中国 -China-

大学のゼミに中国から来ている仲間がいました。

年は私よりも2歳程上なだけですが、日本語も英語も流暢。というか、ペラペラ。しかしそれ以上に驚いたのは、国の政策や数字を大変細かく知っていたこと。

 

ある日、先生がゼミに別の中国人を連れてきてくれました。すると、中国人同士で、日本語で激論が始まります。母国のあるべき姿について。はたから見ているとケンカです。先生が遮るまで、それは続きました。

 

法学部法学科ですが、ゼミは国際関係論でした。先生はいろんな国からの仲間をゼミに連れてきてくれました。日本語がうまかったのがこの中国の仲間達だけだったので、ということもあるかもしれませんが、それを差し引いても、あの二人は飛び抜けていたなあと思います。

 

中国のプレゼンスが高まっています。中国が近い将来世界一の経済大国になることは確実。その背景には13億人の人口があります。

 

13億の人口の意味するところは、13億人分の市場ということではないと思います。とんでもなく優秀で、しかもとんでもなく志の高い人たちが、中国には日本の10倍いるということ。いや、すでにお腹がいっぱいになってしまった日本と、まだお腹が空いている中国と同じに見てはいけないかもしれません。おそらく、10倍以上と考えるのが自然でしょう。

 

少なくとも、私が中国に行っていた時には、中国でビジネスを行う際に、中国語はほとんど必要ありませんでした。中国語が必要なのは、生活をするためだけ。ビジネスエリートとコミュニケーションをする中で、英語か日本語のどちらかは絶対に通じます。一代で大企業を築き上げた経営者は、大抵英語も日本語も使えないですが、必ず側近として英語を使える人材がいます。

 

中国は広大な土地に、世界に開かれた視野を持つ人たちがたくさんいます。

 

さて、世界は全く予測不能になってきました。表現の自由は常に基本的人権で最も優先的な位置付けでしたが、情報が氾濫して何が自由で何が規制かわかりません。果たして表現の自由は守られているのか?それを証明する手立ても複雑でわかりません。何が国を守るのか、何が個人を守るのか。いつまで核の傘は通用するのか。

 

こんな予測不能な時代に、習近平というとてつもない力を持った国家主席がいます。沈黙も圧力も粛清も根回しも全方位外交も、あらゆることができる人物です。この予測不能な世の中で、この強いリーダーの存在ほど、心強いものはないでしょう。過去、中国は常に内紛の危機にさらされてきました。人類の歴史の中で、中国がどれだけ圧倒的な力を持とうとも、繁栄を維持し続けることができなかったのは常に内的要因のため。しかし、習近平政権は、もっともそのリスクが高い状態で政権を引き継ぎ、見事な手腕で統制を取り始めています。

 

諸外国からすると驚異です。今や、ハードもソフトも、中国は世界トップクラス。宇宙開発という一番最先端の分野でもいつの間にかプレゼンスを高めていますし、タブーとされてきたクリスパーを用いた遺伝子治療まで最初に着手してしまいました。そしてエネルギー安全保障も食料安全保障も粛々と進めてきており、対外依存度は低くなってきています。その一方で、中国がくしゃみをしただけで、多くの大国は、風邪をひく。

 

今、世界のリーダーにもとめられるのは、中国と対等な交渉ができる能力。

 

幸い日本のリーダー達は首相を中心にそのことをいち早く察知して、かなり緻密な対応をしています。これは世界に誇るべきことです。世界をぐるっと見回しても、欧州を中心にその努力をしている国は多いものの、実際にそれができているのは日本くらいに思います。

 

かつて中国は世界の工場でした。そしてリーマンショック後は中国は世界のマーケットになりました。そして、近い将来中国が世界最大のマーケットになった時に、これまでの、欧米が作り上げてきた資本主義の考え方では対応できなくなるでしょう。中国の考え方、それも始皇帝から始まる中国統一の歴史、チンギスハンによる統治、満民族による統治、客家そして華僑、改革開放こういった多様性を背景にした中華思想を理解しないことには、経済的な利益を得ることが難しくなるかも知れません。

 

じゃあ、何をすべきか?

 

全くわかりません。

 

ただ、確実に言えることは、中国を勉強し、中国語を話し、中国に行き、中国人の友人を持つことが不可欠でしょう。中国人が、外国の言葉を学び、外国の技術を学び、外国の思想を学んだのと同じように。

2016-11-23 | Posted in BlogNo Comments » 

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