Dent de Lion
たんぽぽの花が咲くと、やがて枯れます。枯れた花には種子が実ります。
風が吹くと、種子は飛び立ちます。ふわふわふわと風にのって飛び立ちます。
そして、降りるべき土地に辿り着き、根を下ろし、再び花を咲かせます。
すべての種子が飛び立つのでしょうか?
おそらく、飛び立たず、咲いていた場所におちて、そこで再び花を咲かせるたんぽぽもあると思います。
たんぽぽの種は、どこに行っても、たんぽぽにしかなりません。でも、きっと、もともとの土地で咲いたたんぽぽはもともとのたんぽぽとそっくりで、違う土地で咲いたたんぽぽは、その土地の土壌の影響を受けて、少し変わるのではないかと思います。
そうやって、たんぽぽは、いろんな土地で生き抜いて、子孫を残していくんだと思います。
たんぽぽが一番幸せな時はいつでしょうか?
飛び立つ時か、それとも、それぞれ違う土地から来た仲間たちと、新しい土地で仲良くたんぽぽの花を咲かせた時か?
きっと、それもそれぞれのたんぽぽによって違うのだと思います。
たんぽぽは、成長する時と、花を咲かせる時はエネルギーを使っていますが、飛び立つ時は他力本願です。風にまかせて、ゆーらゆら。
人にも岐路があります。右に行くか、左に行くか、止まるか、まっすぐ行くか、後ろにさがるか。自分で決める時もあれば、風にまかせて、ゆーらゆらの時もあると思います。自分に決めなければならないという理由はありません。飛び立たなければならない理由もありません。
根を下ろし、花を咲かせること。それが役割ならば、きっと、そうするのだと思います。
そうやって、風にまかせて、たくさんの人に出会って、仲間に囲まれて賑やかな花を咲かせるのも、風にまかせて、一人っきりで、厳しい土地で、ひっそりと、小さいけど、でもたくましい花を咲かせるのも、どっちも素敵だなと思います。