことができる結果です。

生産ラインのロボットも、毎回同じ動きをするのではなく、
ベルトコンベアに流れてくるモデルを感知して、
そのモデルに対応した動きをしています。
生産現場では、人間が指示しなくても、機械がセンサーを通じて、
可変な動きに対応して多品種の生産ができるようになっています。

自動運転は、センサーが道路や障害物、歩行者を感知し、
自動車を動かしたり、止めたり、方向を指示したりします。
自動運転車の完成度は高まっており、実現の一歩手前の段階です。
自動飛行機が飛ぶ日が来る可能性も皆無ではありません。

このように、人間が機械をコントロールするのではなく、
機械が機械をコントロールすることをM2Mと言います。

2010年頃にインダストリー4.0が唱えられるようになった時、
当時の中国をはじめとする人件費の安い新興国に対して、
先進国のモノづくりがどんどん流れていくことへの危惧が、
背景としてありました。
機械が機械をコントロールする限りは、人件費が高い先進国でも、
モノづくりの競争力を維持することができます。

そして、その姿は現実のものとなっています。
先進国に関わらず、新興国でもM2Mの導入は進んでいます。
M2Mは、雇用を減らすのではなく、新たな産業を生み出すことで
新しい仕事を生むとともに、新たな競争も生み出しています。

さらに米中の貿易紛争、災害への対応もあります。
海外で製品を生産するプロセスで排出する二酸化炭素や、
発生する資源ゴミへの対応にも注目されるようになっています。

M2Mの発展と、社会的な背景の変化の両方が影響し、グローバル・サプライチェーンは大きな変革の時期に来ています。

従来の価格を中心とした「競争力」ではなく、
技術・環境・政治・災害・貧困含めた、
総合的な「競争力」を踏まえたサプライチェーンを構築することが、
求められるようになっています。

そして、そのサプライチェーンの再構築のための重要なキーワードが、
「データ」と言えます。

本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。

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2020-09-06 | Posted in Mail Magazine Back NumberNo Comments » 

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