旧田中家住宅(Former residence of Tanaka Family) / 川口(Kawaguchi)

旧田中家住宅は埼玉県で唯一の煉瓦造三階建の建造物です。

田中家は代々長男が家督を相続して「徳兵衛」を襲名。初代徳兵衛が農家として身を立て、2代目徳兵衛より麦味噌の醸造と材木商で巨大な富を築いたとのこと。

現在の旧田中家住宅は4代目田中徳兵衛が手がけたものとのこと。4代目は自ら材木商を営んでいたことから建築資材にはこだわりがあり、当時入手できる最高級の木材を用い、煉瓦も建築現場の近くで職人が1枚1枚焼いたものとのこと。

洋館は、煉瓦造り三階建て、壁は化粧用レンガを貼ったイギリス二枚積み、外観は最上感にアーチを置き、窓枠とスパンドレルを飾ったデザインです。

趣のある日本庭園。庭園における池は海を、枯山水は水の流れを表しているとのこと。

茶室から臨む庭園の風景。

館内に入ると、ステンドグラスが出迎えてくれます。

蔵もあり、商家としてのスタイルを残しています。

1階にある応接間。建物デザインとともに、家具・調度類によって、室内空間が構成されています。1階の肘掛け椅子はルイ16世様式。

3階まで木製の階段が続きます。

3階にある洋風の大広間。肘掛け椅子は木材にミズナラ、布地はコブラン織のバラ模様。ロココ調のフォートイユという家具に類似します。

3階にも応接間があります。木材にクルミ、布地はボーベータペストリー張り。19世紀ビクトリア以降の様式。

和洋折衷の数寄屋造りの建物です。

設計監督技師は櫻井忍夫(さくらい しのぶ)。櫻井は愛知県に生まれ、明治24年(1981年)に上京、左立七次郎事務所に入所、東京証券取引所、東京座に携わり、佐立事務所を出た後、三菱の関連会社である三菱合資会社、東京電気鉄道株式会社、東京倉庫株式会社に勤務し、社宅や倶楽部、事務所、発電所など様々な中規模建物の設計、施工管理に携わったそうです。

2018-09-17 | Posted in SaitamaNo Comments » 

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