Growth

人は常に成長するか?

答えはイエスであり、ノーだと思います。

体の成長は止まります。おそらく、記憶力とかそういった脳の成長も止まっているのだと思います。

しかし遺伝子は子孫に引き継がれますし、概念や技術は成長を続けます。世の中に文字が生まれた限りは、理論上、事象を文章化することが可能であり、長い時間をかけて作られた歴史は、後世の人は、歴史という勝手な表現で短時間で学ぶことができます。

しかしこれは、人間が勝手に時間という横軸をずっと右に伸ばし続けている結果生まれている考え方だと思います。

現実は、左から右へと時間は進んでいません。人は生まれ、年を取り、最後は天国にいくか、地獄にいくか知りませんが、いずれにしてもいなくなります。永遠の命はあり得ない。地球上のあらゆる生命は、死ぬことによって土に帰り、次の命の源になります。すべては循環している。

左から右へとグラフを伸ばすと、どうしても右肩上がりにしたくなります。これもまた人間が勝手に作った成長という概念のため。成長という考え方からすると、右肩上がりはポジティブで右肩下がりはネガティブです。でもこの考え方自体が、循環型ではありません。

太陽系の図を見ると、大抵、太陽が一番左に描かれていて、地球の左側に金星、右側に火星が描かれています。これを人間の成長という勝手な概念で描くと、地球は太陽からだんだん右側にずれていって、火星の上側を通り抜けて、さらにがんばってその次の木星の上側も通り抜けるのでしょう。

でもそれでは困ります。ちゃんと四季が必要であり、地球も他の惑星と同じように、いや、地球は地球なりの時間で太陽の周りをぐるっと一周しなければなりません。ぐるっと一周することで、地球上の草木は枯れて、次に生まれる命の栄養となります。

いつまでも成長していると、本人が疲れるだけでなく、次の命も生まれません。右肩下がりをネガティブに考えないようにすることも大事じゃないかな、と思います。

私の年収は32歳をピークに右肩下がり、社会的な評価も右肩下がりですが、なんとか生きていますし、途上国の人よりも十分豊かです。たくさんの方に嫌われていますので、存在価値はないと考えてしまいがちですが、道にゴミが落ちていたら拾うようにしているので、少なからず社会の役に立っていると思います。すくなくとも、そう思おうとしています。そう考えたら、貧乏になることは幸せですし、ゴミを拾うことも、自分自身を肯定するうえでは金銭的な対価を得るための労働に匹敵するほど重要なことです。

今日は頑張ったと思って、高級ワインを飲むのも、今日は頑張ったと思って、たこ焼きを買うのも、どっちも幸福です。自分自身がスーパースターになるのも、スーパースターと友達になるのも、スーパースターを遠くから眺めるのもすべて幸福の一つです。

一つひとつの気持ち、一つひとつの出会い、一つひとつの喜びを大事にしていれば、右肩上がりでも右肩下がりでも、幸福はいっぱいあると思います。

成長を目指すのではなく、ぐるぐるっと回っている間に、たくさんの幸せがあることに気がつくことが大切だと思います。

2019-05-11 | Posted in BlogNo Comments » 

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