<第59号> 機械翻訳2
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第59号>
機械翻訳2
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
昨日Epic Games社の主催するUnreal FestをWEBで視聴しました。
これまで全く携わったことのない業界でしたが、
凄まじいリアル感のある映像、洗練されたインターフェース
オープンな開発環境含めて、衝撃を受けました。
最新のエンジンであるUnreal5はプレイステーション5の映像で発表されていますが、
XBOX、任天堂スイッチ、その他PCやスマホにも対応するとのこと、
誰でもこのエンジンから提供された映像を体験できるようになります。
すばらしい技術は、瞬時に広がり、そして常識となることが常。
ゲーム市場という莫大なバーチャル市場に参画している
プレイヤーの裾野の広さを改めて感じました。
そして、最も刺激を受けたのは、日本のゲーム会社Artplayの発表です。
開発そのものをユーザーと行い、ユーザーからの厳しい声を聞きながら、
完成度を高めていったそうです。
こんなことが実現できるのだと、発想そのものも、実行力も、
衝撃でした。
ソフトウェアの開発プロセスには、
要件定義、設計、製造、テスト稼働、実装、本番稼働、サービス提供、保守などがありますが、
ウォーターフォール型からアジャイル型へと開発プロセスの主流が
変わってきています。
DevOpsで開発から運用もクラウド環境でシームレスに行われるようになっています。
日本企業のソフトウェア開発においてはまだウォーターフォール型が多い中、
ゲームの世界ではアジャイルプロセスそのものに、
ユーザーも関わるほど、進んでいると率直に思いました。
Unrealエンジンはゲーム以外の分野でも活用されています。
その応用分野は、自動車や航空宇宙など、最先端のモノづくりへと
広がっていくことになると思います。
通信の能力が高まると、VR/ARを通じて、
料理や教育など裾野の広い分野にも応用されるでしょう。
ゲームの世界はバーチャルですが、バーチャルの世界で鍛え上げられた技術が、
現実の世界に大きな付加価値を提供しています。
経済においてハードよりもソフトの役割が高まれば高まるほど、
この傾向は強くなると思います。
ICTの奥の深さ、将来の可能性を、
ゲームのテクノロジーを通じて改めて感じました。
さて、本日の内容です。
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<第59号>
機械翻訳2
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翻訳は主観的なプロセスです。
100%正解がもしあるとしたら、
文書を作った本人が、みずから翻訳した場合でしょう。
そのため、書籍の世界では、超一流の翻訳者が、
著者とコミュニケーションを頻繁に行い、
著者の意図を汲み取りながら翻訳を進めます。
ピーター・ドラッガーの書籍を
著名な経営学者である上田惇生氏が翻訳していたのは有名な話です。
私の場合、子供の頃ドリトル先生シリーズが大好きだったので、
それをきかっけに井伏鱒二の著作を読むようになりましたが、
翻訳した書籍の内容は、原作者と翻訳者の両方に依存し、
一流の翻訳者が一流の原作者であることは珍しくありません。
村上春樹など世界的な作家の多くが、
超一流として世界中で認識されてからも、
翻訳活動を続けています。
それだけ、翻訳の主観性と向き合うのは難しく、
向き合うことによって、自らを高めることもできます。
機械翻訳+ポスト・エディティングによって、
翻訳の生産性が大きく向上していますが、
「生産性」だけに着目するとコスト競争に引き込まれることになります。
コスト競争力によって得られる付加価値は少なく、
コスト競争力を求める限りは常に規模を拡大せざるを得ません。
グローバル化で翻訳のニーズは高まっているものの、
6大陸で主要言語として使われている英語と世界で最も利用人口が多い中国語をハブとして、
価格競争はますます激しくなっていくでしょう。
どれだけ機械化が進み、効率が高まったとしても、
差別化の本質は品質であり、永続の条件は高くても選んでくれるファンの存在です。
機械翻訳+ポストエディティングで翻訳コストは下がっていますが、
その中で、いかに自社ならではの質を出していくか、
ということが重要です。
このことは、翻訳をする側だけでなく、翻訳を依頼をする側にとって、より重要です。
「自社は、この用語を使う」、「こういった文脈は、自社はこうやって翻訳する」、
といったポリシーをあらかじめ定めておくことで、
機械翻訳+ポストエディティングに、自社の主観性を反映させることができます。
例えば、体言止め。
うまく活用することで、文章にインパクトや緩急を与えることができます。
多用するのではなく、うまく散りばめることで、
文章としての読みやすさも演出することができます。
こういったことを、最初から機械翻訳に選択させることは不可能です。
しかし、過去の翻訳が、こういった日本語独特の文法を使いこなしていて、
それをきちんと翻訳資産として管理していた場合、
機械翻訳に学習させることで、機械翻訳がニューラルテクノロジーで、
ある程度そういった文脈をアウトプットしてくれる可能性もあります。
効率を高める方法、品質を高める方法は必ずしも画一的ではありません。
常に創意工夫を繰り返すことが、差別化の最大のポイントと言えます。
本号の内容は以上です。
来週もよろしくお願いいたします。
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