実力 - capability –

福岡県の博多駅前の道路が陥没した事例について、1週間も経たずに復旧したことに対して、世界中のメディアから賞賛の声があがっているとのこと。

 

陥没が未明の出来事だったので、被害者がいなかったとのことですが、この陥没の影響で多くのインフラが止まり、大変な思いをされた方々がたくさんいらっしゃると思います。そんな中、現地の方々が落ち着いていたことについても、世界中の人々からは驚嘆だったと思います。

 

2011年の東日本大震災の時に感じたのが、世界中の人々の日本に対するRespect。日本人は本当に勇敢だとたくさんの方から言われました。そしてその一方で東京から引き上げる海外資本企業。さらに、勇敢だといいながら、日本の水産物の輸入制限をつける海外政府。矛盾を感じました。

 

当時、「そんなに日本人を賞賛するならば、その日本人がちゃんと検査して、大丈夫といっている水産物を制限などつけずに購入すべきだ」と思ったりしました。

 

しかし、最近感じるのは、そんな私を含めて、多くの日本人ビジネスマンは、感情とビジネスを不可分に考える傾向があるようです。

 

もちろん、どの国の人だって、2人の別々の人から、同じ製品を同じ価格でオファーを受けたら、信頼できる方から購入します。だから、感情とビジネスは完全に切り離されているわけではありません。しかし、通常はそこまで。選ばれれば選ばれてビジネスになり、信頼されている自分の実力の証です。選ばれなかったら、次はもっと信頼度を高めて、またチャレンジしたらいい。ビジネスっていうものは、もともと、そういうものです。売れようと、売れまいと、客の判断を尊重。だから、どうやったら、効率的に、売れる確率を高められるかを、切磋琢磨し、能力を高める。そして、確率を高めるために、自分の営業力だけでなく、マーケティングという技も使う。

 

しかし、日本人の場合はそんな”ビジネスライク”な付き合いは求めません。売ったことに対する責任、それもビジネス上ではなく、道徳的な責任を感じ、売った後、客が満足することに喜びを求めます。通常、”ビジネスライク”に行くと、「満足したなら別の客を紹介してよ」となるところですが、日本人の場合は、たとえ結果としてそうなったとしても、プロセスとしては、別にそのことを求めたりしません。客からのありがとうが一番大事。それが日本人。

 

今回の道路の陥没についても、”ビジネスライク”に行くと、予算がどうで、納期がどうでみたいなところから交渉が始まると思います。ビジネスの世界では通常、関係者全員が、最初はできない言い訳から始まって、次第に誰かが、修復の旗振り役を担うようになって、その人ができる理由を探しながら一つずつ前に進めていく。スタートを切るまでそれなりの時間がかかり、いざスタートすると、その修復の旗振り役が、「ビジネス」として修復に全力を尽くす。

 

しかし、日本人は違います。全員が最初から一体化。「困っている人がいるから、徹夜してでも早く修復するぞ」と。おそらく多くの人にとって、修復が最優先で、採算は度外視。旗振り役が鼓舞しなくても、最初から全員全力です。

 

それがいいことなのか、悪いことなのかわかりません。同じ考え方を、文化の異なる国に押し付けようとすると、私のように、「賞賛するなら、放射能を気にせずに水産物買ってよ」という感情になってしまいます。そして、その押し付けの考え方は、多くの場合はマイナスに働きます。

 

しかし、一つ確実に言えることは、日本人の「一体化」は危機の時には強い。一体化するためのマネジメントをしなくても、危機の時にはみんなが同じ方向を向いて、一体化する。

 

日本人の本当の実力は何か?

 

それは、GDP世界3位という経済規模でもなく、世界中から高い評価を受ける品質でもなく、危機の時に一体化する火事場のクソ力じゃないかな、と思います。

 

2016-11-20 | Posted in BlogNo Comments » 

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