生きる目標 – Where we are going-

最近書店に行くと、いや、書店にいかなくとも、電車の中の広告でも、生き方とか、マインドとかそういった本が増えていると思います。世の中もメンタルヘルスが問題になったり、働き方改革が叫ばれていますが、「そもそも今の生き方っていいの?」って思っている人が多いと思います。

リンダ・グラットンさんのLIFE SHIFTがベストセラー。これからの人生は100年を前提に組み立てて行くことが大事。100年と聞いて、わくわくする人もいれば、ぞっとする人もいると思います。65歳で定年になったとして、毎年300万円の生活費が必要だとすると、100歳までの35年間で、1億500万円必要です。その時、年金制度はあるのかな?なんて心配をしている働き盛りの方もいるかもしれません。

いずれにしても、今、多くの人が生き方について悩んでいると思います。何をすれば将来安心かわからない。少なくとも、昔のように今の仕事を頑張って、無事勤め上げれば将来悠々自適、といったことはこれからはないだろうということは確かです。

 

なぜ、こんなに不確かな世の中になったのでしょうか?

 

そもそも、歴史は支配と搾取の繰り返し。王の支配、宗教の支配、貴族の支配、議会の支配。資本主義は自由主義、民主主義と密接に絡み合って、資本の名のもとでの搾取を正当化します。そして産業革命後の輝かしい発展は、先進国が資本の名のもとに、途上国から数々の富を搾取することに支えられてきました。搾取して得た富を、さらなる先進国の中で開発に回す。開発した投資をまた途上国からの搾取で回収する。

先進国の中でも、富むものと貧しいものに二分化されてきました。でも、富むものは常に貧しいものを支配し、発言力が強く、そして弱者もきちんとした社会保障制度で生活が保証されてきたから、強者に従って黙ってきました。

その構図が大きく崩れたのが2016年。先進国では、弱者はもう耐えられない。なぜ富は集中するのか。格差は拡大するばかり。それが気がついたのは、つい最近まで途上国だった中国の台頭、それを追う東南アジアの経済発展。欧州に流れ込む難民。

 

極端な話、資本主義という大義名分のもとで、北が善人面して南から搾取するという世界の構図が崩れてしまったために、北の国々で混乱が発生しているということ、たった一つのこの自明の出来事に、尽きると思います。

 

一方でもともと矛盾を抱えていた国、北欧やスイスやシンガポールなどは先進国の中でも安定しています。彼らは同じ先進国でも、小国としての生き方を確立してきたからでしょう。問題は、繁栄がずっと続くと信じて搾取の構図を構築してきた国々です。南が一定のレベルまでは効果的でしたが、南が独自に製品を開発し、独自に品質を確立し、独自にIT化を推進する時代に、北が常に南から搾取し続けることは不可能です。あるのは個人差。北の中でも富むものは富み、南の中でも富むものが富む。貧しいものは北でも南でも貧しい。北の人たちが一斉にそのことに気がついたのが2016年。さあ、どうやったら自分たちは今の生活水準を維持できるか?そのためには既存の秩序を否定するしかない。そんな感じだと思います。グローバリゼーションそのものを否定。でも、いくら否定しても、グローバリゼーションは止まりません。

 

既存秩序の破壊。資本主義の崩壊。これらは迷走に過ぎません。もともと昔から人はみんな平等。かってに人々が優劣をつけたがって、格差を作り出して、そして今度は、自らそれを否定しているに過ぎません。焦るより前に、隣人に手を差し伸べよ、です。隣人に手を差し伸べ続ける限りは、お金は貧しくても、心は貧しくありません。心さえ貧しくなければOKです。自分の大事な心さえ失わなければ、なんとか食べていける。なのに、今、北の多くの人が勘違いして、何かを守ろうとするあまり、心を貧しくしている。そして何かの答えを求めている。

 

今の資本主義の延長線上には、焦って迷走している人たちへの答えはありません。今の資本主義の否定にも、グローバリゼーションの否定にも、焦って迷走している人たちへの答えはありません。答えは常に自分の中にあります。いつの時代も、正しいことをした人は幸せだし、正しくないことをした人は、最後に後悔する。日本の中にもたくさんの矛盾があります。だから今になって、メンタルヘルスとか、働き方改革とは言い出している。

 

矛盾を正視して、正しいと自分が信じることのために、自分にできることを考える勇気。行動する勇気。これが、これこそが、生きることの目標なんじゃないかなって、思います。

2017-01-03 | Posted in BlogNo Comments » 

Related article