<第9号>Distributorとの契約のポイント その5 L/C
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グローバル市場開拓 メルマガ
<第9号>
Distributorとの契約のポイント その5 L/C
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こんにちは
グローバル市場開拓メルマガ 発行責任者の古白です。
資本主義のもとでは、お金は経済の血液の役割を果たしています。
売買は金銭を対価として行われるため、
通常は製品またはサービスと引き換えにお金が支払われます。
しかしながら、通常、製品とお金の間に様々なものが介在します。
その代表的なものが「信用」。
「信用」によって、製品と引き換えにお金を支払うキャッシュ&デリバリーだけでなく、
末締め翌月末60日後支払いといった取引形態が可能になります。
一方、貿易の場合は、製品とお金以外に、書類という重要なものが存在します。
海を渡っている船に乗っている製品は、誰のものか?
その船が沈んでしまった場合は、誰がその危険を負担するのか?
港に着いた時に、貨物を引き取る権利を持っていることをどうやって証明するのか?
貿易取引では書類がこういったことを証明してくれます。
グローバル化が進み、テクノロジーが発展し、
商売の世界では国際的な基準が定められつつあります。
その中でも、ICTを使った技術は、これまでの概念を大きく変える可能性を秘めています。
特にブロックチェーンの技術は、
船荷証券や為替といった考え方を変革する可能性があります。
通常、貿易を始める時には誰もが、
「物の流れ」「金の流れ」「書類の流れ」を覚えるところから始まりますが、
数年後はもしかしたら変わっているかも知れません。
さて、第9号の内容です。
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<第9号>
Distributorとの契約のポイント その5 L/C
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L/CはLetter of Creditの略です。
L/Cについて細かくここで説明することは省略させていただきますが、
簡単に言うと、輸入者が代金を支払わなかった場合に、
L/Cを発行した銀行が代わりに代金を支払ってくれるという制度です。
貿易実務に携わった経験がある方は誰もがこのL/Cを細くみた経験があると思います。
L/Cの内容と取引の内容が一致しないとDiscrepancy (通称ディスクレ)となり、
L/Cが発行されていても銀行が保証してくれないことになります。
したがって、輸出実務担当者は、L/Cが発行されると間違いがないか詳細に確認して、
万が一間違いがあった場合は輸入者に対してアメンドをリクエストしなければなりません。
L/Cがアメンドされない限りは貨物が出荷できないため、
L/Cの内容次第で、船積みのブッキングスケジュールを変更したりなど、
予定通り輸出ができないことになります。
さて、L/Cは貿易を行う上で大変重要な手続きです。
ディストリビューターとの間の取引も、取引金額が多ければ最初は
L/Cで取引を行うことが通常と思います。
L/Cは輸入側の銀行と輸出側の銀行とのやりとりのもとで開設されるため、
その双方で手数料がかかってきます。
またL/C at sightの取引はまれであり、通常はL/C 120 days after B/L dateのように
支払いサイトがついてくることになります。その場合は金利負担もかかってきます。
海外のディストリビューターとの契約で「支払い条件をL/C にする」ということまで
合意されていても、ではその手数料や金利の負担はどちらが持つのか、
といったところまで合意できているケースは稀です。
輸入者が輸入国の銀行にL/C開設を依頼するので、その手数料は一般的には輸入者負担となります。
逆に輸出国の銀行への手数料は輸出側が負担することになります。
支払いサイトがついた場合の金利も、支払いまで輸出者が待つことを同意しているので、
輸出者が負担するというのが一般的な流れだと思います。
しかしながら、常に例外があるのがビジネスです。
例えば、輸入国の銀行にカントリーリスク等で信用上の問題がある場合、
輸出国の銀行がサイレントコンファメーションといった形で第三国の銀行を確認銀行に指定して、
万が一の場合に確認銀行からの支払いを受けられるようにすることがあります。
このサイレントコンファメーションの費用は一般的には輸出者側の負担となります。
輸入者側の手続き上のミスによって輸出者がL/Cのアメンドをリクエストした場合でも、
通常は輸出者側の負担が生じます。
その他、L/C取引には、実務上、ディスクレと納期を調整するために、ケーブルネゴを行ったり、
Letter of Guaranteeを発行したりといったことは決して珍しくありません。
船積みをスケジュール通り行うために、輸出者側に細かい負担が発生することは少なくありません。
L/C開設費用や支払利息をすべて輸入者側が負担するケースも実際に存在しています。
テリトリー内での販売拡大という同じ目的を持つディストリビューターとの間では、
お互い相反する利害がある場合は、契約段階で交渉し合意をしておくことが望ましいです。
支払い方法をL/Cで、というところまで合意できたならば
ぜひ一歩踏み込んで、その費用負担まで交渉できると望ましいと思います。