ルイジアナ -Louisian-

かつてフランスは今のカナダのケベック州からアメリカのルイジアナ州まで北米の広大な領域を統治していました。ニューオリンズは、新しいオルレアンを意味し、ルイジアナはルイ14世のものを意味します。今もアメリカ各地に、フランス語での村を意味するvilleがついています。

ナイアガラの滝の近くに、ナイアガラ・オン・ザ・レイクがあります。一度ナイアガラの滝からナイアガラ・オン・ザ・レイクまで歩いたことがありますが、その道中も、その場所もまるで楽園のような綺麗な景色。食事もおいしい。そして周りにはアイス・ワインのワイナリーが広がっています。ナイアガラ・オン・ザ・レイクには、英仏で争った時の大砲が残っていたのが印象的でした。いろんな意味で、英仏の境界線争いの歴史を背負っていることを感じました。

アフリカもフランス語圏と英語圏に分かれます。アメリカの南北戦争は奴隷解放戦争の意味を持つと思いますが、もともとアメリカ大陸でアフリカ人を連れてきて綿花の栽培を始めたのはフランスからの入植者ではないかと思います。なんとなく、南北戦争は英仏の争いの歴史を背負っていると思います。

イギリス、ロシア、フランスとの間で中東を割譲したサイクス・ピコ協定。今のシリアは全体をフランスが、南部の一部をイギリスが統治することになりました。当時イギリスとフランスは同盟国。シリアは今、大変なことになっています。誰が正しくて、誰が間違っているのか、全くわからない。

英仏戦争は百年戦争が有名ですが、なんだかんだでナポレオンの時代まで500年間にわたり絶えず戦争をしています。そしてなんだかんだでアメリカやアフリカや中東を舞台に、ロシアやイスラムとの対立に影を潜めていますが、英仏がお互い静かに利害を調整しているような気がします。

英語はかなりの部分、フランス語を起源としています。ドイツ語を勉強していると、なんとなく英語とフランス語が混ざっているような気がするのは私だけでしょうか?特に男性名詞と女性名詞が逆になっている単語が多いことが気になります。ドイツの起源はゲルマン人。ゲルマン人はフランク王国を築きヨーロッパの広範囲を統治します。アングロサクソン人の起源であるケルト人もゲルマン系。第一次世界大戦と第二次世界大戦ともに、英仏が組んでドイツと戦ったことに深い理由がある気がします。

世界の分断や争いは、何かしら英仏が背負った歴史が背景にあるような気がします。

まもなく、新しいフランス大統領が決まります。ブレクジットの後、トランプ大統領が誕生し、次に来るのはルペン大統領か?いくらマクロン氏が優秀でも、歴史のしがらみにはあがらうことはできないと思います。

英仏の背負った歴史のしがらみにあまり縛られていないのが、中国、日本、タイ。中国はアヘン戦争、日本はペルー来港以来くらいでしょうか?世界史の中ではつい最近のことです。その中国と日本で安定的な政権が確立しています。中国はそれ自体巨大で、その歴史自体が分断と統治の繰り返しですが、今のところ分断しそうにありません。もし世界がこれから安定に向かう必要があるとしたら、英仏の歴史のしがらみに縛られていないこの3カ国の役割が大きいのではないかなと思います。

 

 

2017-04-29 | Posted in BlogNo Comments » 

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