Tipping Point
「いつか、ティッピングポイントが来る」と信じて頑張っている人がたくさんいらっしゃると思います。
もしかしたら、そのティッピングポイントは、自社の製品が突然売れ出すティッピングポイントかも知れませんし、芸術作品が評価されるティッピングポイントかも知れませんし、地球温暖化が止まるティッピングポイントかも知れませんし、もしかしたら、シンギュラリティかも知れません。
タバコについては、この10年でたくさんのティッピングポイントがあったと思います。飛行機が禁煙になり、オフィスが禁煙になり、そして今ではなんと、飲食店が禁煙です。どこがティッピングポイントなのかわかりませんが、あっという間に喫煙者が少数派になりました。
ティッピングポイントを目指す上で、広告宣伝の力は強いと思います。広告宣伝の世界では、製品そのものの付加価値よりも話題性の方が影響力があると思います。広告宣伝の力で一斉に普及したとしても、その中身が伴っていなければ、一過性のブームで終わってしまうのだと思います。
「思いやり」のティッピングポイントが世の中に溢れたら素敵だなと思います。最初は落ちているゴミを拾うのは、近所のおばあさんだけだったとしても、そのうちおじいさんが拾い、おばさんが拾い、おじさんが拾い、子供もひろって、みんな拾う。最初はあいさつが一人だけだったとしても、だんだんみんなが引き込まれて、元気よくあいさつするようになる。
体が不自由な人が電車にのったとたん、座っている人全員が一斉に席を譲ろうとする。どこかで地震が起こったら、日本全国から助けに行く。
本当にこんなティッピングポイントがあったら、すごく不思議です。でも、実際に落ちているゴミを拾っている人を毎朝見ますし、大きな声で知らない人でも挨拶している人も毎朝見ますし、席を譲っている人もかなりの頻度でみます。災害ボランティアに仕事を休んで行く人もたくさんいらっしゃいます。実際に、こういった思いやりで溢れた人たちはたくさんいます。
きっと、実際に行動している人は、ティッピングポイントのことなんか考えていないと思います。何かの見返りを求めているわけではなく、誰に認められることを求めているわけでなく、正しいと思うからやっている。そして、自分以外の人が、ゴミを拾ってくれたり、挨拶をしてくれたり、席を譲ってくれたり、ボランティアをしてくれたりしたら、もうそれはとても嬉しいと思います。
人は、社会のティッピングポイントなど関係なしに、その人なりのティッピングポイントを常に超えていれば、幸せな人生を送ることができると思います。
ティピングポイントは目指すものではなく、振り返るものかも知れません。そして、振り返って、幸せだなあと思うことができれば、それが、一番幸せなのだと思います。