支配 - govern-

iPhone 7の発表がありました。

素晴らしいの一言に尽きると思います。

発表前に情報が流れていましたが、

見事のその通りの内容でした。

 

これまでのように何か新しい尖ったものを発表するのではなく、

あらゆる競合の製品の尖った部分を網羅した内容。

カメラにしても電池にしても耐水性にしても、

これまで最も優れていると言われていたそれぞれの競合のパーツと

遜色ない機能をもって、7、7Sという製品にそれぞれ搭載しています。

そして、それぞれの優れた機能が、iOSというアップル独自のOSで、

他社製品をはるかに上回る使い勝手の良さを実現しています。

 

スマホとしての一つの完成形がiPhone7なのではないかと思います。

 

ある意味、完璧な製品ですが、価格は従前の機種と変わりません。

これは消費者にとって圧倒的なメリット。

 

しかし、むしろ、iPhone7という完璧なスマホの登場で、

競合はiPhone7をさらに上回る完璧なスマホの開発に取り組むと言えます。

 

iPhoneが尖っていれば、他社は別の尖った部分で競争してきました。

 

そしてその多くがオープンソース故に実現できる価格とか、

ディスプレイの彩度とか、充電とか、ワイヤレスとか。

それぞれ分野はありますが、しかし総論として、

他のスマホはアップルの発表を参考に、何かしらの追随をしてきたと言えます。

 

いわば、これまではiPhoneの新製品が、スマホ市場を牽引してきました。

しかし、今回アップルが、iPhone7でとった戦略は、

スマホ市場の何かの分野で先行するのではなく、

むしろ、全く逆の、他社製品の包みこみを行うというというものでした。

 

 

これは、アップルとしてではなく、スマホとしての技術革新が行き詰まったということでしょう。

 

この結論は、重く見るべきです。

 

今後は、この価格で、この性能の製品を出せるかどうか?

というとんでもない高い参入障壁が、新規メーカーの参入を拒みます。

車と同じです。

車の場合は、その製品の大きさと単価、そして物流コストという地理上の制約から、

中国やインドのような未開拓の市場では新規参入が可能でした。

 

しかし、スマホの場合はこうはいきません。

すでにグローバル市場が存在していて、新興国の中間所得層以下、つまりコアの市場に

消費者が存在しています。

 

 

アップルの強みはOSとデバイスの両方を持っていること。

グーグルはサムスンやLGと組むか、独自のデバイスを出すか、選択を迫られるでしょう。

アームを買収したソフトバンクは、モバイル市場という巨大な市場で、

iPhone7の誕生によって明らかになる3強アップル、グーグル、マイクロソフトの一角を脅かす、

ダークホースとなると思われます。

もう一つのダークホースは、中国語と中国という圧倒的なサイズの市場と資本力、

そして微信などの中国独自のコンテンツによるソリューションを持つ中国。

アリババとタオパオの成功を考えると、その力は計り知れません。

 

 

一時期市場を賑やかにしたなんちゃって格安スマホメーカーに隠れていましたが、

華為やBOEなどの本当の巨人達も、そろそろ動き出すかも知れません。

ホンハイもシャープを買収したことで名乗りを上げるか?

 

他の日本企業はカメラ、センサー、セラミック部品などに資本を集約するしかないでしょう。

サムスンやLGは、グーグルやマイクロソフトと組まない場合は、

デバイスではなく有機ELパネルの量産技術に資本を集約するしかないでしょう。

 

モバイル市場が、自動車市場同様に、一つの完成形を迎えます。

モバイル市場の場合、自動車市場と違って、用途の可能性は無限大。

 

ブロックチェーンの誕生で、

これからケープサイズのタンカーに積まれた石炭が丸ごと、

スマホ上で決済されるようになるでしょう。

 

ブロックチェーンにより、

健康情報や納税の情報などすべて、モバイル端末で閲覧権限を付与したりできるようになります。

 

iPhone7Sのデュアルカメラでとった映像を、

ブロックチェーンを使って使用許諾して、

利益を得る新たな芸術家が誕生するでしょう。

 

モバイルから取得した情報を管理するクラウドコンピュータに

あらゆるデータが集約され、ビッグデータとなります。

そのビッグデータは眠ったままのはずはありません。

人工知能がビッグデータを分析して、その分析結果をスマホ上に

アウトプットとして提示するようになります。

 

「あなたは今日、これを食べた方がよいですよ」と、

スマホが自動的にとったデータを、人工知能がスマホから勝手に提案。

その通り食べれば、栄養バランスはパーフェクト。

そして、そんな情報が、また、すべて人工知能に送られます。

ビッグデータと人工知能を握る人が消費者を支配する。

 

 

極端な話ですが、可能性は皆無ではありません。

 

 

今その市場に着々と取り組んでいるのがIBM。

 

アップルはIBMと組んでいます。

 

グーグル、マイクロソフトはどう動くか?

アマゾンはどう動くか?

ソフトバンクや華為はどう動くか?

 

 

 

モバイル市場は

ソフトであり、ハードであり、

BtoBであり、BtoCであり、

売買であり、使用許諾であり、

現実であり、空想であり、

提供者であり、利用者であり、

芸術であり、ビジネスであり、

プロであり、素人であり、

ドメスティックであり、グローバルであり、

パーソナルであり、シェアであり、

無料であり、有料であり、

現代であり、未来です。

 

こんな事例は、今までありません。

 

しかし、iPhone7の打ち出し方は、それが一つの完成形を迎えることを予言しています。

「規模の経済」という言葉があるとおり、

どこかのメーカーが、この完成形に近づきつつあるモバイル市場を支配します。

 

どんな未来が待っているのでしょうか?

2016-09-11 | Posted in BlogNo Comments » 

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