<第28号> GDP その10モザンビーク
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第28号>
GDP その10モザンビーク
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の牧野好和です。
経済は政治の影響を大きく受けます。
政治は歴史の影響を大きく受けます。
例えば、日韓関係。
韓国人が持っている情報と、日本人が持っている情報との乖離が
ある限りは、国民レベルでの理解にはつながらないので、
政治的にも経済的にも解決することは難しいと思います。
そして、アフリカは複雑な歴史を持つ大陸です。
南アフリカのアパルトヘイトは有名ですが、
南アフリカに限らず、ほとんどの国が独立の歴史を持ちます。
フランスとイギリスがアフリカ大陸に
支配的な影響力を及ぼし始めたのが1870年代。
その頃からヨーロッパ各国によるアフリカ支配が進み、
19世紀末までに、アフリカの国家は
ヨーロッパ列強に割譲されていきました。
独立国だったのはエチオピア、エジプト、リベリアだけでした。
第二次世界大戦後、アフリカで独立運動が開始され、
順次、アフリカ各国がヨーロッパ各国から独立していきました。
17カ国が独立した1960年はアフリカの年とも呼ばれます。
そのアフリカ独立運動の中でも、最も独立が遅れたのが、
アンゴラやモザンビークなどのポルトガル領でした。
モザンビークが独立したのは1974年。
そして初代大統領に就任したのが英雄サモラ・マシェルです。
サモラ・マシェルの夫人、グラサ・マシェルは、
サモラ・マシェルの死後、ネルソン・マンデラと再婚し、
2つの国の大統領夫人を経験したことで有名です。
さて、本号はアフリカ・モザンビークをご紹介させていただきます。
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<第28号>
GDP その10モザンビーク
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早速ですが、モザンビークの一人当たりの名目GDPです。
今回もJETROホームページを参照しています。
(単位:USドル)
2009年 475ドル
2010年 430ドル
2011年 525ドル
2012年 590ドル
2013年 605ドル
2014年 620ドル
2015年 529ドル
2016年 379ドル(推定)
2017年 426ドル(推定)
2018年 479ドル(推定)
2018年の数値で比較して、
ベトナムの一人当たりGDPの20%にも届きません。
2014年にモザンビークの首都マプトを訪れた際、
頭の上にガゴを乗せて物を運んでいる女性が
まだまだたくさんいたことをよく覚えています。
女性が頭の上でに大きなカゴを乗せて運ぶのは、
テレビの中だけでなく、現実のことであるということを
実感しました。
一人あたりの名目GDPは、
10年間でほとんど伸びていないばかりか、
2016年に大きく減少しています。
モザンビークは2015年から2016年にかけて、
債務問題に端を発する金融危機が起こったためです。
債務問題とは、モザンビークに対する各国からの
非譲渡的借款の割合が高まり、返済負担が増えたこと、
さらに借款の使途が非開示で不明なため、
IMFや欧州諸国からの財政支援が停止され、
債務不履行に近い状態に陥ったという問題です。
2014年1月には日本の安倍首相も訪問し、
三井物産など日本の大手企業が
モザンビークへの投資を表明していた中での
この経済の停滞は、
政治的に未成熟な国への投資がいかに難しいかを
よく表していると思います。
2019年現在、債務再編が評価され、
モザンビークの格付けは改善しています。
三井物産も2019年6月、LNGプロジェクトの最終実行の決断を
発表しました。
世界最大のガス田が発見され、
資源大国になる可能性を十分に秘めています。
難しい投資でハイリスクと思われますが、
その分リターンも大きいと思われます。
一方、この世界最貧国とも言える貧しさの中で、
ソーシャル・ビジネスに挑戦される方も
いらっしゃいます。
国民の大半が農村に居住しており、
十分な電力インフラが行き届いていない中、
無電化の村にキオスクを作り、電子マネーを使った
新たな社会インフラを構築しようとしているのが、
日本植物燃料株式会社の合田社長です。
このように、現地に土着して現地に技術を提供し、
現地の方々の手に職を、そして社会にインフラを
提供する日本人の方がいらっしゃることは、
グローバルビジネスに取り組む私達にとって、
大変な刺激であるとともに、感嘆に絶えません。
アフリカといえば、ケニア・ナッツ・カンパニーを
創業した佐藤社長が有名です。
未開の地でビジネスを立ち上げることは
想像を絶する大変さだと思いますが、
だからこそチャンスという発想もあるのかと思います。
おそらく世界中からの資本が今後集まるモザンビーク。
マプトの沿岸部には、中国資本がどんどんビルを建てています。
その一方で、まだ世界最貧の所得水準で、
インフラ整備が未完成で、また政治も安定的とは言えない国です。
この先、どのように変化するのか、誰も正確な推測はできないと思います。
今後の変化を待って、冷静な分析をしていては、
いつまでたっても参入できない国であると思います。
リスクを覚悟で飛び込んだ企業だけが、
リターンを得ることができると感じます。
本号の内容は以上です。
来週も何卒よろしくお願いいたします。