petit à petit
ローマは1日して成らずと言われます。栄華を極めたローマ帝国。その繁栄までに何百年という歳月を要しました。このことわざは、大きなことを成し遂げるには時間がかかるということを意味していると思います。
全く逆の観点からは、ローマが繁栄したのは、何百年という歳月をかけて作り上げてきたからとも言えます。もしローマが1日で帝国になっていたら、もし繁栄しても一発屋で、あっという間に滅んでしまったでしょう。
それほど繁栄したローマ帝国も、いつかは滅びます。滅んだ原因は、後からいろいろと理由を見つけることができるのでしょうが、結局、それらの理由がすべてなかったとしても、いつかは滅びると思います。永遠の繁栄はあり得ません。
ただし、こんな勝手なことを言っていると、人類もいつか滅びるということになってしまいます。石器時代と比べると現代は間違いなく繁栄しています。永遠の繁栄はあり得ません。だからいつか滅びる。いやいやちょっと待ってください、子供や孫たちはどうなる?という話になってしまいます。
だからこそ、なぜローマが滅びたのかを、後からいろいろと理由を見つけることが大切だと思います。現代の繁栄を、核戦争で一瞬で終わらせるのか、それとも繁栄しすぎた反省から、少しずつ昔のような自然と共生していた時代に戻るのか、それともまだまだ道半ばとして、さらなる繁栄を目指し続けて、地球環境を破壊しまくって、手遅れになってから気がつくのか?
おそらく、歴史には、たくさんの答えがあると思います。
破壊の後に再生があるのも確か。ノアの箱船のような考え方を持ってしまう人もいるかも知れません。しかし70億人も人口がいるのだから、箱船に乗る人を選別するのは簡単ではありません。箱船に乗るべき人ほど、箱船に乗らないのだろうなと思います。
「ローマは1日にして成らず」。
その教訓は、最後まで繁栄しないのが一番よい。ということなんじゃないかな、と思います。腹が減っていれば、腹を満たしたいと思いますが、腹が膨らむと、次の欲望が芽生えます。人間は食べることと子孫を残すこと以外にも、様々な欲求を持っているので、欲求を満たせば、どうせ次の欲求が生まれます。
一歩進んで三歩下がって、また一歩進めたことを感謝する。
これが、「ローマは1日にして成らず」の経験から、私たちが実践しなければならないことなのではないかな、と思います。